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2010年12月15日 (水)

ワーグナー オペラ管弦楽曲集 シューリヒト指揮

Yokohama_st

横浜駅西口のツリー。
JR管内で全国5位の乗降客の横浜駅は、いつ行っても行き交う人であふれていて、それは新宿や池袋、渋谷と同じ様子だ。
でも、つねにいつも工事してるイメージがあるんです。
うん十年前もそう、いまもそう。でも東西通路はきれいになったみたい。

写真右手の駅ビルCIALなどが建て替えとなり、高層ビルになるらしい。
さらに壮大な計画もあるらしい。
わたしは、完成をこの目で見ることができるのでしょうか?

Schuricht_wagner

さて、今日のワーグナーは、オペラから管弦楽部分を抜き出したものを。
この手のCDは、いったい何枚持っているだろうか。
その中からまだ未聴だったシューリヒトの1枚を。

 ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 前奏曲と愛の死

         「神々の黄昏」 ジークフリートのラインの旅〜葬送行進曲

    カール・シューリヒト指揮  パリ音楽院管弦楽団
                        (1954.6 @パリ)

シューリヒトは、1880年ダンツィヒ、現在のポーランドのグダニスクに生まれたドイツの大指揮者のひとり。
劇場からたたき上げて、キャリアを積み上げていったかつてのドイツの指揮者のまさに王道を行った人だけれど、不思議にオペラの録音がまったく残されていないのが残念だ。
世界中のオーケストラを指揮していたようだが、正規に残された録音として有名なものは、ブルックナーの交響曲やべートーヴェンやモーツァルト、ブラームスの交響曲やバッハでありましょう。
1967年にスイスで亡くなったが、長く活躍したわりに録音が少なめ。
今後は放送音源の復刻などもさらに、増えることでありましょう。

わたしは、中学生時代、頒布レコードのコンサート・ホールの会員になっていたので、そちらでのシューリヒトのレコードはそこそこ持っていた。
音は悪いが、ジャケットのセンスが良かったし、当時は素直に(!)某有名シューリヒト賛者の評論家様の解説を感激しながら読んでいたもんだ。

そのシューリヒトは、いつも速い、ザッハリヒ、素朴、ときに濃厚・・・、いろんな要素が時に合い乱れる不思議な指揮者だと思っている。
実は、よくわからないのであります。
あの世評高いブルックナーも録音のせいもあるが、薄すぎると思ったりする。
でも、ブランデンブルク協奏曲と、ブラームスの4番、J・シュトラウスは本当にスゴイと思ってたりする。
余談ながら、J・シュトラウスをウィーンフィルで録音してたときに、そこで勉学中で居合わせた故岩城宏之氏は、思わず立ち上がって「神だ!」と呟いたそうであります。

で、今日のワーグナーは、シューリヒトによくある、ドイツ物はパリで、の演奏なのです。
トリスタンの前奏曲の出だしから、あれ? 半音高いよ?
と思ってしまうくらいに、音のピッチが少し高く感じるほどに、オーケストラ、特に管の音色が明るいのあります。
慣れるまで違和感はあるものの、徐々にうねりを増すほどに、音は明晰さをも増してゆき、どの楽器もみなはっきりと聴こえてくる。
古めのモノラル録音なのに、音がぼやけず、明確なのはスゴイと思う。
フルトヴェングラーの巨大なうねりの中に人を巻き込んでしまうスタイルとは、まったく逆で、シューリヒトは直球ストレートで、ワーグナーの音を裸で聴かせてしまい、人の耳をそばだてることに成功している。
すっきりした「愛の死」も浄化作用が強く、構えずに明るく昇り詰めてゆくところがよろしい。

生命力に満ちた「ラインの旅」に続いて、驚きは「葬送行進曲」。
シューリヒト自身の編曲で、続けて演奏され、ジークフリートが刺され、彼のモノローグから葬送行進曲へとつながってゆくが、ここでの切実な響きは意外性のシューリヒトならではで、こんな厳しくシャープな葬送行進曲はちょっとないと思った。
昨日のミトプーより辛い。
パリのトランペットの鳴きの咆哮は、耳をつんざくように悲しみを伴って刺さってくるし、打楽器の強打も強烈だ。
しかし、弦楽器の清澄な響きと壮麗さも感じさせる管も極めて印象的。

モノラルだし、少しばかりユニークなワーグナーだから、よほどのワーグナー好きじゃないとお薦めできませんが、シューリヒトの芸風を味合うには持ってこいのワーグナーでした。
シューリヒトには、コンサートホール原盤のバイエルン放送響とのもとと、シュトットガルト放送響との放送音源によるものが、それぞれ音もまずまずで楽しんでます。

録音技師は、ケネス・ウィルキンソン、プロデューサーにはヴィクトール・オロフの名前が書かれてまして、ここにカップリングされた、シューリトっぽくない「イタリア奇想曲」のプロデューサーには、ジョン・カルショウの名前も書かれてます。
デッカの黄金時代はこのあたりから始まっているわけですな。

Yokohama_st2

今度は、駅を背に。
グリーンです。

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コメント

私もこのCD持っておりまして、大好きなCDの1つなのですが、誰も共感者を得ることが出来ず(涙)
今に至っております。
やはり軽めの木管と低弦群がいまいち評判悪いようです。
でも綺麗に浮かび上がってくるフランス流儀の木管なんか、
とても美しいと思うんですがねぇ~。
あ、言い方間違えました、美しさの極みといえよう(爆)。
アバドがワーグナーをやったりすると、
重苦しくならずこういう繊細な声部を浮きだたせてくれてニヤリ、としてしまうんですが、
そういう楽しさがシューリヒトにはあるように思います。
それにしましても、中学時代にコンサート・ホールとは、なんとも贅沢でありますなぁ!

投稿: minamina | 2010年12月19日 (日) 00時22分

minaminaさん、こんにちは。
おぉ、シューりヒトのワーグナーを語る方がいらっしゃいました!
ドイツ本流のワーグナーからかけ離れた響きは、驚きであるとともに、パリのワーグナーとして、わたしには、とても納得感のあるものでした。
シューリヒトの命をかけすぎない、軽めな指揮ぶりも、現在に十分通用するワーグナーといえよう。

アバドは、ベルリンフィルでそうしたワーグナーをやってしまったところがスゴイところで、ラトルは少し過去に戻ったかのような重さがあるように思います。

コンサートホールレーベルは、初回入会特典1枚350円で、中学生の小遣いでも買えるということで、子供をも会員になれた点でうれしい組織でした。

投稿: yokochan | 2010年12月19日 (日) 15時03分

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