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2011年4月16日 (土)

ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」 オークレール

Kandamyoujin_taishou

神田明神のお隣にあった「神田の家」。
再建された昭和初期の一軒家。
古民家だけど、わたしのような人間には、これまた懐かしい風情。

両親や、そのまた親たちはこんな風な家々に住まい、昭和30年代終わり頃に、両親は一念発起して、住宅メーカーの住まいを手に入れた。
ダイニングがあり、洋室と和室が半分半分。
戦後の第2世代の勃興期でありました。

Kandamyoujin_taishou2

その館の上には、わが世の春を謳歌する桜たち。
桜は、なにもしなくても、ちゃんと春が来ると咲くんです。
自然の摂理はこうして正しく機能するのに、あんな風に牙を剥くなんて・・・・。
人間の能力には限界があり、自然の力には底がない。
悔しい、悲しいけれどしょうがない。
折り合いを付けて生きてゆくしかないのです。

今日、栃木南部で起きた地震は、余震ではないらしい。
今住む千葉も結構揺れました。
備えも自己責任で怠らないようにしなくては・・・。

Beethoven_le_printemps_auclair

春を超えて、初夏みたいな今日、土曜日。
東北も暖かったようです。
明日からはまた平年並み、しかも寒さも戻ってくるというから体調に気をつけなくてはなりませぬ。

そうはいっても、春乱慢。
その名も「春」、ベートーヴェンのスプリング・ソナタを聴きました。
ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調「春」です。
ベートーヴェン30歳の幸せな作品は、その前の4番と同時期に書かれた姉妹関係をなしている。
全編に伸びやかで、明るくて、屈託のない雰囲気に満たされていて、その柔和さに聴く者みんな和んでしまうこととなる。
「春」とは、のちに付けられたものとはいえ、よくいったものである。
間奏風の橋渡し風のスケルツォがとても短くて、それだけで第3楽章となっているところが面白いところ。

厳ついベートーヴェンより、こんな優しくて、明るい顔したベートーヴェンもいい。
第2楽章はことに美しい。

フランス生まれの女流ヴァイオリニスト、ミシェル・オークレール(1924~2005)の1950年代のレコードを復刻したアインザッツ・レーベルの音源にて。
その才能をティボーに愛され、若くして活躍したオークレール。
ともかく若やいでいて、美しいヴァイオリンの音色が、レコードの原音そのままに楽しめる。
フランスのベートーヴェンというに相応しく、クリュイタンスのベートーヴェンの緩徐楽章を聴くような思いを味わった。
ピアノはジェヌヴィエーヴ・ジョワ。
カップリングには、ティボーにも学んだシェリングが、そのティボーの指揮で録音した同じベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が収録されていて、そちらも清々しいものでした。

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コメント

管理人さんこんにちは♪
家の近所でも春は訪れて毎年一番に咲くお寺の山門の桜が今年もトップです。

「春」ですが私の愛聴はクロイチェルとカップリングの近所の書店で求めた315円のシリ―ズの中の一枚でジョナサン・カ―ネイのですが、なかなか結構な演奏です。
録音も上質で何となくシリ―ズを20枚くらい揃えましたがオケは全部ロイヤルフィルですが中にはモ―ッアルトのピアノコンチェルみたいに素晴らしいのもあります。
良い意味での文庫本の感じですよ。

同期の作曲家・指揮者が自作の録音のためロンドンフィルを使った時もその譜読みの早さとプロとしての技量の高さに驚いてました。 彼は世界中に仕事がありアメリカのハリウッドのスタジオでも振ってますが、ユニオンが強くオケも士気が低かったそうです。

投稿: マイスターフォーク | 2011年4月18日 (月) 07時13分

マイスタアーフォークさん、こんばんは。
北の方面ですよね?
そうですか、さぞかし美しい桜なのでしょうね。

そしてロイヤルコレクションの中に、ベートーヴェンのソナタもあったのですか。
あのシリーズは、わたしもちょろちょろ揃えてますが、クオリティが高いですね。

ロンドンのオケは、いずれもオペラや大作のレコーディングに引っ張りだこなのは、ユニオンの関係ばかりでなく、プロとしての意識と技量の高さなのですね。
なるほどのエピソード、どうもありがとうございます。

投稿: yokochan | 2011年4月18日 (月) 23時40分

一昨日はお世話になりました。そしてyurikamomeさんのおかげで、またしても楽しい、そしてうれしい一日となりました。

> 膨大で、これでもかというばかかりに押し寄せるCDやDVDの数々。…
というところに全く同感!!私も増え続ける未聴のCDとDVDの山の前にくらくらしそうです。
ドホナーニとアラウのこの音源は、LPで散々聞いたものでした。CD化されていることは知っていたのですが、ついついそのままになっていたものです。
それにオークレールのスプリングはびっくりしました。有ったのですね。今調べたら、なかなか手に入りそうもないので、オークションを探してみます。愛してやまないヴァイオリニストの一人なものですから…。

投稿: Schweizer_Musik | 2011年4月19日 (火) 07時34分

schwaizer_Music先生、こんばんは、
昨日かと思ってたら一昨日でした・・・
最近、退化がますます進行中です。

でも昔のことを忘れず、レア演奏家を覚えているところが、うれしくも、悲しいところです(笑)

アラウのこの時期の演奏は、ハイティンクとの共演も多く、同様に素晴らしいものばかりです。

そして、今回のこのオークレールの盤は、メインがシェリングのコンチェルトです。
こちらで、入手可能です。
http://www.einsatz.jp/lineup.html

こんな美しいベートーヴェンもありだと実感しました。

投稿: yokochan | 2011年4月19日 (火) 22時20分

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