« 祝三ツ星☆☆☆ 大阪「太庵」 | トップページ | 千葉にて「チーバくん」 »

2010年10月24日 (日)

ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 サヴァリッシュ指揮

Cosmos_hiratsuka_1
とりどりのコスモスを中心に。
清楚な雰囲気がとてもいいですな。
足元のサルビアも赤がアクセントでいいです。

Tristan_sawallisch
びわ湖トリスタンから1週間。
アラベラ、トリスタン、フィガロと珠玉のオペラ3作を観劇。
そしてサヴァリッシュ特集。
「アラベラ」は正規録音、ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」は、WALHALLレーベルのバイロイト音楽祭の放送音源。
サヴァリュシュの「フィガロ」は残念ながら存在しません。

1957年バイロイト音楽祭
ウォルフガンク・サヴァリッシュのバイロイト・デビューで34歳は、当時のバイロイト最年少記録。
演出は、ウォルフガンク・ワーグナーで、57年から59年までの3年間続いた。
当時は、今と違って演出サイクルが短く、3年から4年で交代していたようで、しかもヴィーラントとウォルフガンクの兄弟の持ちまわりだったから、いかに彼らが天才的であったがよくわかるというもの。
 戦後新バイロイトの「トリスタン」は、52~54年がヴィーラント演出で、カラヤンとヨッフムが指揮。ついで、こちらのウォルフガンク&サヴァリッシュ。
その後が、ヴィーラント&ベームの高名なもので、62~64、66、69、70年の上演。
さらに、74~77年がエヴァーディンク&クライバー、シュタイン。
81~83、86、87年ポネル&バレンボイム、93~96、99年ミュラー&バレンボイム、2005、06、08、09、11年マルターラー&大植、シュナイダー。

Tristan1957
こうして見ると、ウォルフガンクはトリスタンをバイロイトでは1度しか演出してなくて、兄が得意としたのと同時に、外部招聘演出が4回もある。
指揮において長いのは、ベームとバレンボイム。
さらに推測するに、次のトリスタンは、ティーレマンの指揮であろうこと。
ワーグナー好きは、バイロイトの上演記録を眺めて過ごすのが好きでして、何年はだれそれということまで覚えてしまっているんです。

サヴァリッシュは、57年から62年までバイロイトに登場し、トリスタン、オランダ人、タンホイザー、ローエングリンを指揮していて、これまでにない新鮮なワーグナー演奏をバイロイトに打ちたてたのだけれど、その後長続きしなかったのは、アニア・シリアをめぐる三角関係とかなんとか言われてますが、とても残念なこと。
サヴァリッシュのあとは、スウィトナーが登場し、やがて70年代にはシュタインが中心指揮者となるわけで、カイルベルトも含めて、N響指揮者たちのバイロイトとの結びつきがうかがえて興味深い。

 トリスタン:ウォルフガンク・ヴィントガッセン イゾルデ:ビルギット・ニルソン
 マルケ王:アーノルド・ヴァン・ミル       クルヴェナール:ハンス・ホッター
 ブランゲーネ:グレース・ホフマン       メロート:フリッツ・ウール
 牧童:ヘルマン・ウィンクラー          舵取り:エグモント・コッホ
 若い水夫:ワルター・ガイスラー

   ウォルフガンク・サヴァリッシュ指揮 バイロイト音楽祭管弦楽団
                           バイロイト音楽祭合唱団
   演出:ウォルフガンク・ワーグナー
                           (1957.@バイロイト)

この若きサヴァリッシュのトリスタンは、堂々たる演奏で、早めのテンポでクリアーで清新な指揮ぶりを印象付けた正規ライブ録音のロマンテッシェオペラ3作と印象が少し異なる。

  Ⅰ(75’23”)、Ⅱ(85’38”)、Ⅲ(80’35”)

タイムだけからでは、その演奏の内容は推しはかることはできないが、テンポ感としてはじっくり目。時代様式やヴィーラントと違って斬新すぎない演出との兼ね合いもあったかもしれない。もちろん2幕はほぼカットなしだから、それで長くなってはいるけれど。
前奏曲からしてそのゆったりしたテンポに驚き、これを聴いてだれがサヴァリッシュであると想像できようか。だが聴き進むにつれ、この劇場独特の雰囲気がこうした古い音源からでも立ち上ってくるのを感じ、往年の凄歌手たちの唖然とするくらいの歌に牽引されるようにして、サヴァリッシュ先生の指揮にも力がみなぎってくるのを感じ、2幕の二重唱のピーク、そして3幕のトリスタンの狂おしいまでの熱狂ぶりに感銘を覚える。

Tristan1957_2
それにしてもヴィントガッセンの強靭極まりない声の威力といったらどうだろう。
10年後のベーム盤では聴くことのできない猪突猛進ぶりなんだ。
それでも歌のフォルムが崩れず完璧なところが手に負えないくらいに素晴らしい。
 対するニルソンは、後年の安定感がまだないような気がする。
でも冷凛とした少しきつめの強い声は、まさにニルソンのイゾルデ。
 この二人を聴いてしまうと、ジークフリートとブリュンヒルデともども、私の刷り込み歌手たちだけに、安心感と懐かしさがこみ上げてくる。
その仕上げは、「愛の死」で、感涙にふけることとなる。
思いのほかロマンティックに傾いたサヴァリッシュの解釈ではあるけれど、一陣の光のように輝くニルソンの声には参ってしまう。

最初は違和感つきまとうホッターのクルヴェナールが、意外と器用で、心愛の情にあふれた名唱だし、定番グレースの美しいブランゲーネもいい。
ミルは、もう少し味があるといいけど。

録音は、50年以上前を考えると音はそこそこ鮮明で、バランス的に歌手主体でオケピットが弱めであるが、あの木の劇場の柔らかい響きは聞きとることができる。

本ブログ17本目の「トリスタンとイゾルデ」記事でした。
音源・映像は23本目。



   

|

« 祝三ツ星☆☆☆ 大阪「太庵」 | トップページ | 千葉にて「チーバくん」 »

コメント

トリスタンとイゾルデ、、、さまよえるクラヲタ様のブログに触発され、新国の年末の演目にあったことを思い出し、予約を試みましたが、どのサイトも売り切れ、新国に電話しても売り切れでした。
23日のZ席に申し込むかな・・・。

もちろんクラヲタ様はいかれるのですよね??

私の友人もクラヲタ様と同じ日にびわ湖ホールに足を運んでおりました。
そしてトリスタンについて、クラヲタ様と同じようにコメントしておりました。外国人だからといっていいということはない、とも。

びわ湖ホールは、いいホールですよ。
眺めなんかもホテルのロビーに負けない感じですよね。

?十年前は確実に関西人だった者より。

投稿: madahiyoko | 2010年10月24日 (日) 18時57分

madahiyokoさん、こんばんは。
新国のトリスタン、年末年始に世界的な顔ぶれに、早くからソールドアウトでしたね。
もちろん、手当済みですが、チケット確保に成功されることをお祈りいたします。

日本人歌手のレベルは主催者側がもっと自信をもっていい高さだと思います。
そして、びわ湖ホールの美しさ、日本でも有数かもしれません!
洞爺湖のウィーザーホテル並みですよ!
東京の喧騒の中のホールが、音はよくてもなんだか悲しくなってしまいます。
なんだかんだで、昨日も大阪にいた者でした(笑)

投稿: yokochan | 2010年10月24日 (日) 22時55分

こんばんは。
このWALHALLレーベルって、とても気になるのですが、音質がどんなものかよくわからず、
手が出ませんでした(笑)。
でもこの記事を見て買う勇気が出ました?!
バイロイトとサヴァリッシュの蜜月の時の録音ですねぇ。正規録音のオランダ人、ローエングリン、タンホイザー、
いずれも実に引き締まった素晴らしい演奏なのでこのトリスタンもきっとその傾向のいい演奏なのでしょう!
しかしそうそうたるメンバーが揃ったトリスタンですね!この頃の歌手はスケールが大きかった!

いつかバイロイトに行きたいな・・・。

投稿: minamina | 2010年10月26日 (火) 00時00分

minaminaさん、こんばんは。
これ、素晴らしいキャストでしょ!
つねに、こんな顔ぶれだったし、ニルソンはまだ檜舞台に出たての頃ですからね。
このレーベル、赤いジャケットがいつも怪しげですが、なかなか丁寧な仕事ぶりでして、音質は古いなりになかなかですよ。しかし、マニア=ヲタ向けではありますが(笑)
わたしは、ワーグナー中心にかなり揃えてしまいました。
サヴァリッシュはワーグナーの全作品を非正規も交えすべて音源で揃う史上唯一の指揮者であります。
バイロイト・ヲタツアーでも企画しますか。
わたしの人生では無理かもですので、来世で(笑)

投稿: yokochan | 2010年10月26日 (火) 19時48分

こんばんは。
琵琶湖のルル行きそびれて以来、当方もこんどこそは琵琶湖へ。新国トリスタン、ワーグナー嫌いのかみさんも行くと言い出して、取りました。二人でワーグナー行くのは20年ぶりです。大野のウェルテルを聴いて、以前と違って凄いと言ってました。かみさんは、ちゃっかり、ヴェロのペレアスを日曜に聴いてきて、凄く良かったと、言ってました。赤黒ワルハラ、当方のワーグナCDの半分を占めています。

投稿: Mie | 2010年10月26日 (火) 22時11分

Mieさん、こんばんは。
来秋のびわ湖の演目は不明ですが、春のアイーダとともに是非!

ご夫婦でトリスタン、いいですね!
そしてペレアスを、仙台まで行かれたのですね、奥さま!
我が家の山の神に、奥さまの爪の垢でも飲ませたいです。

ワルハラ・レーベル、わたしも何気に好きです。
思わぬびっくりの顔ぶれの演目があったりしますしね。
ゴールデンメロドラムのシックなジャケットの方が好きですが、音質はこちらの方がよい感じです。

投稿: yokochan | 2010年10月27日 (水) 00時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 サヴァリッシュ指揮:

« 祝三ツ星☆☆☆ 大阪「太庵」 | トップページ | 千葉にて「チーバくん」 »