フンパーディンク 「ヘンゼルとグレーテル」 ショルティ指揮
なにをかくそう、こちらは新橋です。
知ってる人は知っている、新橋のSL広場は、冬にはこんな風になってしまうんです。
サラリーマンへのテレビインタビューのメッカ。
そのサラリーマンや、怪しげなオッサンたち(わたくしです)の待ち合わせ場所のメッカ。
写真なんて撮るような人はあんまりいない。
が、しかし前から気になっていた。
アングルをうまく捉えれば、こんないい感じに撮れます。
奥には名門「第一ホテル」も写ります。
がしかし、ヤマダ電機と消費者金融の看板が激しいのも新橋ならではなんです。
ここ、新橋は、あらゆる食と酒が集まり、しかもそれがピンキリの世界。
安心かつ、驚くほどのハイレベルのお店もあるんですよ!
クリスマスにまつわる音楽を聴いてきた今週。
最後は、世界中で愛されているメルヘンオペラ、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」を。
題材がクリスマスでも何でもないけれど、子供とそろって観劇できるグリム童話素材のオペラゆえに、この季節に上演される機会が多い。
新国の上演記録をみたら、2002年以来上演されてないので、そろそろ新演出で登場しそうな予感。
まだ1本も持ってないけれど、ついにこのオペラも、オーソドックなメルヘン演出から、だんだんと先鋭なユニーク演出の洗礼を受けつつあるみたいだ。
「ほんとうは怖いグリム童話」じゃないけれど、お子様たちにはちょっと目をつぶっておいてもらって、おっかなくて面白い、そして腹のたつような演出を見てみたい気がする。
こんな思いはいけないでしょうかねぇ?
以前の記事に書いたけれど、母親が口減らしのために子供を森へ追いやり、子供ふたりが帰ったら母は死んでいて、父子家庭となってしまう原作。
これじゃぁ、ひどすぎるってんで、フンパーディンクの妹アデルハイトは母も死なさず、そんな、いじわる母じゃなくして、しかも最後はヘンゼルとグレーテル以外の多くの子供たちが魔女から解放される按配に書き換えた。
そんな兄妹の趣旨に反するけれども・・・。
フンパーディンク(1854~1921)は、いうまでもなく熱烈なワグネリアンで、ワーグナー教たるグラール団などを結成したくらい。
その音楽の影響はライトモティーフや、分厚いオーケストレーションにみてとてるが、さすがにこちらのメルヘン・オペラでは、その傾向は少なめ。
しかし、この音楽に、「ジークフリート」や「パルシファル」の響きを聴きとるのも容易なことだ。
このオペラを初演指揮したのが、R・シュトラウス。
大ワーグナーの息子、ジークフリートが建築家の道を歩みつつも、音楽を志すことになったが、その音楽の道の手ほどきをしたのは、フンパーディンク。
ワーグナー後のドイツオペラの相関関係であります。
「ヘンゼル」ばかりじゃない、最近は「王様の子供」や「いやいやながらの結婚」はよく上演されるし、音源も出てます。全部で7つあるフンパーディンクのオペラに興味大であります。
ヘンゼル:ブリギッテ・ファスベンダー グレーテル:ルチア・ポップ
父ペーター:ヴァルター・ベリー 母ゲルトルート:ユリア・ハマリ
魔女:アニー・シュレム 眠りの精:ノーマ・バロウズ
暁の精:エディタ・グルベローヴァ
サー・ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
テルツ少年合唱団
(1978.2~6@ウィーン・ゾフィエンザール)
70年代後半、鬼軍曹から、酸いも甘いもかみ分けた上級大佐になりつつあったショルティ。
エッジの効いた鋭い指揮ぶりはここではすっかりなりをひそめて、優しくマイルドな手つきで、このメルヘンドラマの音楽を作りあげている。
ここでは、やはりウィーンフィルの柔らかな音色と南部ドイツの森を思わせるグリーンな響きが功を奏していて、オーケストラの響きに聴き惚れてしまうこと必須である。
愛らしい序曲に、2幕の終わりの天使のパントマイム、3幕への前奏曲など、それだけ抜き出して何度も聴いてしまうくらいに魅力的。
一方で、魔女の騎行と呼ばれる2幕の前奏曲では、かつての軍曹の面目躍如で、ワーグナーばりの大迫力サウンドを聴かせてくれます。
このオペラのレコーディングは、歴代名歌手たちが顔をそろえた豪華配役盤が多いが、こちらショルティ盤も負けてはいない。
ファスベンダーとポップのコンビ。そうです、「ばらの騎士」のオクタヴィアンとゾフィーのふたりが、そっくりここで絶妙のコンビネーションとなっていて、その同質性のある声が美しく溶け合うさまは惚れ惚れとします。
ことにポップの親しみあふれる暖色系の声はとても素敵なのです。
味わい深い懐かしさのベリーのお父さん。ハマリのお母さんも冷たくなくって生真面目な様相。
アニー・シュレムは、マイスタジンガーのマグダレーネでお馴染みの歌手だけど、ここでは、かなりデフォルメチックに濃厚な魔女を演じてまして、ヒヒヒ笑いも堂に入ってます。
もったいなくも、バロウズとグルベローヴァを精たちに起用するとういうのも、当時のデッカのオペラ録音の贅沢ぶり!
アナログ末期の優秀録音もうれしいのでした。
このオペラには、かねてより今まで、名演が目白押し。
オケも、ウィーンフィル、ドレスデン、バイエルン、ケルン・ゲルツィニヒと味わい深いドイツ系のものばかり。
カラヤンがベルリンフィルで、ベームがウィーンかドレスデンで残してくれたらよかったのに。
過去記事
「C・デイヴィス&ドレスデン」盤
こちらが昼の顔。
夜はこうなります。
どちらも大人のオジサンの街、新橋です。
私も含めたオジサンたち、たまにはメルヘンに浸ってみてはいかがでしょうか
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コメント
こんばんは。今、フィギュア・スケート全日本選手権を見終えたところです。安藤美姫選手が1位。浅田真央選手が2位で終わり、残念でしたが、復調ですね。
そんな華やかなひと時に「ヘンゼルとグレーテル」の世界に入りましょうか。
確か、スイーツの街と知られている東京J駅に本物のお菓子の家が飾られてました。最近、行ってないが、イルミネーションキラキラでしたでしょう。
そして、本題ですが、C.デイヴィスは既に持ってて、最近、ショルティのも入手したのです。yokochanさんと一緒ですね。どちらも豪華キャストす。
かつて、本当は恐いグリム童話なんてありましたが、やはり、大人の物語がルーツでしょう。
投稿: eyes_1975 | 2010年12月26日 (日) 21時27分
eyes_1975さん、こんばんは。
真央ちゃんは、2位とはいえ確かに復調。楽しみですね。
お菓子の家は、本物があればいまは、カラスや猫たちの絶好の餌食ですな。(夢なさすぎですが)
このオペラは、名盤が多いし、適度な長さなので、あれこれ聴き比べしたくなりますね。
投稿: yokochan | 2010年12月27日 (月) 21時35分