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2010年7月30日 (金)

ストラヴィンスキー 「春の祭典」 マゼール指揮

Roppongi_dinosaurs1
夏休みだから、六本木ヒルズまで息子と車を飛ばして恐竜を見にいってきましたよ。
地球最古の恐竜展」。
2億3000万年前の三畳紀の恐竜や哺乳類、ワニ類などが地上52階にリアルに展示されてます。

Roppongi_dinosaurs2
光と影をうまく使った効果的な展示でなかなかのものです。
このお口に、ちょうど人間の頭が入っちゃうスケール感。

Roppongi_dinosaurs4
地を這う草食系のスカフォニクスという可愛いヤツもいましたぞ。

Strawinsky_maazel
昨日までの涼しげなグリーグやシューマネスクの世界から一転して、ストラヴィンスキーの「春の祭典」。
暑さが舞い戻り、こんな暑苦しくてウザい曲を聴くなんて・・・・・。
しかも、マゼールの指揮だなんて。

でも、しょうがないのであります。
バイエルン放送交響楽団60周年ボックスを歴代音楽監督順に、順次聴いてきたけど、マゼールの前で止まったまんま。
いやいやながらも思いきって聴くことにしましたよ。

まずは、組曲「火の鳥」。
かなり繊細なタッチで、細部までよく見通せるマゼールらしい演奏だが、意外におとなしい。
で、「春の祭典」であります。
タイムは34分で、そこから判断するにはさほど遅くない。
マゼールのハルサイといえば、70年代に嫌がるウィーンフィルに鞭をくれつつ、のたうつような原色まるだしの演奏が嫌でも脳裏に浮かぶ。
その後のクリーヴランドとの演奏は未聴。
あと、フランス国立管とのライブを長く聴いているが、こちらは華やかな雰囲気が漂っていた。

今回のバイエルン放送響とのライブは、1998年4月のもので、聴衆のノイズは聴かれず拍手もないため、ライブとは思えないくらいの録音の精度の高さ。
そして演奏も、オケの高機能ぶりがひしひしと伝わってくるハイレベルの演奏水準にある。
うるさくならない金管、木管の暖かさはバイエルン独自の音色だし、弦楽器も鋭さよりはマイルド感が漂う。
これらは、これまで歴代の指揮者の演奏や現職ヤンソンスの指揮などにおいて、歴然と感じるミュンヘンサウンドなのである。

しかし、そこはマゼール。油断も隙もないオッサンはここでも健在であった。
どこもかしこも、策士マゼールのあざといまでの演出が散りばめられていて、ウザイと思いつつもついつい引きこまれてしまうのであった。
ヴィブラートをたっぷりかけて歌われる冒頭のファゴット、スピード感あるけど、意外とあっさりの春のきざし。
巨像のような長老の行進に、すさまじい迫力の沸き上がるような大地の踊り。。。
 第2部に入り、流れるように演奏されてしまう不思議な乙女の踊りは妙にミステリス。
そして、ここでもやってくれます、強烈な11本の連打
ウィーンでは異常としか感じなかったここは、少し速くなってなかなかの説得力がある。
タメも充分、聴いたことないフレーズや歌いまわしが、ポンポン出てきて、生々しい展開となる。
最後の打撃も相変わらずユニークなもんだ。

いやはやもう、困ったハルサイだわ。
面白かったけど、もういいや。

ハルサイは、わたしは、アバドやメータ、サロネンといったスピーディな演奏や、ハイティンク、デイヴィス、ショルティといったシンフォニックなかっちり演奏が好きであります。

マゼールのバイエルン放送響時代は、1993年から2002年まで。
この有機的な素晴らしいオーケストラが、マゼールによってどうにかなってしまうのかと、心配だったけれど、フレキシブルなこのオケは、ちゃんと伝統を守り通したし、マゼールの求める音をアメリカのオケよりも的確につかんで出していたように思う。
というか、彼らのCDは、ワーグナー以外持ってないんだよね〜
マゼールは、クリーヴランド時代までよく聴いてたし、ウィーン国立歌劇場時代のウィーン、ベルリンの演奏もよかった。
でもベルルン・フィルの座をアバドに奪われてしまうと、大人げない発言をしたりして、その演奏もわたしには妙に鼻につくようになってしまった。
 
 ありあまる才気を持て余してしまうマゼールは、常にどこかのオーケストラと関係をもってないといけないらしい。

  1965〜1975  ベルリン放送響
    〃 〜1971  ベルリン・ドイツ・オペラ
  1972〜1982  クリーヴランド管
  1982〜1984  ウィーン国立歌劇場
  1984〜1996  ピッツバーグ響
  1988〜1990  フランス国立管
  1993〜2002  バイエルン放送響
  2002〜2009  ニューヨーク・フィル
  2004〜      トスカニーニ管
  2010〜      ミュンヘン・フィル

80歳になって、どこまでも元気なマゼールさん。
今年暮には、東京でベートーヴェンの交響曲全曲を大晦日に指揮する予定。
ゼツリン・マゼールでございますね。

Roppongi_dinosaurs3
マゼールの鋭い分析眼に会うと、こんな風に見えちゃうます(笑)

バイエルン放送響60周年ボックス過去記事

「ヨッフム〜フルトヴェングラー交響曲第2番」
「クーベリック〜ブルックナー 交響曲第8番」
「コンドラシン〜フランク 交響曲」
「デイヴィス〜エルガー エニグマ変奏曲」




  

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コメント

こんばんは。マゼールのストラヴィンスキーはもう、得意中の得意といってもいいくらいですね。ベルリンで活動した時、既にベルリン・フィルのポストを狙っていた。「春の祭典」はウィーン・フィルしかありませんが、やはり、イキイキしたサウンドでしょう。最近になってタワレコ企画で購入したハイティンク、ベルリン・フィルを聴いたが、この時期にしては暑苦しくなく、私のベスト・サウンドが1つ増えました。同時収録の「火の鳥」は全曲版です。ハイティンクがコンセルトヘボウ勇退した頃、ベルリン・フィルは目まぐるしいです。マゼールがベルリン・フィルで「スラヴ舞曲」(ドヴォルザーク)を全曲録音した翌年、カラヤン死去。ポストはアバドが選ばれ、涙を飲んだ。これでベルリンと縁を切ってしまったのよね。
ミュンヘン・フィルに就任したくらいマゼールのエネルギーは健在ですね。

投稿: eyes_1975 | 2010年7月30日 (金) 21時03分

eyes_1975さん、おはようございます。
真夏のハルサイ、聴いてみると悪くはないです(笑)
10年前の演奏ですが、マゼール節は健在!
何かと言動も含め鼻につくおっさんですが、その音楽は一度はまると説得力が強いです。ストラヴィンスキーはその典型かと。
80歳になるマゼールですが、大巨匠とか円熟が似合わない、いつまでも才気煥発といったイメージがあります。
そう、すごいエネルギーですよね!

投稿: yokochan | 2010年7月31日 (土) 08時16分

マゼール。春の祭典。すごい組み合わせです。バイエルン放送響というのもクールです。春の祭典ではいろいろ書きたいのですがここではマゼールの顔を立てて。さまよえる様のおっしゃる通り、マゼールを好きな指揮者として選ぶ人はあまりいないと思われます。ただ、学生の頃にチャイコの1番をウィーンフィルと演奏したレコードには驚いた!2楽章の中間部のホルンの独奏、あの2楽章のテーマをホルンが独奏する部分ですが、マゼールだけはfffで演奏しているんです。他の指揮者は皆、楽譜に従ってppでやってんのに^^;こういうやりすぎでエゲツないところもマゼールの魅力でして、ハマるとハマる危険のある、一種麻薬的な魅力?のあるマゼールなんですよね。。。。

投稿: モナコ命 | 2010年7月31日 (土) 18時11分

モナコ命さん、こんばんは。
バイエルンのハルサイ、クールでげしょ!
この演奏、結構気に入りました。
オケがなんといっても素晴らしいんです。

オケがバイエルンだから、マゼールのどぎつさも薄れているもかもしれません。

ウィーンフィルとの演奏の場合に、ギトギト・マゼールになるような気がします。
若き日のマゼールは、オペラにしろバッハにしろ面白かったですねぇ!
ウィーンとのマーラー5番をライブで聴きましたが、最高の演奏でした。
チャイコフスキー未聴なもので、聴いてみたいです。

投稿: yokochan | 2010年8月 1日 (日) 00時50分

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