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2010年7月 9日 (金)

R・シュトラウス 「ばらの騎士」 デルネッシュ

Hanachou
鹿児島の芋焼酎、「花と蝶」。
今は、「花蝶木虫」という名前になってしまった。
かなり濃い口の芋で、これだけ自己主張があると、ツマミはいらない。
何があったか知らないけれど、昔の名前の方がいいな。

森進一の「花と蝶」。

  花が女か 男が蝶か     蝶のくちづけ うけながら
  花が散るとき 蝶が死ぬ  そんな恋する 女になりたい
  花が咲くとき 蝶が飛ぶ   蝶が死ぬとき 花が散る
  春を競って あでやかに   どちらもどちらも 命を賭ける
  花のいのちは 短いけれど 蝶のいのちも はかなくて
  花が散るとき 蝶が死ぬ  そんな恋する 二人になりたい

短い命をひさぐ、刹那的な「花と蝶」。
まさに艶歌でございますな。
こんな風に生きてしまったら、とっても家庭なんて築けないし、子孫も築けないわけなんだけど、人間どこかそんな甘味な思いを抱いているから、そんな歌が流行ったし、こんな焼酎を陶然として飲んだりしてるわけです。
 え?、わたくし? 
わたくしにそんな甲斐性はございません。
音楽がいつもあればいいんです。シュトラウスの甘味な世界に遊べればいいんです。

Straiss_rosen_dernesch_3

R・シュトラウスのわたしの最愛のオペラ(楽劇)、「ばらの騎士」を抜粋ながら聴きます。
このEMIの1枚は、マルシャリンを歌う名ソプラノ「ヘルガ・デルネッシュ」ゆえに手に入れたものであります。
デルネッシュ以外の歌手は、さほど大物でもないし、指揮はギブソン、オケはスコティッシュだしで、ちょっと地味。
何ゆえにこれがレコーディングされたかは不明なれど、70年代最高のワーグナー・ソプラノだったデルネッシュのマルシャリンが聴けるという意味で、極めて貴重なもの。
全曲ライブの別途あるらしいが、発売された形跡はない。

デルネッシュは、1939年ウィーン生まれで、ウィーンやケルンで活躍後、65年、ベーム&ヴィーラントのリングの端役でバイロイト・デビューを飾り、数年でまたたく間に主役級を射止め、さらに69年、カラヤンに認められブリュンヒルデとしてザルツブルクデビュー&レコーディングを成し遂げた順風満帆の歌手なのだ。

カラヤンとの、ブリュンヒルデとイゾルデ、レオノーレ。
ショルティとのエリザベート。
これくらいしか正規録音がなく、残念なデルネッシュだけれども、それらはみな、ニルソン後の新時代のリリックで女性的なワーグナー歌唱として、いまでも極めて新鮮な歌唱として記憶される素敵な歌唱なのであります。
Dernesch_2
 そして、なんといっても舞台映えするスマートな美人。
ビジュアルと歌唱で言ったら、リゲンツァやマイヤーと並んで、最高のブリュンヒルデとイゾルデであります。

70年代後半から高音域に支障をきたし、メゾに転向。
80年代は、やはりショルティに可愛がれ、録音もいくつか残したけれど、私にとって忘れらない、デルネッシュとの初出会いは、84年のハンブルクオペラの来日公演における「影のない女」。
かつての持ち役の皇后やバラクの妻ではなく、乳母役だったけれど、その神々しいまでのお姿と輝くばかりに美しい声は、メゾの音域とはいえ、ふるいつきたくなるような魅力を感じたものだ。
メゾ転向後は、性格的な役柄でもって、舞台に奥行きを与える名手として活躍しているデルネッシュさまでございます。

この抜粋盤では、尻切れトンボみたいで、彼女のマルシャリンを十全に楽しむいは至らないけれど、カラヤン盤で聴き親しんだあのステキで高貴なデルネッシュのお声がちゃんと確認できるのがうれしい~。
混じりけのないピュアな声で、怜悧。でも女性的な温もりもあるんです。
優しい大人の女性とともに、1幕のモノローグでは諦念も滲ませる素晴らしい歌唱。
3幕の若い二人を前にしたマルシャリンの気丈さと悲しみも、ほんの少しの場面ながら味わえます。
やはり、全曲盤が聴いてみたい。
へたくそな、テノール歌手のアリアなんか省いてしまって、彼女の場面をもっと挿入すべき抜粋盤であります。

 マルシャリン:ヘルガ・デルネッシュ  オクタヴィアン:アン・ハウェルズ
 オックス男爵:ミカエル・ラングドン   ゾフィー:テレサ・カーヒル
 ファーニナル:ゴードン・サンディソン テノール:デレク・ブラックウェル

  アレグサンダー・ギブソン指揮スコテッシュ・ナショナル管弦楽団
                          (1974.11@グラスゴー)


スコットランドのギブソンと郷里のオケは、なかなかのもの。
ギブソンは思いのほか熱い指揮をする人で、オペラも得意。

誰にもお薦めというわけにはいかない1枚なれど、70年代、デルネッシュに憧れた方には是非にも聴いていただきたいです。

「ばらの騎士」過去記事 (たくさんあります)

「ばらの騎士」~ワルツ ワルベルク指揮

「ばらの騎士」 クライバー指揮

「ばらの騎士」 アルミンク指揮 新日本フィル

「ばらの騎士」 ドホナーニ指揮

「ばらの騎士」 沼尻竜典指揮 ホモキ演出

「ばらの騎士」 ルイージ指揮 ドレスデン国立歌劇場

「ばらの騎士」 W・メスト指揮 チューリヒ歌劇場

「ばらの騎士」 シュナイダー指揮 新国立劇場

「ばらの騎士」 バーンスタイン指揮

「ばらの騎士」~組曲 プレヴィン指揮

「ばらの騎士」~抜粋 ヴァルヴィーゾ指揮

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コメント

僕もデルネシュの隠れファンですので、yokochanさんの気持ち(勢いが凄くって早打ちしたのがよく分かる痕跡が1箇所)分かります!
しかしまあ、とんでもないディスクがあったもんですね。もう廃盤でしょうが・・・。
デルネシュのメゾといったら、ライマンの「リア王」ですんごいゴネルリを歌ってました。あれ、入手しとけばよかったなぁと今も悔やんでます。ちなみに、当然、「フィデリオ」と「トリスタン」持ってます。そっか、まだ「タンホイザー」と「ジークフリート」に「黄昏」が残ってたなぁ。

投稿: IANIS | 2010年7月 9日 (金) 22時17分

こんばんは。ウチも今日(昨日?)はシュトラウスのオペラ美女さんです。曲は違いますけど。
デルネシュも本当に美人さんですね。このCDは初めて見ました。他のキャストはイギリス人ばっかり?なのが珍しいですね。

投稿: naoping | 2010年7月10日 (土) 00時31分

IANISさん、こんにちは。
へへ、そうですね(笑)、そのままにしときます。

われわれ世代は、デルネッシュの活躍を目の当たりにしてましたので、憧れに似た思いを持ってますよね。
「リア王」は、私も欲しいのですが、まず手に入らないでしょうね。アルブレヒトもあの頃は絶頂で、面白いオペラばっかり取り上げてました。

彼女のメゾはあんまり持ってないので、集めようかしら。
ブリュンヒルデは、黄昏の相手役がしょぼいですが、素晴らしいですよ。

投稿: yokochan | 2010年7月10日 (土) 11時09分

naopingさん、こんにちは。
どちらも美人・美女が満載ですねぇ(笑)
レコ芸でデルネッシュの美女ぶりを見て憧れた中学生でございます。

英人ばかりの不思議な「ばらキシ」ですが、テノール以外はなかなかでしたよ。

投稿: yokochan | 2010年7月10日 (土) 11時12分

掛け値無しの美人だと思います。はじめての視聴がヘンゼルとグレーテルのお母さん役でしたけど・・後で写真を見てびっくり。時代のせいで美しい映像がないのが残念です。

投稿: edc | 2010年7月10日 (土) 18時03分

euridiceさん、こんばんは。
女性のみなさまから見ても美しいデルネッシュ、男子たる、いやオヤジとなったワタクシどもから見ても、絶句するほどの美女に、耳で聴いても、そのお姿を想像してしまうのです。

カラヤンは美しいもが好きでしたが、デルネッシュはビジュアルも歌もカラヤンを満足させる最高の歌手だったのでしょうね。
アラベラのアデライーデの映像もありますが、ここでも母親役です・・・・。

投稿: yokochan | 2010年7月11日 (日) 00時35分

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ヘルガ・デルネシュ(1939.02.03-  オーストリア)は1976年12月、ペーター・ホフマンはもちろんジークムントとして出演した、パリ・オペラ座のワルキューレ(ショルティ指揮)のジークリンデでした。Orfeo.blogのコメントによるとクラウス=ミヒャエル・グリューバー新演出で双子兄妹は「純白のえらくかっこいい衣裳」だったそうです。... [続きを読む]

受信: 2010年7月10日 (土) 17時58分

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