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2011年2月16日 (水)

ヴォーン・ウィリアムス 交響曲第4番 ハイティンク指揮

Q

このグラスを知っている方は、きっと私と同世代。
会社に入ったころ(80年代はじめ)、にサントリーから発売された、ウィスキー「Q」についてきたQグラスなのです。
ライト&スムージーという、極めてアメリカンなお題目の口当たりのよいウィスキーでして、軽く一本いっちゃったもんです。
バブル前の、軽~い社会風潮にあった世の中でしたねぇ。
わたしのような、のほほん世代がたくさん生まれたのですねぇ。
ほほほ。

でも、今日はうってかわってシビアな曲いきますぜ。
世の不合理と厳しさを訴えるかのような音楽です。
そして、ワタクシも、チューハイなんぞというしちめんどくさい酒は飲まずに、ビール、日本酒、ウィスキーならアイラモルトのロック。
厳しくなったもんだ。
でも、体にも警鐘が鳴りつつありますなぁ・・・・・。

Rvw_sym3_4_haitink


久しぶりの再開は、ラルフ・ヴォーン・ウィリアムス(1872~1958)~RVWの交響曲シリーズ。
これまで、いろいろと取り上げてきたし、番号順に聴いてゆくことも、いくどかやってみたけれど、9曲あるRVWの交響曲は、曲によって多様な顔を示していて、その特徴を的確にとらえるのはなかなかに難しく、いきなり聴かされて、これは何番の何楽章とまでいいきれることが自分ではこれまでのところない。
1,2,3,5,7は得意なのだけれど、4,6,8,9がいまひとつ自信がない。
2を除く偶数番号だし、いずれも純粋なるオーケストラだけの交響曲で、30分前後の長さにおいても共通。

合唱入りの壮大な海の交響曲たる1番。
ロンドンを主人公にした描写的な2番。
田園交響曲たるノスタルジックな3番。
3番にも近い、茫洋たる英国自然を描いた5番。
映画音楽にも近い、南極交響曲の7番。

そしてほかの、厳めしい顔をしたRVWの4つの番号交響曲。
これらのギャップは聴き手には大きい。
さきの5つの交響曲に比して、まだまだ馴染みを持てていないことをここに告白しておきます。
「9」という宿命的な番号を書いて終わったRVWだけれど、長生きして晩年まで書き続けたので、これ以上はなかったかもしれないし、9番の内容や奇数番号への思いこみのなさなども含めて、もはやベートーヴェンを意識する影はまったくない。(そりゃそうですね)

第4交響曲は、1934年の作品。
RVWの創作活動は、その人生でまんべんなく行われたが、もっとも充実していた時期。
重要なオペラ作品もいくつか書かれている。
あの美しく抒情的な第3交響曲が1921年。
13年の隔たりは、この交響曲に横溢する不協和音によってあらわされる。
前作は第一次大戦が終了して復興の時期。
そして、この4番は、ヒトラーが総統に就任し、いよいよきな臭くなってきた、まさに不安の時代。
それを完全に意識しての、大胆な和声と不安をあおる不協和音でもなくって、作者は「そのときのヨーロッパの外況を描こうとしたものではなく、その時、わたしに宿ったものをそういうように書いたにすぎない」と意味慎に発言している。

でも後世のわたしたちが、こうしてCD音源を前に何度も聴き、ネットで時代背景などを調べるにつけ、あの時代の重苦しい雰囲気は確実に曲に、そして作者になにかをもたらしていたと思う。

いきなりシビアな音響で始まる第1楽章。
劇的なそうした場面と、後半の静かな定年に満ちた暗い雰囲気の対比がおもしろい。
第2楽章は、抒情的だけれど、かなりシャープな感じで厳しい。
スケルツォの3楽章もかなり劇的。RVWらしい、ペンタトニックなムードも充分に出しつつ、曲は連続してさらに厳しい4楽章に突入して、何度も何度も同じ主要主題が繰り返しフーガのように展開され、興奮を呼び覚ます。そして曲は最後、唐突に爆弾が落ちたかのように終わってしまう。

EMIに入れたハイティンクの全集は、多くあるRVW交響曲のなかでも、その多様性の鮮やかな描き方とシンフォニックな捉え方で、極めて立派な威容を誇っていて、マーラーと同じく、なんでもありの手法のRVWを、あくまで交響曲として譜面ありきの演奏に徹しているかのようだ。
このややこしい、4番や6番、8番や9番も、ハイティンクのもとで純粋な交響曲としてすっきりと自立している。
そう、あとロンドン・フィルのくすんだ音色と重厚な響きが指揮者と、そして曲に最高にマッチングしているのです。

Q2_2 

乾杯wine

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コメント

この全集に対する世の中の評価が低すぎます。おじさんは怒っている、ぱぁーと2(笑)。
4番のような激しく暴力的な曲でも、時折ハイティンクのあのやさしく且つ憂いを含んだような眼差しを感じてしまいますなぁ。しかしこの曲、戦争への予感か、またしても繰り返されるそれに対する怒りか、仰るように単に「モダーンな曲を書いてみました」では納得できないっすよね。
そしてちょっとユルめのロンドンフィルが私は大好きなのですが、ときには荒れまくって苦笑いします。が、ハイティンクの時は実に充実した音ですばらしい演奏を聴かせてくれますね。


投稿: Tod | 2011年2月17日 (木) 23時16分

Todさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
わたしも怒りたくなりますね(同感)
それとともに、RVWの交響曲も。
グリーンスリーヴスやタリスぐらいしか聴かれないのも悲しいです。
でも英国音楽って、そうして好きな人だけがこっそり聴いていればいいのだとも思ったりしてます。

ご指摘のとおり、この4番は怒りの度合いや頻度がなかなかに昇華されてしまって、複雑な様相となってます。
ハイティンクの演奏はぴったりですね。

投稿: yokochan | 2011年2月19日 (土) 01時06分

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