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2010年9月18日 (土)

ヴォーン・ウィリアムス 「揚げひばり」 マリナー指揮

Azuma_1
まだ暑かったころの空。
いつもの、神奈川の小山の頂上。
空は秋の雰囲気。

Rwv_marriner

夏を偲んで、今日は軽く爽やかなものを。
公演中のサー・ネヴィル・マリナーにもちなんで。
この1枚は、以前、「ヴォー・ウィリアムスのさわやかな世界」として、このレコードが発売された時のキャッチフレーズのままに記事にしております。

今回は、その中から、「揚げひばり」のみに絞って聴いてみましょう。

雲雀=ひばり。
漢字で書くと、雲のスズメかぁ。見た目が確かにスズメに似てるけど、雲をつけるだけで、やたらと文学的な香りがするじゃありませぬか。
上へ上へと飛翔しながらさえずる様子から、雲の漢字を上に冠したのもよくわかりますな。

レイフ・ヴォーン・ウィリアムス(1872~1958)の「揚げひばり」ほど、私たち日本人の心の提琴にふれる英国音楽はないのではないでしょうか。
冬が去り、お日さまの暖かさを背中に感じつつ、野原で高く舞う雲雀の楽しげな声を聴く休日の昼下がり。
そんな光景を思い浮かべてください。
春の初めから初夏にかけての季節がいいですな。

さらに、RVWが音楽的に解釈しようとした小説家・詩人ジョージ・メレディスの詩に目を通すことで、この素敵な音楽の魅力は倍増するんです。

     ひばりは空に舞い上がり、輪を描き始める
    ひばりは、とぎれることのない多くの環のある
    銀の鎖のような音をしたたり落とす・・・・

    どこまでもひばりは飛んでゆき、その声を大地にしみこませる
    この谷はひばりの金色に輝くグラス
    そこには、なみなみとワインがあふれ、
    ひばりと一緒にかかげるのだ・・・・


雲雀が鳴くのは高く舞うときだけ。
揚がったら、降らなくてはならないけど、その時は鳴かない。
そういえば、「美空ひばり」って名前もよく出来た美しい言葉の組み合わせであります。
「ひばりヶ丘」とかも、全国にいつくかあるけれど、いかにも住んでみたくなる街の名前ですねぇ。
関係ないけど、ビバリーヒルズをもじって、チバリーヒルズなんて呼ばれた千葉のバブリーな某ヶ所は、いまではすっかり閑古鳥の街になっちゃった。

ふたつの世界大戦を経験したRVWの音楽は、非常に多面的で、9つある交響曲は田園風のものあり、スペルクタルあり、描写音楽風でもあり、不協和音乱れ飛ぶシャープなものあり、モダニスト風のものありと、ほんといろいろ。
やはり親しみやすいのは、英国の風景を感じさせる緩やかで美しいメロディを持つ作品でありましょう。
自国の民謡を採取し各地を回ったRVWの真髄はそのあたりにあるのです。
オペラ作品もいくつもあって、ただいまいろいろ聴いているところでありますが、それらの作品の中にも、こうした田園情緒あふれる抒情的な旋律があふれていて、ともかく素敵なRVWなのであります。

一度聴いたら好きになってしまう「揚げひばり」。
キム・ヨナちゃんがフィギアスケートで演じたことにも、そのセンスの良さを感じますな。
アルウィンの「リラ・アンジェリカ」とともに、素敵な選択として、クラヲタたちを感心させた出来事でございます。

マリナーを好きになったきっかけのような、このレコード。
1974年頃に発売され、ジョン・コンスタブルの風景画とともに、ずっと私の心に刻みこまれている1枚。
これぞ、マリナー&アカデミーのこちらも真髄である、さわやかさの極致。
アイオナ・ブラウンのでしゃばらないソロは、完全にアカデミーの一員として一体となっていて、有名ヴァイオリニストたちの弾きすぎる演奏より、この曲の場合はるかに好ましい。

Azuma_3
まだ淡い色づきのコスモス。
夏は去り、こちらはこれからが本番shine
    
 

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コメント

こんにちは。最初の写真がまたイギリスを思い起こさせますね。丘の稜線の向こうにはまた緩やかな丘が連なっていて…。私も昔一度だけ行ったことがあります。
出ましたね!揚げひばり。心に静かにしみる逸品です。キム・ヨナの時はテレビに向かって思わず「おぉ!」と声を上げてしまった記憶があります。
マリナー盤は仰るとおりブラウンがオケの中のソロという感じで、ひばりが中心の音楽というよりひばりが鳴く風景が中心という印象ですね。自称英国物のファンですが、マリナーのCDはほんの少ししか持っていなくて、これでは「なんちゃってファン」に格下げです(笑)。N響とのこちらのブログを読ませていただくにつけ、マリナーはいわゆる伝統的なイギリス人指揮者のあるいは最後の巨匠ですかね。さりげなさに円熟がにじみだして、きっと格調の高い演奏なのでしょうね。

投稿: Tod | 2010年9月18日 (土) 14時14分

こんばんは。「揚げひばり」はズーカーマン、バレンボイム、イギリス室管もいいけどマリナーの流麗なサウンドは空気の澄んだ秋にもぴったりですね。
ファミレスの草分け的存在だった「すかいらーく」今はガストに吸収され、シンボルマークのひばりが揚がった回転ポールはすっかりみかけなくなりました。
キム・ヨナ選手の演技に乗せたメロディー。フィギュア・スケートが好きならクラシックも好き。2010年度のシーズンも楽しみになってきました。

投稿: eyes_1975 | 2010年9月18日 (土) 20時34分

おや!同じCD持ってます。ロンドン・レーベルの3千円盤でした。
初めて聞いたのは冨田勲さんのドナウ川かどこかでの野外イベントで、船の上で千住真理子さんが弾いていたものでした。
ストコフスキーの「グリーンスリーヴス」、バルビローリの「タリス・・・」等等、こういう聞きやすいところからRVWに入っちゃった私は、後に彼のシンフォニーで大いにずっこけるわけで、今も格闘中みたいなもんです(苦笑)。

投稿: 親父りゅう | 2010年9月18日 (土) 20時46分

Todさん、こんばんは。
この写真の構図、好きなのです。
私の郷里にこんな素敵な場所があってとてもうれしいです。
仰せのとおり、英国風景のひとコマのようでもあり、また北海道の風景みたいでもあります。
この向こうが海なところが、ちょっと違いますが。
私も一度きりの渡英ですが、車を走らせましたので、丘の連なりをいくつも見ることができました。

マリナーの英国ものは、まだまだ録音して欲しい作品が一杯ありまして、頼みのレーベルがまったく機能してないので、もう期待できそうにありません・・・。
毎年にでも元気に登場して、自国の音楽を滋味ゆたかに演奏して欲しいと願ってやみません。
 それにしても、この曲は沁みますね!

投稿: yokochan | 2010年9月18日 (土) 22時13分

eyes_1975さん、こんばんは。
>空気の澄んだ秋にもぴったりですね<
そうそう、そうなんです。
ひばりは、秋は鳴きませんが、この音楽は秋にも映えます!
キム・ヨナの選曲はいいです。
日本選手も、クラシック好きからすると、だんだんよくなってきた気がします。
 スカイラーク、そうか、まさに、揚げひばりですね!
低価格路線に変換、グループのバーミヤンも同様にガストに変換。
コンセプトとブランドがいまの厳しい外食産業では価格中心になってしまい残念ですね・・・。

投稿: yokochan | 2010年9月18日 (土) 22時27分

親父りゅうさん、こんばんは!
やはりお持ちでしたか。
わたしも30年以上聴いてきた演奏でして、自分の大事な一部のような感じです。
富田勲とは、またいまや懐かしいお名前ですね。
シンセサイザーとヴァイオリン、なんだか聴いてみたい「揚げひばり」ですねぇ。
 私も当然に、グリーンスリーヴスですが、たしかプレヴィンの来日公演のテレビだったような気がします。
RVWの交響曲は確かに手ごわいですね。
バラエティに富みすぎなんでしょうか。私も格闘は終わりません~

投稿: yokochan | 2010年9月18日 (土) 22時41分

今晩は。マリナー盤は残念ながら持っていないのでアンドリュー・デイヴィス&BBC響の演奏で聴いてみました。私には揚げひばりよりも、トマス・タリス幻想曲の方が合っているようです。RVWの交響曲は確かに手ごわいですね。私は1番・2番・5番が好きです。サー・アンドリューの演奏で全曲聴きましたが、9番などはいまだにチンプンカンプンです。新ウィーン学派らの無調や十二音技法を使った曲の方がまだとっつきやすいのではないかと思うほど難解ですね。ブログ主様もまだ格闘を続けておられるのですね。

投稿: 越後のオックス | 2010年9月18日 (土) 23時00分

越後のオックスさん、おはようございます。
タリスもいい曲ですねぇ。
このマリナー盤にも収録されてますが、こちらも美しい演奏になってます。
 たしかに、第9は難物。そして第8も。
7番までは、頭の中にだいたい入っているのですが、8・9はイメージが浮かびません。
そういえば、RVWの交響曲シリーズ、止まってました。
再開しなくてはなりませんね。
そうそう、ショスタコも停止中につき、そちらも(笑)

投稿: yokochan | 2010年9月19日 (日) 09時16分

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