コレッリ クリマス協奏曲 コレギウム・アウレウム
クリスマスの物語。
某インターチェンジにありました。
馬屋で臨月を迎え、イエスを産んだマリアとヨセフ。
天使も東方からの博士たちも、貧しい人たちも、そこに描かれてます。
わたしが幼少のみぎり通った海の見える幼稚園は、プロテスタント系でして、クリスマスには園児たちが、クリスマス物語を演じるのでした。
女子はマリア、男子はヨセフが一番の役どころ。
その次は女子は天使、男子は博士。
しかしわたしは、2年とも風呂敷かぶった貧しい人々のひとり。
いまもそれは変わりません・・・・・・涙。
幼いときから、こんな経験をしつつ、教わってきたものだから、イエスの降誕というクリスマスは、浮ついたものでなく、1年の節目としての喜ばしい出来事として捉えてます。
まれに見る不況と格差ゆえか、クリスマスを何とも思わない人が今年は急増してます。
商業主義にまみれた日本の皮相なクリスマスは、完全なイベントと化していて、これに組みすることの出来ない人々は宗教的な意味ばかりでなくとも、経済的によしとならない人々が増えているわけです。
悲しいことに、こうした場合はえてして暴力的になったり、向う見ずに命を張ったりしてしまうのが人間の難しい心理。
あほな政治は何も解決できないし、企業に属する人々と、そうでない学生や仕事のない人々との大きな格差はますます広がるばかり。
クリスマスに、そんなことを思うことも大事だと思う。
いつになくシリアスになってしまい、申し訳なく存じます。
奢ってはいけない。いつかは迎える死は平等にやってきます。
厳しい毎日だけれど、わたしは人を思い、優しく心かよわせていきたいと誓っております。
イヴの晩、イエスが降誕したことをいち早く知ることになったのは、羊飼いたちであった。
彼らもまた、弱者。
ルカ伝2章にあります。
かれらの吹く笛から発したのが「パストラーレ=田園曲」で、シチリアーノと同じもの。
そのパストラーレは、ヘンデルの「メサイア」やバッハの「クリスマス・オラトリオ」にも楽中の曲として出来てくるが、協奏曲においても、それを挿入し、クリスマス用のものとした作品もバロック期にはいくつも書かれたわけであります。
その代表格が、アルカンジェロ・コレッリ(1653~1713)のコンチェエルト・グロッソ第8番。「クリスマス協奏曲」と呼ばれるものであります。
ヴィヴァルディより25歳年長のコレッリは、もちろんバッハやヘンデルよりもかなり上。
ヴァイオリン奏法においておおいなる足跡を残し、悲劇性に富んだ曲想を多くもちながら、そこには常に高貴なる歌が通っていて、明るさと悲しみが同質化したような音楽が多いように感じる。
もっとも、この曲の入った曲集(マリナー)とヴァイオリン・ソナタ「ラ・フォリア」しか聴いたことがないでですが・・・・。
で、このパストラール付きの協奏曲。
真摯な1楽章の出だしに次ぐ主部がとても素敵で、その気品あふれる音楽は、クリスマスを迎えるにあたっての雰囲気があふれていて、とても大好きなのです。
そして、たおやかでゆったりとした第2楽章。だんだんと聖誕の雰囲気が満ちてきます。
急の楽章なのに3番目のものは、ちょっと憂いを含んでいて、ついで短調のアレグロ楽章に入りヴァイオリンが活躍するが、しばし後に、のどかで、夢見るようなパストラーレに休みなく入ってゆく。
3分たらずのこの場面。深夜に明かりを暗くして、目をつぶって聴きましょう。
ほのかな喜びと、優しさに心が満たされることでありましょう。
こうしたバロック期のクリスマス協奏曲を1枚にしたCDやレコードはかつて多くて、かのカラヤンまで録音してました。
わたしは、レコード時代はイ・ムジチのものを愛聴してきたけれど、CD時代初期に遅れなせながら、70年代古楽の雄でもあった「コレギウム・アウレウム」のものを入手して、とても気に入って聴いている。
いま聴けば、古楽奏法の過渡期で、古楽器を使いながらもヴィブラートをしっかり効かせていて、昨今の演奏からしたら手ぬるい感じは否めない。
でもしかし、ハルモニアムンデイのこの時期の多くの録音、PCAやデラーなどと同じく、この団体の演奏があったからこそ、現在の古楽の興隆があったわけで、わたしなどの年代はこれを通常奏法と今の先鋭な古楽演奏様式との間に置いているわけだからして、いがいとしっくりくるのであります。
ソフトフォーカスで、アナログ的な古雅な響きなのでありました。
それはまた、クリスマスの思い出とたくみにマッチするのでございます。
よいクリスマスを
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コメント
こんばんは。
コレギウム・アウレウム、、私もLPレコードを数枚持っていましたが、鄙びた風情でとても好きでした。もうLPは聴かなくなったので売り飛ばしましたが。
残念ながら今回のコレッリのレコード迄は懐が寂しく持っていませんが、CD時代に入ってイタリア合奏団のものを聴いています。こちらはとても明るい、キラキラしたものを感じます。
と言いつつ今夜はカラヤンのディスクでゴージャスにクリスマスを送っております。
では良いクリスマスを!
投稿: ピースうさぎ | 2010年12月24日 (金) 21時53分
Merry Christmas
コレッリの「協奏曲」はコロムビアの安価で購入したイタリア合奏団による「全集」があります。そして、「クリスマス協奏曲」はカラヤンがあります。
イタリア合奏団はイ・ムジチ合奏団と二分しているのか、イタリアバロック専門のようです。また、カラヤンもベルリン・フィルの重厚な中で軽く仕上げているのか不思議でなりません。
昼間は晴れてたが、日がかげると風が冷たかった。そして、イルミネーションキラキラ。やはり、暖冬と言われているが、クリスマス寒波のようですね。
バロックの世界に浸っている私でありました。
投稿: eyes_1975 | 2010年12月24日 (金) 22時00分
ピースうさぎさん、こんばんは。
ご家族でクリスマスを迎えていらっしゃることと存じます。
コレギウム・アウレウムといえば、水上の音楽やバッハにモーツァルト。指揮なしなところも懐かしいですね。
イタリア合奏団は未聴ですが、さぞかし明るいのでしょうね。
そしてカラヤン盤は懐かしいです。
ベルリンフィルのアンサンブルで、こちらもさぞかしゴージャスなことでしょうね!
何故か、カラヤンの四季やバロック演奏を聴いてみたくなりました!
投稿: yokochan | 2010年12月25日 (土) 00時07分
eyes_1975さん、こんばんは。
そして、メリー・クリスマスです!
寒いクリスマスになりましたね。
雪国は、ほんとうのホワイト・クリスマスになってますが、こんな吹雪く寒波ではさぞかし大変なのでしょうね。
イタリア合奏団にカラヤン。
期せずしてピースうさぎさんに同じですね。
カラヤンのバロックものは、編成も少なくして、いがいなまでに室内楽的演奏なことに驚きました。
小手先で済まさない帝王の仕事ぶりですね。
お風邪などひかれませんように!
投稿: yokochan | 2010年12月25日 (土) 00時13分