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2011年3月12日 (土)

神奈川フィルハーモニー定期演奏会 金 聖響 指揮

いまも続く大震災の余震。
そして、被災の甚大さが次々に明らかになっていて、むごいくらいの映像が報道されています。
その被害はまだ継続中だし、連鎖する地震も不安をあおって、今後、何がおこるかわからない・・・。
私の住む千葉や、職場の東京では、スーパーやコンビニに食品がまったくなくなっている。
物流が寸断され、日常ではなくなってしまった。
赤水だし、都市ガスは停止、電気も計画的に停電の予告・・・・。
交通機関もまだ不完全。
帰れなかった自宅に戻った土曜、食器は割れ、お気に入りの置物も落ち、部屋は混乱。
身近に起こっている事象です。

それでも、こうしてネットはつながっている。
この強いインフラは、災害時の教訓となろうか。

でも、こんな思いは生ぬるい。
むごたらしい映像を見るにつけ、東北・茨城の皆さまにみまわれた惨状に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
親戚もいますし、仕事柄、仲間も多いし、始終伺うことが多かった地。
青森から福島までの太平洋沿岸。いずれも訪問したことがある思い出深い地です。
どうか皆さん、ご無事でいらっしゃってください。

Kanaphill_201103


    マーラー 交響曲第6番

       金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                  (2011.3.12@みなとみらいホール)

今日、12日土曜日は、神奈川フィルハーモニーの定期演奏会の日。

開催が危ぶまれましたが、yurikamomeさんから、決行のご連絡。
帰宅しなかったもので、都内から横浜まで、スムースに移動。
ひと気の少ないみなとみらい地区(ほとんどのお店がクローズしてます)、そしてみなとみらいホールは、3割~4割の入り。

こんな時に、音楽を聴くという、どこか後ろめたい感情・・・・。

今朝から、そんな思いにとらわれ、中止も半ば期待していた。

しかし、主催者側と演奏者側の熱い思いが、そんな思いを払拭してしまう、たぐいまれなるコンサートとなったのであった。

正直いって、わたしには、いま、言葉がありません。
特殊なシテュエーションが作用し、演奏する側と聴き手が一体となって、高みに達してしまう。
不謹慎ではありますが、マーラーの6番ほど、そんな思いを高めてしまう曲はありません。

この曲は、何度も実演に接して、「もう封印」などと思ってきた演奏ばかりなのです。

アバドとルツェルンの来日公演は、わたしのコンサート経験No1で、病後、復調のアバドが喜々として笑みを浮かべながら指揮するもと、その無垢な指揮者に、全霊を尽くす奏者たちが無心で、夢中になって演奏する神がかった演奏。

ハイティンクとシカゴの完璧極まりないなかに、スコアのみがそこにあるといった完全演奏。

どちらも忘れえぬ体験。

そして、聖響&神奈川フィルのマーラー6番は、そのどちらでもない、悲しいくらいに美しく、痛切で、感情のこもった真っ直ぐな演奏だった。

それでいて、流れの良さを大切にしたスマートさも。

正直、こんなに心のこもった、全身全霊の演奏が聴けるとは思わなかった。

わたしは、指揮者と演奏者が一体化しているのが、うれしくって、まぶしくって。

そして、音楽が素晴らしくって。

そしてなんといっても、この震災が悲しくって、恐ろしくって、テレビで何度も見た映像が、辛くって、何度も何度も鳥肌が立って涙ぐんでしまうのであった。

 しかし、音楽への前向きな取り組みは、マーラーの絶望的な思いとは逆に、明日もある未来を予期させる若さと逞しさを感じさせました。

ハンマーで心かきむしられた終楽章。
あの、あまりに特異なエンディング。

指揮者も奏者もすべて動きを止め、その静寂がいつまでも、永遠に思われました・・・・・。

演奏会の冒頭。
聖響さんは、いまのこのとき、演奏家にとってなにができるか・・・、それはいい音楽をすること。義援金の募集のこと、などを話され、わたしたちも一緒に、長い黙祷を捧げたのでした。

この演奏会。
開催を決意した主催者側、果敢に一心不乱の演奏を繰り広げた聖響&神奈フィル、ホールに集まった音楽を愛する聴衆・・・・、心が一体になりました。
こんな時に、コンサートなんて・・・、という思いを一蹴してしまうような、心のこもった、愛に満ちた演奏に救われました。
どうか、奏者と聴き手が達したこの思いが、被災地の皆さまに少しでも届きますように。
そう、明日も、明後日も、まだあるんですから!

アフターコンサートは、意を決して集まったいつもの皆さんに、首席チェロの山本さんをお迎えして、短いながら充実の時間を過ごせました。
その間にも、お店のテレビでは、第一原発のガス爆発を報じるなど、まったくもって尋常ではない状況にありました・・・・。

こうしている間にも、余震や余波の揺れが起きてます。
家人ともども不安で寝不足です。
みなさま、ご養生ください。

そして、被災地のみなさまには、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

Minatomirai20110312

ひと気のない、みなとみらい地区。


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コメント

 私も、今日県民ホールにトスカを聴きに行く予定です。
なんか後ろめたい気持ちでしたが、感動的な記事を読ませてもらって聴き行く気になりました。

 第三帝国末期にフルトヴェングラーを聴きに行ったベルリンの聴衆を思いますね。

投稿: コバブー | 2011年3月13日 (日) 12時05分

未曾有という言葉は阪神大震災のときに遣われた言葉でしたが、こんな事態が起ころうとは本当に思いもしませんでした。
いつもと変らぬ日常が送れることを、有り難く思い、申し訳なく思い…
そして遠隔地に有り、仕事柄お手伝いに駆けつけることもならない私どもの、出来ますことといえば、義捐金を送ることと祈ることだけのように思います。
美しい音楽もまさにまたとない祈りかと。
余震の続く毎日とか、どうかご自愛ください。
そして、これ以上のことが起こりませんように。

投稿: 聖母の鏡 | 2011年3月13日 (日) 17時00分

新潟の演奏会やイヴェントも軒並み取りやめとなりました。それが当然のことと思い、ほっとした気持ちもあります。しかし、本当にそれが時宜に適ったことなのか?
思い起こすのは、9.11の日のMTT=サンフランシスコによる6番の名演です。あの時もアメリカの人々の魂を奮い起こしたものでした。その奇跡を、金=神奈フィル=聴衆の皆さんが為したのですね。
震災直後、新潟に来ていただいた皆さんの演奏にどれほど勇気付けられたことか。
どうか、神奈フィルの聴衆の皆さん、その演奏会で感じたことを終生忘れずに、被災者の方々への思いを強くし、復興に全力を挙げて協力して参りましょう。

投稿: IANIS | 2011年3月13日 (日) 17時30分

コバブーさん、こんばんは。
フィレンツェのトスカを観劇になられたのですね。
メータをはじめ、イタリア人たちもいまの日本の惨状に心をいためられていて、きっとすごい演奏になったのではないでしょうか。

あの感動は、独特のものでしたが、帰宅後も報道で惨状を見るにつけ、はたしてよかったのだろうか・・との思いとのせみぎあいです。

投稿: yokochan | 2011年3月13日 (日) 22時06分

聖母の鏡さま、こんばんは。
本当に目を覆うような惨状。そしてあまりに悲しい光景。

関東にいるワタクシなぞ、被災地の方にくらべればなんのことはないと思います。
明日から、停電も予定され、我慢の生活ですがこれも試練です。
美しくも、強い音楽によるメッセージに出会えたことは感動すべき事柄でしたが、一方で自分だけが・・・、という思いもいまも捨てきれません。
いずれにしても、祈るのみです。
コメントありがとうございました。

投稿: yokochan | 2011年3月13日 (日) 22時14分

IANISさん、こんばんは。
中止かと思われましたが、敢行されました。
行って、聴いて、ほんとうによかったと思います。
熱い思いに満たされました。
しかし、帰宅後、そして今日も1日、発達したメディアでリアルタイムの被災状況を見るにつけ、複雑なる思いになっていることもたしかです。

でも、マーラーの80分間。
音楽に完全に気持ちが宿り、音のオーラが立ち上りゆくのを感じたのは間違いありません。

復興にむけ、日本自体も正念場です。
あの気持ちを失わずに個人レベルでも応援、そして自身も頑張らなくてはとの思いを強くしております。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2011年3月13日 (日) 22時48分

こんばんは。
しばらく、何を発信していいかわからなくて、静かにしていました。よくぞみなとみらいにコンサートに行きましたね。

うちの方でも、東京から帰って来れなかった人の話を聴きました。あしたは上野文化会館に行きます。しかも、「運命の力」なんて!

投稿: にけ | 2011年3月13日 (日) 23時16分

昨日はありがとうございました。

意を決して演奏者も聴き手も集まっただけに、あれほど会場が一体化するとは!

終曲後は茫然自失。
言葉がありません。
一生忘れないでしょう。

投稿: syllable | 2011年3月13日 (日) 23時22分

あれっ、朝になったら、電車が止まっている。停電はともかく、交通機関が止まっては、行けません。残念。

投稿: にけ | 2011年3月14日 (月) 08時22分

開演前にメータが、この演奏は被災者に捧げるという挨拶をしました。
実際、観客も含めて全員がひとつとなった、素晴らしい演奏でした。
演奏者は遠い国で、みんな不安だったと思いますが、逆に力をもらったようです。
とにかく、出来ることをしようという気になりました。

投稿: コバブー | 2011年3月14日 (月) 09時31分

にけさん、こんにちは。
千葉に帰っていたら、横浜までは行くことはなかったでしょう。
そして、今日も千葉で自宅待機です。
東電のふらふらぶりには困ったものです。
運命の力は、夕方の開演なのですね。
下世話ですが、払い戻しはできるのでしょうねぇ!
クラヲタ活動にも、大いなる影響の残る大地震です。

投稿: yokochan | 2011年3月14日 (月) 14時00分

syllableさん、こんにちは。
土曜日はどうもお世話になりました。

あんなエモーショナルな体験は、ちょっとできないですね。
わたしも忘れえぬ演奏会となりました。

在浜最後の神奈フィル定期でしたね。
素晴らしい体験はまだ続くかもしれません。
機会を得て、またお見えになることをお待ちしてますね!

投稿: yokochan | 2011年3月14日 (月) 14時06分

コバブーさん、こんにちは。
やはり、メータとフィレンツェや歌手の皆さん、大変な思いを託して上演してくれたんですね。
「恋に生き、歌に生き」なんて、いま想像して思うだけで、涙がでちゃいます。

やはり、音楽はこんなときでもあったほうが絶対いいのです。
ただいま自宅待機中ですが、気持ちが少し高ぶってきました!

投稿: yokochan | 2011年3月14日 (月) 14時12分

12日、どうしても滅入る気持ちになり、午前様で帰宅したこともあり中止だよなあと思っていたら、なんと開催されるということで、半信半疑で向かいました。

4割入りくらいでしょうか・・しかし悲劇的という題名を吹き飛ばすような演奏で、フォルテも以前より迫力を増したように感じられ、すばらしかった。
アバドと較べるのはオカシイかもしれませんが、まったく遜色はないと思います。もしCDで出してもらえたらまた聴きたいと考えるほどです。

第一、四楽章を聴いて、この曲はこんなにかっこよかったんだ、と認識しました。
開催してくれたことに感謝しています。

投稿: hamusuke | 2011年3月14日 (月) 16時55分

hamusukeさん、コメントありがとうございます。
わたしも、中止だと確信し、かつそう願ってました。

しかし、あの名演を思い切り浴びてしまいましたね。
「悲劇的」という名が相応しくない演奏に思いました。
第9がCD録音予定と聞きますが、こちらの6番も是非音源化して欲しいです。

そうですね、思いきって開催してくれてとてもよかったと思います。

投稿: yokochan | 2011年3月14日 (月) 21時44分

どうも遅ればせながら先日はどうもありがとうございました。
特別な演奏会でしたね。たぶん私はこの演奏会は一生忘れないと思います。
社会不安の中で音楽を聴くということがどれほど癒しや励みになるのかがよくわかりました。こんな時だからこそ、救いを求めている時ほど音楽が必要だという事を改めて身にしみました。
そしてその演奏のあまりに素晴らしく美しかったことがどんなにか切なく感じたことか。まぎれもなく神奈川フィルの演奏するマーラーでありました。インスピレーションに満ちた幻想的な演奏だったと思います。
次回も楽しみです。
またよろしくお願い致します。
ところで、フィレンツェのオペラは帰国命令が出て中止だそうですね。
尋常なことではないのはわかっていますが、この程度の不自由は我慢は当然ですが、市中の空気が暗いのが気になります。

投稿: yurikamome122 | 2011年3月15日 (火) 17時28分

yurikamomeさん、先日はどうもでした。
メールを頂戴しなければ、あの瞬間に立ち会えなかったものと思うと、ある意味鳥肌がたちます。

この逆境を、聖響&神奈フィルはみずからの糧とし、そして、すべての人への愛の思いへと照射してしまいました。
聴き手として、こんなに嬉しくも、新たな一面に出会えた喜びを感じたことに感謝の言葉もありません!

海外から見た日本は、震災時と、被災発信国としてみなされてしまった今とでは、見方が全然ちがってしまいました・・・・・。
ちょっとマズイですね。。

投稿: yokochan | 2011年3月15日 (火) 21時20分

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神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第270回定期演奏会 公演日:2011年03月12日(土) 開場:13:20 開演:14:00 公演場所:横浜みなとみらいホール    指揮:金聖響  マーラー/交響曲第6番イ短調「悲劇的」  特別なコンサートでありました。  こんな時期にこの曲のコンサートが行われると言うことにある意味を感じてしまう。  会場はおそらく300人前後の入りだった。  この日の聴衆の1/3位の人数と思われる楽団員がステージズラリと並び、指揮者の登場。  交通... [続きを読む]

受信: 2011年3月15日 (火) 17時29分

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