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2010年8月 8日 (日)

ワーグナー 「ニーベルングの指環」 バイロイト2010 ティーレマン指揮

Bayreuthjpg2
行きたいな、憧れのバイロイト
いまはもう違うんでしょうけど、ワーグナーにハマりだしたころに読み漁った本では、この劇場は空調がなく、椅子も木でお尻が痛くなるし、通路がないから、端の方の人は中の方が席に着くまで立っていなくてはならない。。。。云々と。

まさに聖地とも呼べる厳しさを感じたけれど、そうした苦行を経てもワーグナー作品を味わうために世界からワーグナー好きが集まるわけだ。
わたしの部屋には、昨年まで、冷暖房がなく、夏は汗だくになりながら、冬は厚着をして丸くなってワーグナーを楽しんできた。
これも苦行といえよう(笑)。
オペラや楽劇が最終場面を迎え、その末に味わう快楽たるや、そうした苦しみを乗り越えてあまりある喜びなのです。
 そんな中でも、リング4部作をすべて聴き終えるときの満足感と完結感は、あらゆる音楽作品の中でも特別なものでありましょう。

Thielemann
ティーレマンが指揮する「ニーベルングの指環」も今年5年目で、最終回。
タンクレート・ドロストの演出は、画像だけではさっぱりわからない。
妙な衣装が気になるのみで、今年ビデオ撮りが行われるだろうからいずれのお楽しみに。

しかし、バイロイトのサイトからオンラインライブが放送されますよ。
「ワルキューレ」のみですが、有料で8月21日から。
な~んて言ってたら、NHK様が同じものを生放送するじゃあ~りませんかぁsign03
しかも、マイスタージンガーまで。トリスタンもやるけど、こちらは持ってるし。

ワルキューレだけ見せて、4部作で釣ろうという魂胆に違いない。まったく。

Rheingold
今年のリングを、オンデマンド放送でちょろちょろと聴き進め、ついに全部聴きましたよ。

ラインの黄金」からでも顕著で、「神々の黄昏」を聴き終えて痛感したのは、やはり、ティーレマンの指揮のすござ。
ベームやシュタイン、シュナイダーらの速めのインテンポによるカッチリとしたリングとは、一線を画する自在かつ重量級のリング。
かつての、パウゼを多様しまくり、かえって気の抜けた空虚ぶりを感じさせてしまったティーレマンのイメージはバイロイトに登場し始めてからすっかり影をひそめ、タメやのばしなど、時おりやらかす仕掛けが次々に決まり、不自然さもなくなって堂々たる演奏をするようになったと思う。
 リングを知りぬいた者としては、「ここでこんな風にしてみたらどうだろう・・・」っていうところが、ティーレマンだと、そうしてくれるので、「あ、そうなるか」とか「それいい!」って思えて、まことに気分がよろしい。
それは、の輝かしいエンディングだったり、ジークムントとジークリンデのロマンテックでかつ悲壮感あふえる二重唱や逃避行だったり、ウォータンの別れの切なさだったり。
またジークフリートの憧憬や、ミーメとさすらい人の長いクイズ合戦、ラインの旅・葬送行進曲、自己犠牲らの名曲の神々しさだったり・・・と、あれこれあげ連ねたらキリがない。
15時間の長丁場、空白感はひとつもなく、すべてにドラマがみなぎっていて、音楽がそれこそ語っているのがわかるのだ。

Walkure
 しかし、この説得力あふれるティーレマン・リングに疲れてしまうのも事実で、そう何度も聴けるものでもない。繰り返し聴けと言われたら、しばらくいいです、と答えるでしょう。
ベームやショルティ、カラヤンの方が長く聴き続けるに耐えうるものと思ったりしてる。
 ティーレマンは、その点、実際の劇場で一度限りに体験すべきものかもしれないし、もしかしたら毎度異なる演奏をもしかねない油断のならないツワモノにも思われる。

Walkure2
実力派のそろった歌手たちは、私には好みがわかれる方々も混在。

今年は、最後なのに新顔がいて、これは次のリングのプロダクションに向けた布陣なのだろう。
 ヨーハン・ボータのリリカルなジークムントは、美声でありながらスピントも効いていて、こんなに素敵な歌声のジークムントは聴いたことがない。陰りはいま一つだけど。
しかし、この人、声とそのお姿にギャップがありすぎ。(そう、デカイんです)
 ジークフリートは、このところ活躍中のカナダのランス・ライアン。メータのヴァレンシア・リングにも出てますな。私は初聴き。
この若々しいジークフリートは、なかなかのもので、力強さとリリカルな歌いまわしと両方を兼ね備えているように聴こえる。時おり、歌い崩しが聴かれ、それがちょっといまひとつ。
経歴を見ると、J・ライモンディやベルゴンツィにも学んでいて、イタリアものも歌うみたい。
これから活躍しそうな人。
Siegfried1
最初の頃はイマイチだったドーメンのウォータンも、暗めの音色による堂に入った独自の神々の長を作り出していたし、クンドリーからフリッカにまた戻ってきた藤村さんの存在感もまた嬉しいもの。
新国で楽しんだ、シュミットのユニークなミーメ、端役からジークリンデとグートルーネに上がったエデット・ハラーの真摯でチャーミングな歌。
あと、新国バラクが素晴らしかった、ルーカスのグンターもいいです。

Gotterdammerung
 ワトソンのブリュンヒルデも、われわれには親しみ深いものだけれど、ちょっと大ざっぱすぎやしないか、と。
ショーアのアルベリヒ、ハルファーゾンのハーゲンは、ともに長く歌っているけれど、ちょっと声が軽すぎと聴かれるが、演出上はもしかしたら合っていたのだろうか。

Bayreuth
舞台奥から見た劇場の画像を発見しました。
死ぬまでに、いつかあの席に座ってやるsign03

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コメント

死ぬまで座ってやる!座り心地が悪いと評判の席だけど必ず座ってやる!なんならバイロイト期間中、ずーっと通しで座ってやる!アイーダ見てもボエーム見てもずっと寝ていた妻と一緒じゃなく、私と今でもナカヨシしてくれる娘と見に行きたいと思っているおとうさんなのでした^^;いやいや、ダメおやじの最後の望みなのかもしれません。

投稿: モナコ命 | 2010年8月 8日 (日) 17時58分

私もティーレマンのリング、聴いています。ワルキューレまでは聴きました。ティーレマン、いいですよねえ。マジですか、っていうテンポ取りで、一瞬違和感を覚えるんですが、その後、あ、これカッコイイかも、という風に籠絡されてしまう感じです。今年はオンデマンド放送なしかと思ったら、ワルキューレをやるのですね。
私も一度はバイロイトの座席に座ってみたいです。

投稿: Shushi | 2010年8月 8日 (日) 19時13分

私は黄昏だけ聴きましたが、ほんと指揮は素晴らしい。
ティーレマンは的確にツボを押さえてくれるんで、気持ちいいマッサージを受けているようです。
そこですそこなんです…。

ワグネリアンにとっては最後の砦という感じですね。
これで歌手がこの指揮に対抗できていれば…。

投稿: コバブー | 2010年8月 9日 (月) 06時53分

モナコ命さん、こんにちは。
あそこに行けたら、死ぬまで居座りましょう!

ウチもかみさんは、まったくダメ。
娘もピアノは弾くけれど、クラシックはダメ。
ということで、寂しく一人であそこに座ることになりそうな、ダメおやじのワククシにございます(涙)

投稿: yokochan | 2010年8月 9日 (月) 12時40分

shushiさん、こんにちは。
ティーレマンは、やはりタダものではなかったです。
これもあり!の連続で、飽きることなく新鮮に聴けます。
オンデマンドは有料で、NHKはタダ(受信料別)というのはなんともいえませんが、NHKの技術でも入るのでしょうか。

こんなこと考えてたら、バイロイトのリングをいずれ東京でやる日が来るかもしれないと思えてきました。
でもそれはまた勘弁してもらいたい気もしますが・・・。

投稿: yokochan | 2010年8月 9日 (月) 12時44分

コバブーさん、こんにちは。

>気持ちいいマッサージを受けているようです<

うまいことおっしゃる~。
ほんとそうなんですよね。
かゆいところに手が届くというか、ワグネリアンであることを見透かされているというか・・・。
ニクイ演奏です(笑)
この調子で、全ワーグナーをバイロイトで残していって欲しいものですね。
歌手が寂しいのは已む無しですが、歌唱スタイルがスマートになりすぎて、もう別次元になってしまった昨今に思います。

投稿: yokochan | 2010年8月 9日 (月) 13時13分

こんばんは。東京は久しぶりの雨と猛暑から解放されました。でも、明日からまた、逆戻り。
エアコンをかけながらワーグナーを楽しむのもいいですが、実はエアコンが苦手。冷えすぎると頭が痛くなってしまう。夏の劇場で経験しました。カーディガン持ってくればよかった~。
6枚目の写真が現代っぽくなっているそうだけど。
今、ワーグナーを知り尽くしているのはティーレマンだと思います。

投稿: eyes_1975 | 2010年8月 9日 (月) 19時41分

eyes_1975さん、こんばんは。
今日は過ごしやすかったですね。
明日もこんな天気で、真夏の太陽も恋しいような気もします。
大曲を聴くのに程よい気温かもです。

いまほど暑くはなかったのですが、冷房が希少な時代は、いったいどうやって過ごしていたのでしょうね。
自然が一番なのですが、今年は暑過ぎです。

で、ティ-レマンはいまのところ、ワーグナーでは一頭抜きんでていますね。
メストやラトルはもっとスマートです。

投稿: yokochan | 2010年8月 9日 (月) 23時55分

いや~。。。ホールのお写真。
途中を縦断するような通路がホントにないんですね。真ん中あたりの席にあたって途中便意を催したら、さぞ悲惨であろうと思ったり。。。そこはストッパ必須か?・・・失礼致しました~m(_~_;)m。
西欧ってちょっと前までは真夏開催でも冷房要らずだったんでしょうかね。ここ最近のように猛暑が当たり前になると、空調必須かも知れませんね。
脱線しますが、ムジークフェラインってどうなんでしょう?冷房がないのは元より、暖房もなかったりして。そんなんガマンせいっ!てのもアリそうな(^^;。

投稿: 左党 | 2010年8月10日 (火) 20時53分

左党さん、どうもです。
バイロイトの通路なしは、胃腸の悪い人間には恐怖すら覚える構造ですな。
ワーグナーがなんで通路を造らなかったか不思議なのでありますが、それだけ舞台と音楽に集中しろっていうことなんでしょう。

いまはあるとは思いますが、ちょっと前までのレポートでは、猛暑に襲われて汗だくで聴いたとのことを読んだことがあります。
オケも見えないから、自由なカッコで演奏してるらしいです。
 ムジークフェラインは、暖房はありそうですよ。
ニューイヤー見てると、息が白く見えないですもん(笑)

投稿: yokochan | 2010年8月11日 (水) 08時48分

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