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2010年10月12日 (火)

スメタナ 交響詩「わが祖国」 サヴァリッシュ指揮

Azumabashi
隅田川にかかる吾妻橋。
あるオフィスからぱしゃり。
ちょっと前ですから、いま現在とちょっと様子が違ってるかも。
う○この尻尾がちょろりと見えます。

Smetana_ma_vlast_sawallisch
見え見えのこじつけですがね、こちらはヴルタヴァ川にかかるカレル橋。
真ん中の古いのがそうでしょうかね。
中世の雰囲気が残る黄金の街プラハ。行ってみたいデス。

 今日は、スメタナ交響詩「わが祖国」を。
そして、ずっとその復活を待ち望んでいた演奏で。
そう、サヴァリッシュ指揮のスイス・ロマンド管弦楽団の「わが祖国」がようやく手に入ったのです。しかも廉価盤です。
70年代後半にレコード発売され、あまり話題になることもなくその姿を消してしまい、外盤でCD化されたもののまったく見かけることなく、ずっと廃盤状態。
そーなると聴きたくてしょうがなくなるのが人情。
サヴァリッシュらしからぬレパートリーだし、音楽監督をしていたとはいえ、スイス・ロマンドとの貴重な録音でもあるということも渇望の要因。
1977年ジュネーヴのビクトリアホールでの録音。
このホールでの録音といえば、創設者アンセルメとスイス・ロマンドの黄金コンビによるデッカ録音をいやでも思いおこすし、あの分離のいいリアルな音は、ホールの響きの良さというよりは、音の粒立ちの良さを実感できるものだった(と思います)。
 アンセルメ以降、デッカに他指揮者による録音がいくつかあったが、音楽監督による正規録音はこのサヴァリッシュ盤が久方ぶりのものかも。
しかも、多分このコンビ唯一の録音かも。
おまけに、N響指揮者としてお馴染みのサヴァリッシュから次期指揮者がシュタインと引き継がれたこともあって、何だか愛着もあるスイス・ロマンドかも。
 こんな「かも、かも」が、連鎖してどうしても聴きたかったという点もあります。

まず一聴してみて気付いたのが、あのビクトリアホールの録音と思わせる響き少なめのリアル感。
やはり分離がとてもよく、左右、各楽器がしっかり別れて聴こえます。
そして少し音量を上げて聴いた方が、その印象が強まって、音楽の只中に身を置く感じが強まります。

そして何度か聴いてみての印象は、全体としては手堅く生真面目な演奏で、スメタナの音楽の伝えんとした要素が過不足なく表現されているように思えること。
 どこをとっても普通の最上の出来栄えといった感じで、余計なことはせずにただ音楽の力だけでもって誠実に聴かせてしまったような演奏に思った。
でも、そこはサヴァリッシュ。音楽造りがとてもスタイリッシュで、キビキビと進行し、歌うところは滔々と聴かせ、ドラマテックなたたみこみも充分あるので、だれることなく全曲の74分が進行する。
「高い城」や「モルダウ」もいいが、最後にゆくにしたがって、スメタナの思いとともに、ひたひたと熱くなってゆくように全体の構成感を捉えているようで、地味な後半の「ターヴォル」や「ブラニーク」が手に汗握るように迫真の演奏となっているんだ。
最終では、心が解放されるような大きな感銘を受けた次第。
オケのゲルマンでもなし、フレンチでもなし、といった不思議にローカル・インターナショナルなところがよい。
明るめの管楽器に、歯切れのいい金管、分厚いアンサンブルながら明晰な弦楽器。

サヴァリッシュ、シュタインともに、ジュネーヴ大劇場のオペラ指揮も兼ねていただけに、きっちりとした構成感豊かな演奏をこの素敵なオケに持ち込んだ指揮者たち。
その後の、ジョルダン、ルイージ、スタインバーグ、ヤノフスキと、いずれもユニークかつトレイナー的な指揮者が歴代で、いまでもなんだかとっても気になるスイス・ロマンドなんです。
しかも、ブザンソン優勝の神奈川県人・山田和樹君が、2012年より主席客演指揮者になることが決定しておりますから、ますますでございますな。

今週は、サヴァリッシュします


 

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コメント

 今晩は。サヴァリッシュ先生、我が祖国を録音していたのですね。確かに廃盤になったり入手困難になったりすると聴きたくなるのが人情ですよね。
 私はノイマン&チェコフィルの75年盤を愛聴しています。我が祖国を何度も録音しているノイマンですが、75年盤が一番安心して聴けます。
 クーベリックは好きな指揮者の一人ですし、かなり多くのCDを聴いております。実際我が祖国の第一人者とされています。ところが私は彼の我が祖国が何故か苦手で・・・90年だか91年だに40年ぶりにチェコフィルを振ったライブCDが発売されて話題を呼んだものですが、あまり感心しませんでした。モルダウは速いだけで面白くありませんでしたし。カラヤンやセルの方が聞かせ上手で面白いモルダウだと思いました。クーベリックの我が祖国もボストンやバイエルンを振った演奏は面白いのかもしれませんね。
 サヴァリッシュ特集楽しみにしています。

投稿: 越後のオックス | 2010年10月12日 (火) 23時37分

越後のオックスさん、こんばんは。
わが祖国は、何気にいろいろ持ってます。
またいい1枚が加わり満足です。
私もノイマン75が好きですね。
あとビエロフラーヴェクと、クーベリックBSOです。
バイエルン盤は、やや弛緩した感じですが、ボストン盤のクーベリックは覇気があって、つややかなオケも素晴らしいです。
レコード時代は、2枚組5千円でしたが、いまや廉価盤の1CDのクーベリック盤です。
不連続サヴァリッシュですが、よろしくご覧ください。

投稿: yokochan | 2010年10月13日 (水) 00時19分

こんにちは。
サヴァリッシュとスイスロマンドの録音ってあったんですね。廉価ですし,是非聴いてみたいとおもいました。

しかし,今回の記事を読んで何よりもびっくりしたのは山田和樹先生がスイスロマンドの主席客演指揮者就任の部分でした!!
私が学生オケに在籍したころ,何度か山田先生の棒の下で演奏していたので,他人事ながらとても嬉しいです。
あの頃の才気溢れる棒振りがスイスでも見られることを期待してしまいます。

もちろんサヴァリッシュ特集も期待していますので,今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: ナインチェ | 2010年10月13日 (水) 08時47分

こんばんは。まず、「わが祖国」のチェコで十八番にしているノイマン、クーベリック、アンチェルの他、非チェコでレヴァイン、ウィーン・フィル。メータ、イスラエル・フィルのドラマチックなサウンドもベストに入ります。後、カラヤンは「モルダウ」の他、オンリー・ワンであるドイツ・グラモフォン録音のベルリン・フィルによる「高い城」はハープの美しさやダイナミックな気質が似合っています。
次はスイス・ロマンドです。デッカにはデュトワによる華麗なストラヴィンスキーの2曲の「交響曲」ちょうどモントリオール響就任後に録音した隠れた名演奏。他にシュタインのシベリウスもあり、アンセルメの時代のフレンチ・ローカルから楽団再建のため、クレッキ、サヴァリッシュ、シュタインとゲルマン魂がオペラも上演できるようにグローバル化してしまい、不協和音となった。ここ数年、デュトワが自国スイス・ロマンドを客演し、ポストよりも好演している。それは様々な楽団の請負人(救世主)として評価されています。ワン・パターンよりもフレンチ、ゲルマン、スラヴのサウンドが入っているのが勝ち組という皮肉な現代事情ですね。
サヴァリッシュは好きな指揮者なので楽しみにしています。

投稿: eyes_1975 | 2010年10月13日 (水) 19時57分

ナインチェさん、こんばんは。
この「わが祖国」の廉価盤による復活は朗報でした。
サヴァリッシュらしい演奏に満足でしたので、機会がございましたら是非お聴きください。

ヤマカズさん(と聴いたこともないのに親しげに呼んじゃってますが)のもとで弾かれてらしたとは、貴重な思い出でらっしゃいますね。
N響のアシスタント指揮者にもなってますし、ひっぱりだこの山田さんですね。
いずれは、スイス・ロマンドとのCDなどが出るのではと期待しております。
サヴァリッシュ特集は不定期となりますが、よろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2010年10月13日 (水) 23時52分

eyes_1975さん、こんばんは。
「わが祖国」はついつい集めてしまう大曲ですね。
その好みも好き好きですが、やはり本場指揮者やオケは強いです。
それ以外では、オーケストラに個性あるものが多いような気がします。
イギリス系、フランス系、アメリカ系は少なめかもです。
あと、ドラティとコンセルトヘボウが美しい演奏でした。
カラヤンがパリ管あたりとやっていたら、さぞや面白いことになったでしょうねぇ。
 スイスロマンドは、スイスという国の多国籍ぶりを物語るオーケストラ。
ドイツ系か、自国系かの伝統ですが、唯一のイタリア人ルイージの治世がキラリと光っていたように感じてます。
いまのヤノフスキは、フランスものも得意だし、軽妙さもあるので、かつてのジョルダン時代の再来かもしれません。
このオケは、ジュネーヴ大劇場の座付きオケでもあるので、オペラ指揮者としての能力も問われるのでしょうか。
デュトワは理想的なコンビですが、忙しすぎて、このオケに常駐はムリなのでしょうね。残念です。

サヴァリッシュ、聴いてるようで、意外と聴いてなかったりします。珍しいもので攻めようと思います。

投稿: yokochan | 2010年10月14日 (木) 00時05分

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