スヴェンセン 交響曲第1番・第2番 ヤンソンス指揮
過去画像庫から。
メロンの巨大オブジェ。
しかも雪景色の中ですよ。
しかも、こんなに精巧で色も鮮やか。
おいしそうでしょう。
これは、山形の庄内空港の入り口あたりにあるんです。
今年は、もっと雪が深いと存じますが、庄内地方は山形でありながら、新潟と秋田の両県に似た日本海側の要素もたくさんあって、北前船で栄えた商業アリアでもあるんですな。
酒田と鶴岡がその代表格の街。
「おくりびと」も、ここがモデルになってます。
東北にありながら、高速が整備されるまでは、冬場は月山超えが車では不可能になるので、仙台よりは東京から行った方が近かった。
いまは雪でたいへんなことと存じますが、冬の今こそ、行ってみたい街々のひとつです。
今週のお題は、北欧。
寒いけれど、きりっと爽やかな印象を持っている地域です。
われわれ音楽好きとしては、北欧といえば、「ノルウェーのグリーグ」と、「フィンランドのシベリウス」がその存在として双璧にございましょう。
その音楽と、北欧の風物が見事にイメージとして、われわれの中に存在しているのですから。
そのグリーグが唯一残した交響曲を前回は聴いたのですが、そのグリーグがその交響曲を、ほぼ同年代の自国ノルウェーの作曲家スヴェンセンの交響曲第1番を聴いて、その出来栄えに、自身のドイツロマンテック系作風から抜け出せない限界を感じて封印してしまったといういわくの経緯を持つスヴェンセン作品なのです。
スヴェンセン(1840~1911)は、ノルウェーの作曲家で、今年、没後100年。
グリーグとはほぼ同年代ながら、人気の点ではまったく及ばない点が気の毒な人。
前回書いたとおり、グリーグはロマンと後期ロマンの狭間で民族主義にもうまく折り合いをつけたノスタルジックな作曲家であったのだけれど、スヴェンセンは、今回の2曲の交響曲に聴くかぎり、民族主義的要素はやや弱め。
ドイツ正当の構成重視のかっちりした形式を重視し、その中に北欧テイストをほのかに滲ませるといった印象を受けた。
グリーグが、1番の交響曲を聴いて、自分の作品がドイツロマン派交響曲の亜流と恥じて引っ込めてしまったのが、どうにも解せないのであります・・・・。
それはともかくとして、スヴェンセンが残したふたつの交響曲は、ともに4楽章構成で、ソナタ形式も踏まえた楽章を中心に、2楽章はゆるやかな緩徐楽章、3楽章は舞曲風の楽章、4つめのものは、盛り上がりを意識した躍動感あふれるもの。
1番と2番ともに共通した事項である。
しかし、1番は自国を出て、ライプチヒで勉学していたおりのもので、1866年頃、意欲と
活力にあふれた、いかにも漲る才気を感じさせる作品で気持ちがいい。
一方の2番は、その10年後、ノルウェー時代の76年頃と推定されるもので、その間の年月を感得させる成熟ぶりを示している。
それぞれの楽章の配置と大まかな特色は同じながら、それぞれに彫りが深くなり、オーケストラも無駄なくすっきりと、そしてバランスよく鳴っている。
ことに2楽章のアンダンテ・ソステヌートは1番のそれ(アンダンテ)に比べて、抒情の夢心地具合が高まっていて、この楽章だけでも単独で1日の終わりに聴いてみたいと思わせる曲なのです。
すべてにおいて、2番が勝っているかというと、自分的にはそうでもなく、1番の素朴さと若々しさは魅力で、2番には、まだその先がるのではと思わせる途上的な何かを感じる。
結局、その先が交響曲においてはなかったスヴェンセンなのでありますが、その後もオーケストラ曲を書き続けているので、また聴く機会をとらえて確認してみたい。
スヴェンセンは、その後、デンマークのコペンハーゲンに移動し、そこで活躍し没していて、コペンハーゲンの王立劇場の指揮者も長く勤めている。
その任期のあとは、ニールセンが継いでいて、ニールセンとスヴェンセンにも、非公式ながら師弟関係と音楽の影響具合も認めることができるわけ。
スヴェンセン・グリーグ・ニールセンとつながりがる、北欧関係なのでした。
今日の演奏は、作曲者ゆかりのオスロ・フィルハーモニーを指揮した、マリス・ヤンソンスのもの。
構成感よりは、流れとわかりやすい旋律運びを重視したマリスの指揮。
やがて来る春をも思わせる爽やかな演奏なのでありました。
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コメント
こんばんは!僕はたまたま何かの検索をした時に「さまクラヲタ」さんのサイトに出会いました。で、そのクラシックの造詣の深さに超感心!僕も30年以上、本を見たりネットを調べたりと、コツコツクラシックとジャズを聴いてきました(S36生まれです(´Д` ))。新たな感動との出会いを求め、去年からFBもやってきましたが、やはり殊クラシックに限って言うと、限界を感じます。そんな訳で、「さまクラヲタ」さんとの出会いに感謝感謝です。これからも感動できる音楽をいっぱい教えて下さいね!
前置き長くなりましたが、スヴェンセンいいですねー。僕は、ありきたりかもしれませんが、「ロマンスト長調」にメロメロです!もっと人気が出てもおかしくないのでは、と思っています(^-^)/
投稿: 山元 光 | 2012年9月 8日 (土) 18時32分
山元 光さん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
わたしなんぞ、長く聴いてるだけが取り柄の、それこそヲタ親父です。
なんの取り柄もございません。
ちょっと古目の演奏にこだわってますし、誰も聴かない新規開拓路線もありますが、またご覧いただければ幸いです。
スヴェンセンの交響曲は、なかなか気に入っているもののひとつです。
そして「ロマンス」ですね。
それはまだ聴いたことありません。
ブログやFBは、こうして、同じような嗜好をもたれる方々を通じて、さらなる音楽の世界を拓くことができる点が素晴らしいと思います。
投稿: yokochan | 2012年9月 9日 (日) 00時13分