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2010年7月 3日 (土)

ベートーヴェン 交響曲第7番 アバド指揮

Aoyama1
久々のラーメンネタ。
といっても前の画像ですが、成田、といっても住所は富里の、「麺屋青山」。
人気店です。
いま大ブームのつけ麺食べましたよ。
魚介系のスープに柚子が効いていてこってり・さっぱり。
炙りチャーシューも美味。
で、生クリームを注入したという味付け卵がまた美味でした~

まだやってるアバド特集、ラストひとつ前です。

ベートーヴェンの交響曲でいまや一番人気の7番を聴きます。
表題なしながら、もともと人気のあった曲。のだめ効果の最たるものでありましょう。

で、なんたって、アバドのメジャー・レーベル・デビューの曲がこの第7交響曲
今回は、このデビュー盤をはじめとして4種類ある第7を聴いてみるのだ。

Abbado_beethoven
1966年、ウィーンフィルを振っての初録音。
アバド、33歳。当時はまだまだ保守的だったヨーロッパにあって、こんな若造が名門ウィーンフィルを振ってベートーヴェンを録音してしまう。
マゼールもそうだったが、アバドにかける期待と意気込みが感じられるレコーディング。
そのあと、ロンドンでプロコフィエフやメンデルスゾーン、ウィーンではブルックナーの1番。
ベルリンでは、協奏曲にブラームスのセレナード。
若い頃から取りあげる演目がいかにもアバドらしい。

で、こちらの7番。
さぞかし若気のいたり的なイタリアの若者演奏と思いきや、なかなかに堂々たる演奏で、老舗オーケストラに位負けしていない。
ホルンの咆哮が明るく強い印象を与える。
それはまた、ゾフィエンザールでのデッカ録音の生々しさとも結びつき、パンチも効いていて、この曲特有のウキウキ感をもよおすリズムの祭典状態でもある。
レコード時代から聴いてきた1枚だが、やっぱりいい。

Abbado_beethoven78_vpo
ウィーンフィルとの再録音は、87年のライブによる全集録音。
こちらは、メリハリの効いた1回目よりは、マイルドになりオーソドックス。
でも1回目より、思い切り歌っていて、弦楽器も目一杯、弓を引ききって気持ちよさそうだし、管楽器もいかにもウィーンの味わいで楽しい。
外観はきっちりと整っているけれど、躍動感はさすがのもので、時おり音を割るようなホルンでアクセントがとっても効いている。
1~3楽章は、意外と慎重な運びだけど、終楽章にいたり、テンションがかなり上がって、活気あふれるエンディングを迎える。
 ウィーンフィルとも気心が知れ、余裕すら感じさせるけれど、ライブならではの感興も爆発させているところがいい。
当時ウィーンの顔として活躍したアバドの、流麗でかつリズミカル、自信にあふれたウィーンのベートーヴェンである。
ムジークフェラインの響きも美しい。

Abbado_beethoven_bpo1
アバドがベルリン・フィルの指揮者になって再度挑んだベートーヴェンが、ベーレンライター版だったことに、当時少なからず驚いた聴き手が多かった。
1990年に芸術監督就任後、10年を経ての全集。
当初は、従来のブライトコプフ版を使用して、オケがウィーンからベルリンに変わっただけの演奏をしていたアバド。FM放送の音源でいくつか持ってます。

それが、96年の第9のザルツブルク・ライブあたりから、刊行中のベーレンライター版(校訂者は、音楽学者ジョナサン・デル・マーで、かの英国名指揮者ノーマン・デル・マーの息子!)を使用し始めた。
その頃は、あんまり内容を把握してないとか、アバド大丈夫か、などと囁かれたものだが、そこはアバド。数年のうちに全番号を研究し、99年から1年かけて全曲演奏と録音を行った。

古楽器による奏法を意識することが前提となっているベーレンライター版は、音符が変わってしまうことはないが、表情やダイナミクスが異なる。
世代交代進むとはいえ、天下のベルリンフィルでの大チャレンジ。
進取の気性に富むアバドであります。
編成を刈り込み、機動力に富んだ中規模なオーケストラを駆使したこの全集は、初めて聴いたときは、あまりも速過ぎるしどんどん先に行ってしまい、前のめりすぎると感じた。
 でも、不思議なもので、何度も聴きすすめて、さらに1年後の映像作品も観るにつれて、中身のぎっしり詰まった情報豊富な緻密な演奏に聴こえてきたんだ。
アバド好きだから贔屓目に見てるのは確かながら、やり過ぎのジンマンや薄味のガーディナーらと比べて、明らかに総合的なレベルが高く、シャープでかつしなやかなアバドの個性もしっかり出ている。
カラヤン後、数々の革新的なことを成し遂げたアバドの、これまた記念碑的なベートーヴェン。(ラトルは、アバドのあとだから楽です・・・・)

Abbado_beethoven_bpo2
1999年と2000年で、全集をライブ録音したアバドとベルリン・フィルは、2001年にローマで全曲演奏会を行い、映像収録も行った。(第9だけは、ベルリンでの収録)
当時のこのコンビが集中していたベートーヴェンの集大成がこの映像作品である。
これは、極めて素晴らしい。
 実は、このライブと前回の録音との間には1年しかないのであるが、その間にアバドは、胃癌のため手術と療養を行っていて、文字通り生へ生還したばかりの頃なのだ。
そうです、このライブの前には、日本にやってきてくれて、あの奇跡の「トリスタン」やベートーヴェンを聴かせてくれたのであります。

文化会館のオーケストラピットにあらわれた痩せ細ったアバドの姿に愕然としてしまったわたくし。頼むから、もういいから、と念じつつも祈るようにしてアバドをまじかに見守った。
でも、アバドはそんな私の気持ちなんて関係なく、暗譜のまま、長大なトリスタンを鬼気迫るものすごい気力と集中力でもって指揮をして、オケも歌手も全霊をアバドの棒に傾けていて、私もいつしか身動きとれないくらいの緊張感で金縛りにあったようになってしまった。

そんなアバドの凄い指揮ぶりが、このローマでの映像でも感じ取れる。
ともかくすごい気迫と、集中力。
時おりこぼれる笑みがアバドらしいが、死の淵をさまよった人間の到達した境地すらそこには感じる。
オケのむちゃくちゃな気合いの入れ方も尋常じゃない。
みんな夢中です。
終楽章なんて、ベルリンフィルじゃなくちゃできない、ものすごいことになっちゃってる。

映像作品の音源に自然さを出すためのマスタリングをアバドも立ち会ってほどこし、CD全集としても発売されたのがこちら。
耳だけで聴いても、前回録音よりも高密度。一方で自在な歌いまわしも目立つところで、こちらは映像で観てるから、アバドがオケに任せて流れるように指揮をしてる姿が思い浮かぶことになる。
指揮者とオーケストラが、お互い完全に信頼と尊敬によって結びついて一体となっている希有の姿をここに観て、聴くことができるのだ。

この時からすでに10年。
アバドはルツェルンという最強のオケでマーラーを心置きなく指揮しているが、6番のような曲でも笑みを絶やさずに無垢な指揮ぶりを見せていて、この人はいったいどこまでの高みへ向かってゆくのだろうと思わせるのであります。

このところの体調不良は不安材料ですが、きっとまたニッコリと、どこかのオーケストラの指揮台に立ってくれることでしょう。

ベートーヴェンの7番をこんなにたくさん聴いたの初めて。
しかも、この4CD+DVD、自家製CDRなどなど、全部アバドで。
もうお腹いっぱい。
でも、やたらと食傷ぎみだった7番が、とっても楽しく、新鮮に聴けたのもアバドゆえ。

アバド特集、あと1回。渋いオペラいきます。

最後に、4つの演奏のタイム。
全部繰り返し励行してます。

 

    Ⅰ   Ⅱ   Ⅲ   Ⅳ   TTL
 ウィーン66  13'10  9'47  10'06  9'02  42'05
 ウィーン87  14'30  8'37   9'03  8'56  41'06
 ベルリン99  13'22  7'55   8'46  8'08  38'11
 ベルリン01  13'34  7'38   8'58  8'12  38'22

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