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2010年8月 7日 (土)

ヴェルディ レクイエム シュナイト指揮

Anne_3

先週末の、西宮「キャンディード」観劇前に訪問した「アンネのバラの教会」。
アンネの日記につづられた平和と愛への思いを受け継ぐべく設立された教会。
庭には、アンネの立像が立ち、そのまわりには、「アンネのバラ」と呼ばれる黄金に近い色のバラがたくさん植えられている。
もうシーズンは終わってしまって残念。
こちらで見てみてください。

Anne_5
西宮の山の手に建つちょっと可愛い教会。
かなりの坂道を登り、もう汗だく。
でも、ここは高台、さわやかな風が吹き抜けていました。

Verdi_requiem_schneidt
 毎年、夏のこの時期に聴きたくなる曲。
ヴェルディレクイエム
何度も書くことで恐縮ですが、中学の時に、テレビでバーンスタインの指揮する演奏をテレビで観たのが8月で、これがきっかけ。
飛んだり跳ねたり忙しいバーンスタインだったけど、祈るような指揮姿にこそ、レクイエムの本質を見た思いだった。

いくつも音源を揃えたけれど、やはりアバドとスカラ座のものが一番であることは自分のなかで変わりがない。

今回は、見つけたとき、こんなのあったのかと驚いた、ハンス・マルティン・シュナイト指揮のCD。
シュナイト師のイメージは、どうしてもバッハを中心とするドイツの宗教音楽のスペシャリストということになってしまうが、教会の少年合唱団からスタートし、オルガンも修めたことから宗教と教会音楽が身にしみついている事実からである。
そして、急逝したリヒターのあとを継いで、ミュンヘンバッハの指揮者になったことも、そのイメージを強める事実であろう。

でも、シュナイト師は、オペラ指揮者としても活躍したし、コンサート指揮者としてもいろんな録音を残しているはずだ。
そして、我々がよく知っているシュナイト師の顔は、日本を愛した滋味あふれる姿である。
時に厳しすぎて、演奏者を震え上がらせたらしいけれど、出てくる音楽はいつも優しい歌に満ちあふれ、聴く者を大きく包みこんでしまうような大人であった。

    S:シャロン・スゥイート    Ms:ヤルド・ファン・ネス
    T:フランシスコ・アライサ  Bs:サイモン・エステス

  ハンス・マルティン・シュナイト指揮ザールブリュッケン放送交響楽団
                       ミュンヘン・バッハ合唱団
                       フランクフルト・ジングト・アカデミー
                         (1988.10.30@ミュンヘン)

この演奏は正直素晴らしい。
イタリア人が一人も見当たらない演奏であるが、ここにあるのはまぎれまない歌心と真摯なる祈りの音楽であり、たまたまそれはヴェルディの音楽であることにすぎない。

だからもっともヴェルディ的な、インジェミスコではテノールのアライサは押さえに抑えられていて、清潔な歌に徹しているのが面白い。
華やかなサンクトゥスも、流線的な流れるような解釈で、少しも浮つかない。
よって、多くの聴き手が期待する、怒りの日の爆発力とドラムの迫力は、ここではおとなしめで、足音はドタドタするけれど、少しも威圧的じゃない。
次ぐトゥーバ・ミルムでは、ラッパの付点が感じられるような特徴的な吹かし方で、まさにくしきラッパを思わせる克明なもの。迫りくる地獄の裁きをいやでも感じさせる迫力も次いで現出する。

ゆったりとしたラクリモーサは、重い足取りで涙にくれているようだが、音色は不思議と明るい。そしてアーメンをもう止まるくらいにじっくり歌う。
哀れなる我、レコルダーレ、ルクス・エテルナ・・・、これら、ヴェルレクの中でも美しい場面は、それこそ歌と温もりに満ちていてずっと浸っていたい耽美すれすれの演奏。

劇的な解釈や抒情的な場面は、聖句の意味するところに重きを置いて施しているようで、こうすることによって、ヴェルディの歌心が不思議とシュナイト節と渾然となってしまい、ユニークなレクイエムが出来あがっているのだ。

女声ふたりは素晴らしいし、バランスもいいが、アライサは苦しそうだし、エステスはちょっと異質で時おりオランダ人が顔を出すのがおもしろい。
合唱の精度はもう完璧です。さすがにミュンヘンバッハ

壮絶でやや重いリヒターの演奏と比べ、少し歌に傾きすぎるくらいに祈りをそこに乗せてしまいヒューマンな演奏としたシュナイト。
ヴェルレクは、どんな演奏でも素晴らしい。

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