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2011年2月 6日 (日)

メユール 「ストラトニス」 クリスティ指揮

Akasaka_sakasu1

クリスマスが終わると、げんきんな日本はツリーはともかく、イルミネーションも引っ込めてしまうから正月ムードが終わると街はまったく寂しい。
でもこちらは嬉しい輝きが。
赤坂サカスです。
この先はTBS。
六本木もそうだけど、放送局のおひざ元はキラキラしてます。

Akasaka_sakasu2

日曜はオペラを聴きます。
短めだけど、私のアイドル、パトリシア・プティボンがちょろっと出演してます。
タイトルロールなんだけど、出番は少なめ。

Mehul_straronice

エティエンヌ・ニコラ・メユール(1763~1817)は、モーツァルトと同時代のフランスの作曲家。
解説書を参考に、少しご紹介。

古典派のくくりになるのだろうけれど、グルックの指導を受け、オペラやバレエ作品を得意として24作ものオペラを残している。
器楽・管弦楽作品もそこそこあって、最近ではその交響曲が、ミンコフスキが録音して話題となったりしていて、ハイドンやモーツァルトとも異なる斬新な響きの作品となっているようだ。
1792年、パリのコミューク座で初演された「ストラトニス」は、いま聴けるメユールの唯一のオペラかもしれない。
仲のよかった作曲家ケルビーニも、この作品を大いに評価し、先に亡くなったメユールの才能に対しても絶賛の評を数々残しているようだ。
フランス革命さなかのメユールのコメディ・イタリェンヌ(オペラ・コミーク)は、のちのベルリオーズや、ウェーバー、ワーグナーなどにも影響を与えているという。
1幕もので約1時間。

  ストラトニス:パトリシア・プティボン  アンティオコス:ヤン・ブロン
  セレウコス:エティエンヌ・レスクゥワ  エラシストラトス:カール・デイモント

    ウィリアム・クリスティ指揮 カペラ・コロニエンシス
                     コロナ・コロニエンシス
                         (95.4@ケルン)


紀元前300年頃のセレウコス統治下のシリア。
ここで言う、セレウコス王は、セレウコス1世ニカトル。
その息子である王子アンテオコスは、アンティオコス2世テオス。
王の妻がストラトニスで、王子からしたら継母。
エラシストラシスは、後世に名を残した名医。
こんな4人が登場人物。

病に伏せるアンティオコスの寝室。
友人たちが、お見舞いにやってきて、アンティオコスを元気づけている。
方や、アンティオコスは、「もう、だめ、死にそう、いっそ死んだ方が楽」と嘆きにくれ、シリアスかつ美しいアリアを歌う。
そこに父セレウコスがやってきて、息子を励まし、名医がやっくることを告げ、さらに、自分は今日、ストラトニスと教会に行き幸せになるのだ。おまえもきっとよくなる。
愛する息子よ、早く元気になってと歌う。
しかし、息子は相変わらず、死ぬ死ぬ言ってる。

そこへ、親父のフィアンセ、ストラトニスがやってくる。
親父は、母として、息子を慰めて欲しいと言うと、彼女もわたしもそのつもりなのですと。
名医の到着の知らせに、親父セレウコスは出て行く、若い息子と義母のふたり。
「どうしたのか話して」という彼女。そして、「わたしのことを言わないで・・・」という意味深な言葉を残して去る。
「彼女のことは、私を苦痛のうえ、敏感にする」と息子はいい、今後一切黙っていようと思うようになる。
 やがて、到着した名医エラシストラシス。
「なんにもない、話すことない、うそなんかないよ」と息子はすげない。
医師は、息子の手をとり、その熱さに驚く。
いつからそうなの?とかいろいろと問診を受けるアンティオコス。
「あなたは、情熱の苦しみに囚われている・・・」と断じる医師。
ここで、あーでもない、こーでもないの医師と患者の二重唱。
 そこへ、ストラトニスがやって来て、部屋の前で、希望と怖れへの思いと、部屋に入ることへの気後れを歌う。
彼女を認めると、医師はアンティオコスの手を取り、その鼓動が早まるのを診て確信する。
医者は席を外し、二人になると、愛を語りだす。
医者はすべてを理解し、このオペラの中でも以外にも素晴らしいバリトンのアリアを歌う。
二人を別室に移動させた医師。そこに、これより教会に向かわんとする喜びの父がやってくるが、医師は一計を案じ、セレウコスに、アンティオコスが医師の妻を自分が結婚する前に見染めていたらしい・・・と話す。それが病の元と。
最初はけしからん、許さんなどとしていたセレウコス。
若い二人を呼んで寄こし、最初は不機嫌に、二人に自分に従うか!
と厳しく言い、二人も観念し、父を、夫を慕い従いますと語る。
しかし、セレウコスは、息子に、さぁ、愛するストラトニスの手を取りなさい、父以上の愛情を注いでくださいとして、自分は退き、彼女と一緒になることを命じる。
喜びのうちに、幕・・・・。

歴史上の史実で、セレウコスは実際の妻を息子に譲り、自分は引退して王位も渡す。
アンティオコスはその後、名君として善政をひくことになる。
いまの世では考えられない不実なことだけれど、大昔はありの世界だったようです。

実はこのオペラ、1時間のうち3分の1が語りなんです。
そして、頭にくるのが、わたしのパトリシアさまは、ソロがひとつもなく重唱のみ。
タイトルロールなのに。ほかの3人には、ちゃんと立派なソロがあるのに・・・・。
アンティオコス役のブロンのリリカルな歌は素晴らしいです。
でも、欲求不満がつのるのですよ。
おしゃべりだけすから。
でもちゃんと、プティボンの声、しかも麗しいフランス語を味わえますから。
急速なシンフォニアから、静やかな合唱、抒情的なアリアや、劇的な重唱。
音楽は、なかなかに素晴らしいのでした。

クリスティ門下生の歌の素晴らしさはさることながら、先生のクリスティのイキの良い弾んだ音楽は、音だけで聴くこのアンバランスなオペラに、しっかりとしたメリハリを与えてくれて、語りのあとの音楽が待ち遠しく、そして鮮度が高く感じられる。
室内オペラみたいなもんだから、実際に上演しても動きが少なく、効果が上がりにくいかもしれない。
映像のみで、メノッティみたいなオペラとともに、心理劇風に制作してみたら面白いかもしれないメユールでした。

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