ワーグナー 「ローエングリン」 バイロイト2010 ネルソンス指揮
今年もドイツでは、バイロイト音楽祭が始まりました。
7月25日開幕。
今年のプリミエは、「ローエングリン」。
1999年から2005年まで続いた、キース・ウォーナー演出から5年ぶりのローエングリンは、今回はハンス・ノイエンフェルスの登場。
ノイエンフェルスは、奇抜で面白い、いやヘンテコ、そして時に気持ち悪い舞台をつくる人。R18なんてのもお構いなし。
この人出しちゃうんなら、次はコンヴィチュニー希望。
舞台の様子は画像をさっそく拾ってみて想像するのみだけど、音源はしっかり聴きましたよ。
ローエングリン:ヨナス・カウフマン エルザ:アンネッテ・ダッシュ
ハインリヒ:ゲオルク・ツェッペンフェルト
テルラムント:ハンス・ヨアヒム・ケテルセン
オルトルート:エフェレン・ヘルリツィウス 伝令士:サミュエル・ユン
アンドリス・ネルソンス指揮 バイロイト祝祭劇場管弦楽団/合唱団
演出:ハンス・ノイエンフェルス
(2010.7.25@バイロイト)
ネズミであります。
いったい何なんでしょうね・・・。
まさか、ねずみが街に繁殖してしまう「ハーメルンの笛吹き」なんじゃないでしょうね(笑)
周りにいる人々は、みんなネズミですよ(爆)
エルザはネズミに矢打たれて串刺しになってるし。
て、ことは、ローエングリンはハーメルンの笛吹きかい(笑)
実際のところを猛烈に知りた~い。
わたしのアイドルとなったアンネッテちゃんも、こんなお姿に・・・・・。
天井からぶら下がるネズミ軍団・・・・ですよね、尻尾あるし・・・・。
キモイ、キモ過ぎ。
それと、羽根むしられ、包帯姿の白鳥のあわれなお姿・・・・。
ヘンテコリンだけど、なんだかやたらと想像力をかきたてられる舞台の様子。
1幕前奏曲の前に、かなり長いインターバルがあって、会場でクスクス笑いが聴かれる。
1幕が終わると、ブラボーと強烈なブーイングの応酬。
2幕の開始前も、会場から笑いが沸き起こる(笑)
お笑い系なのか、このローエングリン。
観たくてうずうずする。
2幕終了時も激しいブー。
でも、3幕の音楽が神々しく閉じられると、驚くべきことに会場には静寂が訪れる。
しばし後に沸きおこるブラボーと熱烈な拍手。
一体どうしたのだろうか?
最後の最後に唖然とするマジックでもあったのか。
期待のネルソンスの指揮も、最後のエンディングは、引っ張る引っ張る。
それが巧みなダイナミクスとともに、緊張感も持続して音楽上は見事に決まっているものだから、舞台と音楽で最後に仕掛けがあったのかもしれない。
カウフマンとダッシュ。
ねずみじゃない後ろの黄色い人々が気になるけれど、この主役ふたりの素晴らしい歌唱は、今のドイツで最高のものではないかしら。
力強さとロブストな厚みも適度に合わせもちながら柔軟な歌い口のカウフマンのローエングリンは最高で、最後のグラール物語などは、充分に歌い込んだ余裕と説得力にあふれているように思う。
で、アンネッテ嬢は、最初の夢物語りこそ固かったものの、キリリとしたステキなエルザ。
それもお嬢風から一歩切り込んで、自分の意思でもって禁断の誓いを破る強さのようなものを感じる彼女の歌声。これからもっとよくなるかも。
期待してたもう一人、ガッロが降板してしまったのはまったくもって残念。
替わったケテルセンはベテランの味がある歌い口だけど、クールで真っ直ぐな今風の歌声のほかの歌手たちに比べると、ちょっと古臭さを感じ、演出上のマッチングもどうだったかと・・・。
それを補ってあまりある、ヘルリツィウスのオルトルートには戦慄さえ感じるスゴミがある。
ドラマティックで、濃い口の声は、ダッシュとの声の対比においても申し分なし。
初登場のツェッペンフェルトの国王も印象的だった。
ネズミが抱える、白鳥号。
国王の王冠が黒なもんで、その後ろ姿がなんとも・・・・。
ネルソンスの指揮は、思った以上にまともでしっかりしてる。
最初の方こそ空転するヶ所を感じたが、よく歌っているし、生き生きとした生気とスリリングな迫力が全体にみなぎっているのがよい。
なによりも、ロマンティッシュ・オペラとしてのローエングリンを耳で聴いて感じさせるところがよいかも。
それにしてもどんな舞台なんだろう。
現地レポートが早く読みたいし、映像が観てみたい。
以上、画像はバイエルン放送局のサイトから、音源はハンガリーのラジオ・バルトークのオンデマンド放送から、それぞれダウンロードしました。
こんな風にタダで楽しめましたよ
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コメント
う~ん、こういう演出って…。演出家のセンスなり経費節減なり色々あるんでしょうが、突拍子もないシュールな演出で見るのならば、音だけ聴きながら映像は自分なりのイマジネーションの方がいいと思いますね。DVD時代になってオペラは見やすく(聴きやすく)なったのでしょうが、枚数が多くてもLPを聴きながら、想像たくましくオペラを聴いていた時代が良かったと個人的には思います。
投稿: EINSATZ | 2010年7月26日 (月) 23時25分
EINSATZさん、こんばんは。
そうですね、同感ですよ。
面白くて、音楽を知りぬいたあとには楽しめるんですが、普通の演出を知らずに、こうした先鋭演出から入ってしまうと、音楽が完全に二の次になってしまいます。
いまや、オペラは聴く時代から映像で観る時代になってしまいましたが、ご指摘のとおり、想像力がはぐまれない受動的な視聴の仕方になってしまいかねないです。
ヴィーラントの真っ暗な舞台写真を見ながら、音楽にのみ没頭していた時代が懐かしくもあります・・・・。
投稿: yokochan | 2010年7月26日 (月) 23時37分
ああっ、ああっ!!音源聴けるんですか?
私も急いでダウンロードせねばっ!!
出来るかな・・・?(機械音痴なもので・・・汗)
それにしても変な演出ですねえ。。
バイエルンも相当変だったけど。。
ヨーナス・カウフマンは確か現代演出が
好きではないはずですけど、最近こんなのばっかり。。
せめてグリムじゃないローエングリンが見たいですね。笑
投稿: 恋するオペラ | 2010年7月26日 (月) 23時42分
こんばんは。
私はポーランドラジオ生中継の録音に失敗して第2幕までしか聴いてませんが・・・こんな舞台だったのですね。おんでまんど??があるんですか??(←わかってない)
投稿: naoping | 2010年7月26日 (月) 23時55分
恋するオペラさん、こんばんは。
バイロイト放送、非常にいい音で楽しめますよ。
http://real1.radio.hu/bartok/MP3/B-mp3.htm
ハンガリー語で訳がわからないですが、日曜の15時あたりからです。
euridiceさんのブログによりますれば、カウフマンは今年で降りて、来年はフォークトだとか。
さらにそちらでは、海外ブログでのさらに妙な画像が観れますよ。
なんか笑えるし、いやぁ~な感じです。
ドイツはもう普通じゃダメなんですかねぇ・・・。
投稿: yokochan | 2010年7月27日 (火) 00時11分
naopingさん、こんばんは。
そうです、おんでまんど、でやんそんす。
恋するオペラさんへのご返事にURL書いときました。
1週間の限定品です。
音はすごくいいですが、1時間ごとに切れてしまいます。
しっかし、みょうちくりんな演出のようですねぇ。
まともにネズミ先輩ですからねぇ。
投稿: yokochan | 2010年7月27日 (火) 00時15分
うちもバイエルン放送で録音してたら途中でぷっつり切れてました(涙)オンデマンドで聴かねば!何しろ来年のオペラの森で「ローエングリン」を振るネルソンスですから、期待したいんですよね。
投稿: 白夜 | 2010年7月27日 (火) 02時30分
こんにちは
>ローエングリンはハーメルンの笛吹きかい
私もすぐこれを思いましたけど、
どうなんでしょうねぇ・・
ゴットフリート(?)はきてれつな胎児みたい。ローエングリンの扮装は普通過ぎ。ミュンヘンと代わり映えしないし、カウフマンっていつも素顔という感じです。
>羽根むしられ、包帯姿の白鳥のあわれなお姿
う〜〜ん、これは何?!
投稿: edc | 2010年7月27日 (火) 07時59分
おはようございます。ほほー。ねずみと来たか。ネズミと白鳥。。。ですか。。。新しいけどわからん^^;そんなことより!エルザを歌ってるアンネッテ・ダッシュちゃん!ストライーック!美人ちゃんですね^^演出とかネズミとかどうでも良いでしょう^^たしかドイツ語でねずみちゃんって「カワイイ女の子」って意味合いですよね。アンネッテちゃん。おじさん的にはど真ん中のストライーーック!!です^^あ。。。いかんいかん。。。またオペラに風俗を持ち込んでしまった。。。いかんいかん。。。
投稿: モナコ命 | 2010年7月27日 (火) 09時30分
白夜さん、おはようございます。
ハンガリー語がやたらと被ってうっとうしいですが、音質とオンデマンドがありがたいバルトークラジオです。
演出はともかく、演奏はなかなかに思いました。
歌手の個性がややバラバラなのと、アンドリス君、走り過ぎのか所もありましたが。
投稿: yokochan | 2010年7月27日 (火) 09時39分
euridiceさん、おはようございます。
ご案内されてました、blogの写真を見ますと、どうもハーメルンじゃないみたいですね?
あの胎児風の弟もなんだか不気味だし。
丸裸の白鳥も意味不明だし。
ともかく、バイロイトもなんでもありの時代になりましたね。
ローエングリンだけが、ごく普通の人物に見受けられます。ミュンヘンとそっくりですねぇ。
投稿: yokochan | 2010年7月27日 (火) 09時46分
モナコ命さん、おはようございます。
ネズミ軍団に、エルザの取り巻きの女性たちは、派手な安キャバレーのホステスみたいです。
そうそう、不可思議な演出に気を取られてばかりいてはいけませんね。
お父さんたちには、アンネッテちゃんですよ!
美人の彼女が、ネズミたちに矢を射られてイジメられちゃってる。
それを救出に来る白鳥の騎士。
単純にそう思いたいところですが、ことはそうはいかない演出みたいです(笑)でも、ダッシュ嬢、よいですなぁ〜
投稿: yokochan | 2010年7月27日 (火) 09時55分
ああ、私も録音に失敗しました。レポを読んで悔やまずにはいられませんが、またの再放送に期待します。勉強になりました。次はティーレマンのリングですね!
投稿: shushi | 2010年7月27日 (火) 20時30分
shushiさん、こんばんは。
バイロイト始まりましたね。毎年、冬とともにワクワクします!
そして、バルトーク・ラジオならまだ1週間聴けます。
http://real1.radio.hu/bartok/MP3/B-mp3.htm
こちらがオンデマンドの一覧です。
赤いところが日曜日ですので、その15時からが生放送の記録です。
保存して連続再生すれば継ぎ目はほんのわずかで済みます。
冬のNHKまで待てない演目は、結構重宝してます!
是非お試しを。
ティーレマンリング、今年は総仕上げですね。
DVD化もされるでしょうし、もうお金が大変です(涙)
投稿: yokochan | 2010年7月27日 (火) 20時56分
こんばんは。凄いのを集めてきましたね。
「ローエングリン」の服装はありふれたスーツにサスペンダー。これなら正装しなくてもオペラを見ることができるでしょう。(笑)現代オペラ事情は大衆向け読み替え演出が一般的ですね。天功も真っ青。
唯一手持ちの劇版であるアバド、ウィーン・フィルとマニアックになりますが、この写真から実際に見たらショックだったでしょう。これなら映像よりも音声に限る。ワーグナーの劇CDは長大なのか、持ち数が少ないのが残念です。
投稿: eyes_1975 | 2010年7月27日 (火) 21時05分
eyes_1975さん、こんばんは。
毎年、この時期は海の向こうが気になってしょうがないのです。
まして、新演出のある年はなおさらですし、メンバーが今をときめく人々だからさらになおさら!
でも演出は予想通りの、あっちの世界(笑)
ドイツは、もっとも先鋭、というか、普通じゃ許されない舞台続出です。
映画系の演出家が多いせいもあるかもしれません。
ワーグナー歴は長いゆえに、映像よりは音源に愛着を感じるワタクシです。
ローエングリンも10種以上あるかもしれません。
想像力が養われます(笑)
投稿: yokochan | 2010年7月27日 (火) 22時47分