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2011年1月30日 (日)

ニールセン 「アラジン」 ロジェストヴェンスキー指揮

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どこぞの中近東の街と見えるでしょ!

実は、ここ、ディズニーシーなんです。
アラビアンコーストというアトラクションエリアのひとつで、夜になるとやたらと雰囲気ありありになるんです。

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この歳になると、ディズニーランドにはなかなか行けなくなるもの。
子供たちに連れていってもらうようになるんだろな・・・。
これらの写真は、まさに子供に引率されて行ったときのものであります。

そして、この写真をとった時から、この雰囲気にある音楽を求めていたけれど、「シェエラザード」じゃ、あたりまえすぎるし、と思っていたところ、昨秋見つけたのが、ニールセンの「アラジン」でありました。

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ニールセン(1865~1931)が、コペンハーゲンの王立劇場の指揮者とつとめたのが1908~14年。
そして、2つのオペラと10の劇付随音楽を残しているから、シンフォニストとしてばかり目が行きがちだが、その神髄は劇音楽にもある。
「アラジン」もそのひとつで、後者の劇音楽のひとつ。
1919年に、王立劇場の要請で書かれた作品。
「千夜一夜物語」の「アラジンの魔法のランプ」をもとにした、同じデンマークの詩人・劇作家のアダム・エーレンシュレーアーの戯曲上演のために書かれた。

プロローグ
 貧しい奴隷の息子アラジンは仕事もしないプータローだったけれど、陽気で気のいい若者。アフリカの魔法使いヌルディンが親族を名乗ってやってくる。
彼は、古代の巻物を研究して、ランプの秘蹟を信じ、そのランプを得られるのがアラジンだけと知り、ペルシアまで旅をしてきたのだ・・・・。

第1幕
 イスファファンの市場。
アラジンの父が死に、葬送の音楽が流れている。
注意深くアラジンを探すヌルディン。
そのあと街角にいたアラジン。商人がオレンジを3つ落としてしまい、そのふたつを見事キャッチしてあげたアラジン。ところがあとひとつは、こっそりターバンの中に・・・。
そんな姿をみとめたヌルディンは、アラジンを連れて街から離れた財宝が眠る山へと連れてゆく。
その地下壕に入れるのはアラジンだけ。魔よけに指輪を与えてもらい中に入るアラジン。
山の精の歌が聴こえる。そしてランプの方からも声が聴こえる(バリトンの歌)。
目当ての銅のランプを手に入れるが、金銀財宝に驚く。
帰ろうとしたが、途中目にした美しい果実(実は宝石)が気になって引き返してしまい、ランプを待ちわびるヌルディンはイライラ。
しかし、入口の岩戸が閉まってしまい隙間しか開いていない、ヌルディンはランプを手にすることもできず、アラジンを見捨てて行ってしまう。
 そこを通りがかった山に住む娘ふたり。ハンサムな青年に気を奪われる。
アラジンが、なんとか出ようとしたときに、岩に例の指輪を擦ってしまうと、魔神があらわれ、アラジンを家まで連れ帰してくれたのだ。

第2幕
 アラジンは市場で、スルタンの娘グルネアにひと目ぼれ。かあちゃん、結婚したと言いだす。
ところが、彼女には親の定めた婚約者サルディンがいた。その婚礼も今宵。
アラジンは、例のランプをひとこすり。
すると魔神が登場し、「ご主人さま、なんなりと」と言うではないか。
アラジンは、新婚用のベットをサルディンの部屋に運べと命令。
「了解、すぐさま」
そこで寝たサルディンは、気が付くとバルコニーにいて空には星が光ってる。
そんなことが2夜続き、気持ち悪くなったサルディンは、スルタンに娘との破談を申し出る。
障壁のなくなったアラジンは、グルネアに求愛し、ふたりは仲良く暮らし始めた。

第3幕
 アラジンは、スルタンの望むすべての金銀・財宝をランプの魔神に命じて揃えることに。
宮殿は、お宝だらけになり、これより、奴隷や各部族のパフォーマンスが延々と始まる。
行進曲、中国人、囚人、黒人、ヒンズー・・・・。

第4幕
 窓を開け、幸せにひたり、歌うグルネア。
それをじっと見つめる魔法使いヌルディン。
彼は、水晶玉で、アラジンが抜けだして、絶頂にあることを確認してここへやってきたのだ。
新しいランプを、古いのと交換します、なんていって商いをしかけ、グルネアの付き人がこれを見つけ、彼女は交換してしまう。
まんまと魔法のランプを手にしたヌルディンは、魔神を呼び出し、宮殿ごとアフリカの自分の地に移してしまう。
 スルタンとライオン狩りに出ていたアラジンは、戻ってくると宮殿が消え去っていたことに愕然。スルタンはアラジンが仕組んだのではないかと疑い処刑してしまおうとするが、アラジンは人気者で、市民の暴動も起き、やむなくとりやめに。
40日の猶予を与えて、娘を探し出すように命じる。
 アラジンは、母親の家へと向かったが、そこで見つけたのは、母の死であった。
母の亡きがらを前に、悲しみの歌を歌うアラジン。
 39日が経ち、例の山の地下壕へ。
そこで、指輪を岩にこすりつけると、最初の魔神が登場。
アフリカの地へ向かうこととなる。

第5幕
 朝、鳥の声とともに目覚めると、そこはハイジャックされた宮殿の真ん前。
グルネアを見つけ、喜ぶ二人。ヌルディンは肌身離さずランプを持ってるし、慎重に棚の中に隠していると。
アラジンは、毒入りの麻酔薬を渡して、グルネアは、求愛を受け入れるふりをして、その薬を飲ませることに成功し、ヌルディンは死んでしまう。
ランプをふたたび手にしたアラジンは、宮殿をイスファファンに戻し、自分たちはメッカに送ってもらう。アラーの神に感謝を捧げるために。
ところが、それを盗み聴きしていた魔法使いの弟ヒンドバッドは、二人を追ってメッカに向かう。
ヒンドバッドは、グルネアも知る知恵者の老女ファティムを知り、彼女に変装して、魔神を封じこめることを考える。
魔神は、ヒンドバットという男がアラジンを狙っていると警告する。
アラジンは、頭痛に悩まされ病気となってしまった。
グルネアは賢者ファティムを呼んだが、やってきたには変装したヒンドバッド。
病床のアラジンのもとにやってきた。
アラジンにもっとも大切なものを見せなさいと命じ、短剣をにぎり、自分たち運命をアラーにゆだねなくてはならないと言い、ふたつの剣を持ってこさせ、善と悪の戦いとなる。
しかし、戦いに消耗したヒンドバッドは、自らの剣で命を絶ってしまう。。。(よくわからん)
 抱き合う二人に、正しき魔神。
最後は、合唱が、マイティ・プリンスとアラジンを称え、プリンセスも称え、アラーの神も讃えます。

                  ~ 幕 ~

原作が原作だがら、80分の劇音楽に凝縮したらかなり荒唐無稽になっている。
はしょってる部分も多々あり、原作とも異なる展開(とくに、最後の場面)もある。
劇場用に、悲しみの場面も挿入されていたり。
まぁ、これはこれでよくって、筋がどうのこうのではなく、ここではニールセンの書いた面白い音楽を聴けばよいわけである。

交響曲などで知っている、晦渋な雰囲気のニールセンは時おり顔を出すくらいで、アラビアという異境の地を意識したエキゾテックな節回しを伴った非常にわかりやすい音楽がここにあるんです。
魔神の声(男性合唱)は、かなり禍々しく、異教徒的で、古臭い映画音楽みたいだし、その対称として、プリンセスの歌う幸せの恋唄の美しさ、母を亡くしたシンドバットの悲しみの歌などは、とてもオペラティックで、メリハリがとてもよい。
さらに、吹奏楽としても人気の、舞踏の場面の数々のシーン。
思わず指揮したくなるダイナミックなリズムにあふれてまして聴きごたえありでした。

全体の印象としては、散漫ではありますが、オペラをはじめ劇音楽が得意だったニールセンの一面がよくわかる「アラジン」です。

ロジェストヴェンスキーは、こうした音楽はやたらとうまい。
聴かせ上手な手腕がまさに爆裂で、例のダンス音楽の連続シーンなどはバッチリである。
デンマーク放送響の力強いサウンドも素晴らしいものだった。

     Ms:Mette Ejsing     Br:Guido Paevataru

    ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー指揮
             デンマーク国立放送交響楽団/合唱団
                         (92.5@コペンハーゲン)


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ニールセンは、史劇や聖書物語が好きだったようで、「バベルの塔」や「サウルとダヴィデ」などの大作がほかにもあります。
順次聴いて行きたいと思ってます。

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コメント

始めまして。「バベルの塔」はカール・ニールセンではなく、ルドルフ・ニールセンの作品では? 今聴いているところです。すばらしい曲(カンタータ)ですので、ぜひ聴いてみてください!

投稿: とおりすがり | 2011年5月21日 (土) 13時32分

とおりすがりさま、こんばんは。
コメントならびに、ご指摘ありがとうございます。

ネットラジオの米IOステーションで、「バベルの塔」を聴き、抱いていたカールさんのイメージが変わり、この曲やオペラなどを聴いてみました・・・・。
しかし、ルドルフの方のニールセンだったのですね。
HMVサイトでは、カールの声楽作品に一緒くたになっていたもので、すっかり・・・・。
ご教示ありがとうございました。
「バベルの塔」、是非正規に入手してしっかり聴いてみたいと思います。

投稿: yokochan | 2011年5月22日 (日) 00時47分

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