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2010年9月21日 (火)

NHK交響楽団オーチャード定期 マリナー指揮③

Orchard_hall_1
今日は、オーチャードホール。
蒸し暑いし、渋谷の雑踏はいやだけれど、今日も聴きます、サー・ネヴィル・マリナーを。
今日の席は1階後方。
長いオーチャードホール、ステージは遠く、上には2階が被っちゃっていて、これでS席かよ、って感じで不満。 (S席しか売ってない!プンプン!)
前からこのホールは、NHKとならんで避けたい場所。でも選択はできず、やむなし。
遠い音像ながら、その溶け合いと、響きは悪くなく、前の方の頭と、早過ぎる拍手、周囲の飴食いに負けることなく、決死の気分で音楽にかじりつくようにしました(笑)

ところで、コンサートでの写真はご法度。
あたりまえながら、とりわけ厳しい日本のホール。
開幕前か終演後ならいいのでしょうかねぇ。
前回サントリーでは、客引きを待って、堂々と撮ってみたけど、係りのおねぇさんは何も言わなかった。
今日のオーチャードは、おねぇさん方の見回りも厳しく、アナウンスで、撮るな撮るなと盛んに言っていたものだから、小心のあたくしは、やむなくこの映像をパシャリ。
これすらも咎められるんでしょうかねぇ・・・・。
権利の主張と保護の領域の按配、わたくしにはよくわかりません・・・・。

そんなこと言いつつ、思いつつも、遠くで聴きながらも、マリナーは、マリナー。
サー・ネヴィルは、サー・ネヴィルでございましたnote

Nhk_orchard
   
   メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟」

   モーツァルト    クラリネット協奏曲

              「Let’s Be Happy」(アンコール)

          Cl:マルティン・フロスト

   ブラームス     交響曲第2番

     サー・ネヴィル・マリナー指揮 NHK交響楽団

                    (2010.9.20@オーチャードホール)

いかにもマリナー好みのプログラム。
冒頭のメンデルスゾーンから流動感あふれるマリナー節全開。
遠くで汽笛を聴きながら・・・じゃないけど(若い方は知りませんよね)、遠くで音像がしっかりマリナーの造り出す美しい弦中心の響きで、私に耳にしっかり結ばれる思い。
これは、言っちゃなんですが、マリナーを聴いてるという思いと現実が結びついてしまったに他ならず、もしかしたら他の方はそんな風には思わなかったかもしれない。
好きな演奏家を実演で聴くとことって、こういうことなんではないでしょうか。
あれれ?ということも正直思いつつ、日頃音源で聴いてる好きな演奏との折り合いをつける。
こんな聴き方でいいのではないでしょうか。
そして、絶対的でない、円熟の文字が似合わないマリナーこそ、音源で育まれてきた私の中での偉大な指揮者であって欲しい。

なんだか妙なことを書いてますが、マリナー卿の指揮というのは、CDで聴くのとおんなじなんです。

 前回定期で書いたように、ライブで時に燃え上がるマリナーは、今日は大人しめ。
でも、モーツァルトは絶品でございました。
美しいモーツァルトのイ長調、シルキーな弦とふんわりとした管のうえに、天衣無為ともいえるフロスト氏の縦横無尽のクラリネットが乗って、言葉に尽くせぬほどの感興に富んだ演奏が繰り広げられたのでありました。
 長身で、北欧ご出身ならではの鮮やかな金髪。黒のぴったりスーツには、シルバーの縁どり鮮やか。アクションも豊かで、その体は音楽に合わせてオケと一体になっていたし、へたすりゃ指揮までしかねない勢い(笑)
でも、マリナーさんは、マイペースで、でもソロの縦横無尽な演奏にピタリと合わせて、とりわけ強弱ゆたかにオケをリードしてました。
見た目はユニークながら、マリナーともども、モーツァルトの本質をしっかり押さえた名演だったと痛感してます。
 アンコールは、弦セクションをバックに、縦横無尽、技巧の限りをかけ抜ける、痛快きわまりない演奏の曲。これはいったいどういう曲にございましょうか!

後半のブラームス
間の取り方、ための少なさともに、マリナー卿ならではの横へ横へと流れるような爽快なブラームスで、南オーストリアのおおらか風物というよりは、日頃われわれが慣れ親しんだ田園風景だったり、山の光景だったりで、なによりもその日常性が際立っているのがうれしい。
1楽章のピチカートと管のスタッカートにのった木管のさえずりも、あっけないくらいにサラリと演奏される。ブラームスの音楽そのものが持つ美しさが、そのままに表出されたみたいだ。
ちょっと寂しい2楽章のさりげない美質、素朴な雰囲気で媚の少ない3楽章。
そして終楽章の歓喜の爆発も決して劇的でなく、明るさと気品の高さが際立ち、終結部への盛り上げも極めて着実で、聴いていておおらかな気持ちにみたされるブラ2でありました。

N響のうまさ、音の強さ、そして繊細さを遠めながらゆえに痛感したのも今宵。
プレヴィンとともに、N響がお気に入りの指揮者となったサー・ネヴィル。
こだわりのなさと、おおらかさ、過度な主張の少なさのかわりにある完全さへのこだわり。
それらがおのずと生み出す爽快な演奏。
そんなところに、重厚なN響も大いに共感をしめしているのかもしれない。

Orchard_hall_3
終演後は、いつもマリナー記事に、親密なるコメントをくださる「ナンナン」さんと初めてお会いして、軽く会食。
マリナー卿のことをずっと語れる希有のお方。
お互い、珍しいですねぇ、と笑いながら楽しい時間を過ごすことができました。

元気なサー・ネヴィルが、次に来日したときは、N響の合間をぬって、ギャラは厳しいけれど、神奈川フィルに客演してもらって、石田コンマスとRVWの「揚げひばり」を演奏して欲しいsign01という結論に達しました。
 どうもお世話になり、ありがとうございました。

               



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コメント

先日は楽しい時間をすごすことができ、本当にありがとうございました。また、色々おいしいものを食べながら、お話できたらと思います。

今日のコンサートは、僕も聴き終わったあと、なんともいえない、おおらかな気持ちになれました。こういう気持ちにさせてくれる指揮者は、少なくなってきたと思うんですね。
ぜひ、次の来日では、神奈川フィルでRVWの「揚げひばり」をやってほしいですね。山本さんの独奏でフィンジのチェロ協奏曲もいいかも。

投稿: ナンナン | 2010年9月21日 (火) 01時48分

ナンナンさん、こんにちは。昨日はこちらこそお世話になりました。
マリナー大会もあと1回になり、寂しい気持ちもありますが、元気でまだまだやれそうなお姿を目に焼き付けておきたいと思います。
次回は神奈フィル作戦で、ダメもと根回しをしたいと思います(笑)
また、よろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2010年9月21日 (火) 12時37分

私は結局、ラジオで、ベートーヴェンの7番とブラームスの1番のシンフォニーを聴くことができましたが、
いやびっくり。もっと軽く上品に進めるのかと思いきや、ブラームスなど、のっけから重厚で、どっしりとした響き。
「え?これ、マリナー?」とちょっと疑ってしまったぐらい(ごめんなさい!)。
それでいながら全く押しつけがましくない気品が素晴らしかったです。こういう指揮者、少なくなったような気がします。
まだまだ元気そうとのこと、もう一度来日してくれないですかねぇ。

舞台に人がいなけりゃいいじゃないか!って思うんですけど、
やっぱり人の目が気になりますよね。なかなかカメラは向けにくい。
そんなカメラ云々を注意するより、演奏中のビニール袋がさごそとか、
携帯とか時計のアラームとかの方がよっぽど問題のような気がします・・・。

投稿: minamina | 2010年9月21日 (火) 23時22分

minaminaさん、おはようございます。
マリナーのライブはこれまでそこそこ聴いてきましたが、鳴らすところはメリハリつけてかなりいきます。
しかし、あっさりしたくどさのないマリナーらしさも随所にあって嬉しいのですよ。

今回は、FMの録音をしませんでしたが、放送ではどんな風に聴こえたか非常に興味があります。
NHKは、音楽祭は何度も何度もくどいくらいに再放送するくせに、N響ライブは一回っきり。
過去演も含めて、そのライブラリーを定期番組にすべきであります!

それとそうなんです、カメラに目を光らす前に、そうしたマナー向上に注力すべきですよね。
写真撮ったって、商業的に使う人はあんまりいないと思いますしねぇ。

投稿: yokochan | 2010年9月22日 (水) 07時48分

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