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2010年9月30日 (木)

ショスタコーヴィチ 交響曲第12番「1917年」 ハイティンク指揮

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あか貝と、つぶ貝。
刺身と貝、海の幸を、こんな風に喜んで生で食べる国民は、いくつかあっても、日本が一番。
何でも食べてやろうというチャレンジ精神がずっとこの国にはあって、動物は奥手だけど、海や川のものはみんな食べてきたんじゃないかしら。
どれもこれもお酒にも、ご飯にも合います。
でも飲みすぎ注意ですな。

 飲みすぎといえば、この夏、お姉さん酔っ払いが出没しまして、目を見張ったものでした。
私の通勤先の駅を降りると、駅のアーチをこえて道路をまたぐ歩道橋がありまして、その下り階段に、彼女はいらっしゃったんです。
真夏のくそ暑いあの日々の朝9時頃。
階段に腰掛け、傍らには赤ワインを置いて、ゆらゆらと揺れながら、四方八方文句を言ってらっしゃる。
長いきれいな髪に、すらりとしたジーンズ。かっこいい美人さんですよ。
しかし、完璧に酔ってる・・・・。

数日後、今度は階段の下をよろよろと歩いてらっしゃる。
相変わらず、さらさらの長い髪に、今度はデニムのミニを履いていて、おっ、と思わせる美人っぷり。
やたらと怒ってて、目があったら大変・・・、と思わせる酔いと絡み具合。
通りかかる人に悪態付いてる、朝8時55分。
怖いわ、どうしようと思いつつ、真横を通り過ぎると、「お~い」と一声。
弱気なワタクシは、周囲の目も意識しつつ、聴こえなかったフリをしてそそこくさと、現場を立ち去ったのでございます。
そのあと、わーわー言ってたけど、多分次のターゲットを見つけたのでございましょう。

あの夏の日以来、彼女を見かけることはありません。
どーしちゃったのかしら。
心配だし、も一度会ってみたいオヤジ心もありま~す。はははっ(笑)・・・
期間限定の泥酔姉さんでした。もしかしたら、彼女は水木しげるの世界の人かしら・・・・。

Shostakovich_sym12_haitink
タコいきます。

長いこと放置してあったショスタコーヴィチ交響曲シリーズであります。
去年暮れに、ゲルギエフの「タコ・ナイト」を聴いて、毒気が抜けられて、すっかりタコ熱が覚めてしもうた。
あれ以来、ショスタコーヴィチは聴いておりませぬ。
謎の多い指揮者に謎の作曲家。
さっぱりわからんであります。

こういうときは、基本に戻ってハイティンク
結局は混乱を招いただけの、例のヴォルコフ証言(分厚い文庫、読みましたよ)の真っ盛りの録音時期だけに、ハイティンクの演奏もその影響を受けているとも言われるが、そんなことはほっといて、ここに出てくる超立派な純音楽的な演奏を素直に楽しみ、感じればいいのであります。
まさに、基本。それ以上のことはしてないが、でも音楽レヴェルは最高水準。
ベートーヴェン以来の交響曲の流れの中に、シンフォニストとしてのショスタコーヴィチをしっかりと捉えてみせたのがハイティンクらしい流儀で、ロシア臭はない、こうした西欧流の演奏が、わたしにはしっくりくるんです。
コンセルトヘボウが、まだその独特の美を誇っていた時期だけに、ホールの響きの美しさとともに、強烈なフォルテでも全然威圧的にならない。
完璧なオーケストラに無欲無私の指揮者の演奏なのだ。

1917年の10月革命&レーニン讃。
暗さから輝かしい勝利風の結尾を迎える、さもありなん的な、アタッカで4つの楽章がつながった賑々しい交響曲。
正直、空々しいほどのエンディングは、5番や7番と同じくティンパニの連打を伴う壮絶なファンファーレで、いまのわたしには耳に辛い音楽である。
これなら、4番や13~15番の方がずっと好き。
例の証言では、ショスタコーヴィチさんは、レーニンなんてその年(1917年)に見たこともなく、レーニンを迎えての行進運動に参加したものの、誰が来るかも知らされてなかった。
むしろ、その年、衝撃だったのは群衆のいざこざで、少年が兵に惨殺されたこと・・・、なんて言ってた、と書かれてる。
1961年の交響曲第12番「1917年」でございました。

もう、そんなこと、どーでもいいや、と思える最近のショスタコ。
だから、ハイティンクが一番なんです。わたくし。
タコ好きの皆さん、あしからず。

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コメント

たびたび失礼いたします。泥酔姉さんは正体が気になる存在ですね。相手にしなかったのは正解だったのではないでしょうか(笑)
 ショスタコ12番はハイティンクかマリスで来るだろうと思っていましたがやはりハイティンクでしたね。私はショスタコが体制側の要請で嫌々作ったのではないかと思われる曲が結構好きで(邪道?)、交響曲だと11番や12番、それ以外のジャンルの曲だと森の歌や祝典序曲が好きだったりします。
 私がはじめて聞いた1917年はヤルヴィ&エーテボリの演奏です。浪人していた頃のことです。カップリングされている初期の劇音楽ハムレット組曲も面白い曲でした。今はバルシャイで聴くことが多いです。

投稿: 越後のオックス | 2010年10月 1日 (金) 00時00分

越後のオックスさん、おはようございます。
おねいさんの相手をしなかったのが正解というか、いまやその正体知りたさに悔やまれる思いとなっております(笑)
12番は、マリスのサイン入りの1枚を予定してましたが、今週のテーマからしてハイティンクを選択しました。
この曲は、録音が良くて、耳にうるさくない演奏じゃないと、私はダメなんです。
でも昨夜は疲れました。
11番の方がいいです。
しかし、政治が結びついた曲よりは、13番以降の人間を見据えたような作品の方が好きですね。
でもどちらに、タコさんの真意があったかは今後も謎ですね。。。。

投稿: yokochan | 2010年10月 1日 (金) 08時26分

おひさしぶりです。しばらく他のブログの常連になっていました。まあ、言ってみれば浮気をして朝帰りってところです^^;1917年!よいではないか!よいではないか!ハイティンク、よいではないか。私はスベトラーノフのぎんぎんの演奏を楽しんでいます。
そうか、朝から酔っている美人か。。。近寄っちゃダメですね。。。まあ、秋の夜長は1917年でも聴いて、スターリン君をおちょくって楽しみましょう^^

投稿: モナコ命 | 2010年10月 1日 (金) 20時44分

こんばんは。ショスタコの「1917年」今はアシュケナージのデッカ全集のみ。ロイヤル・フィルが豪快に。コラールがシリアスに。健全とはいえないが、元々、ピアニストだった作曲者と共通点があるのが、本来のタコのつぼですね。
過去にショスタコ作品はあまりいい思いがなく、マリス君のウィーン・フィル録音の「革命」が美人過ぎ。ムラヴィンスキー、レニングラード・フィルの「レニングラード」が期待外れでショスタコ嫌いになった。マリス君はまともに聴けるようになったが、ムラヴィンスキーはチャイコの「後期交響曲」の方がマッチしている。
実はおせじにもハイティンクのショスタコは1曲も聴いてない。美人ショスタコに戻りましょうか。(笑)
ただ、勘弁して欲しいタコもあります。またまた容疑者となった田代○さしが駅で言い訳したタコ発言。
いい例は占いタコのパウル君。生存している間に誰が奏でたショスタコがいいか占ってもらいたい。

投稿: eyes_1975 | 2010年10月 1日 (金) 22時00分

ハイティンク、大好きです♪
私はフィデリオを聞いて鳥肌が立ちました。
ショスタコは残念ながらピアノトリオとヴィオラソナタ以外、全然知りませんが。

泥酔嬢、気になりますね。でも酔っ払ってても美人に見えるって、すごいです。。
と、同姓としてしみじみ思います。笑

ところで、全然関係ないんですけど。
ベイスターズが新潟に身売りされるかもしれない、という噂を聞きました。神奈フィルより先にこっちが存続の危機に陥るとは・・・ハマっ子としてはどう反応したらよいのでしょう・・・。泣

投稿: 恋するオペラ | 2010年10月 1日 (金) 23時04分

モナコ命さん、こんばんは。
しばらくお越しにならないと思ったら、そうだったのね・・・(爆笑)
ギンギンのショスタコは、最近、苦手となりつつありまして、きっとそれにまんまとはまってしまう自分が見えるものですから避けるようにしてます。
そう、おっかない泥酔おねいさんのように・・・。

秋は、サンマとタコの季節です。
涼しくなったので、暑苦しい音楽もOKです!
また、どうぞお寄りください、ビール冷えてますよ(笑)

そうそう、モナコ10CDのボックスを買いました!

投稿: yokochan | 2010年10月 1日 (金) 23時15分

eyes_1975さん、こんばんは。
アシュケさんのショスタコは、あまり聴いてないのですが、N響でも盛んにやってましたね。
シドニーでもチクルスやりそうな予感です。
世評高いムラヴィンスキーのショスタコは、あんまり聴いてないんですよ。
だからどうしても、ハイティンクかマリスになってしまうのが悲しい現実ですが、これはこれで満足すべき優秀演奏です。

田代ま○しは、勘弁ですが、たこのパウル君のタコ占いは、ナイスな企画ですねぇ(笑)
パウル君、ドイツやロシアに恨まれそうな予感・・・・。

投稿: yokochan | 2010年10月 1日 (金) 23時31分

恋するオペラさん、こんばんは。
まずは、ベイスターズ。
明日に記事に書こうと思ってますが、このところ気が気じゃないんです。
これまで何度かこんな危機があったヘボ球団ですが、今度ばかかりは、身売りのうえ、関東を所払い・・・・。
あぁ、ファンであることを継続できるかの瀬戸際なんですよぅ(涙)

ハイティンクは、チューリヒによく登場してましたね。
フィデリオもDVDになってましたっけ。
ともかく真面目で、音楽的な紳士ですね。
あと、タコさんのヴィオラソナタは深いです!

真夏の泥酔嬢、あれは幻だったのではと、いま思ってます。
怪しんいです。。。。

投稿: yokochan | 2010年10月 1日 (金) 23時39分

こんにちは。ハイテインクのショスタコは11番で衝撃を受けた記憶があります。それまで旧ソ連系で聴いていたので"ハチャメチャな曲"(怒られますね)という印象だったのですが、ハイティンクのは同じ曲?と思うくらい音楽的で洗練と格調の高さがありました。11番、ちょっと見直したぜぃって感じでした。12番はほぼ未聴に近い曲ですが、似たような演奏なのでしょう。
ヴィオラソナタや15番(弦四も)はたまに聴きたくなります。
ハイティンクは曲に対していつも真摯に向き合い丁寧に聴かせてくれて私も好きです。英国音楽の時もそうですね。「あんた外国人なのによくもまぁこんなに真面目に英国音楽に取り組んでくださって、ほんとにありがとね」と涙が出るほど感激します。オケが多くの場合とても充実した響きで応えているのも、演奏しやすい呼吸で指揮するからでしょうか。

投稿: Tod | 2010年10月 2日 (土) 14時45分

Todさん、こんばんは。
ハイティンクのショスタコーヴィチは、本場演奏から遠く距離を置いた、そう洗練と格調の佇まいをみせるものです。
ソ連・ロシア系からしたらふがいないのでしょうが、オケともども、そのヨーロピアンな西側的演奏が、わたしも好きなんです。
11番と、同じたぐいの演奏ですよ。

ハイティンクの奥さんは、確か英国人で、長きにわたって、ロンドンとアムステルダムを行き来して暮らしてましたし、KGB勲章も受けてますから、英国人だったら、サー・バーナード・ハイティンクとなるところですね。
ハイティンクの英国ものは、ボールトやバルビローリといった伝統の上に即した本物ですね。
ロンドンの各オケから引っ張りだこなのも伺えますし。
今度は、ロンドンのオケと来日して欲しいですね。

投稿: yokochan | 2010年10月 2日 (土) 23時40分

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