« ワーグナー 「にわとこの花のかぐわしさ」~マイスタージンガー | トップページ | プフィッツナー 「パレストリーナ」より ティーレマン指揮 »

2011年5月13日 (金)

アレグリ 「ミゼレーレ」 タリス・スコラーズ

Tokyotower20110513

本日5月13日、21時頃の東京タワー。
自粛と節電でライトアップが止まっておりましたが、11日から13日まで、「哀悼の光 ダイヤモンドヴェール」ということで、白色のライトをまといました。

上と下は点灯せず、しかも電力量も減らし通常の半分といいます。
東京タワーのサイトには、通常時との電力消費が対比されて表示してあります。
何事も、こうして使用電力を明示して、理解を請わないとならない世の中になったのであります。
節電ビジネスも数々登場し、節電コンサルタントの講演会などは大盛況。
3月10日までは、誰が、日本がこんな風になると予測しえたでしょうか。
しかし、本来的には、節電節約は正しきこと。

2ヶ月間、真っ暗だった東京タワーに明かりが灯り、明日からもまた通常より使用電力を減らして点灯してゆくといいます。
少し、寂しさが晴れた気持ちもしますねぇ。

そして、この哀悼のヴェールとともに、わたしも音楽で、哀悼の意を表明したいと思いました。

Allegri_miserere

ルネサンス末期~バロック初期の狭間のローマの作曲家グレゴリオ・アレグリ(1582~1652)の「ミゼレーレ」
パレストリーナの流れをくみ、聖職も兼務した敬虔なアレグリの代表作。
というより、これしか知らない。

この曲は、いっとき流行りました。
英国BBCの通俗曲ばかりあつかうサイトの放送で、数年前、始終かかっていて、おぼえてしまった。
Classic FMというキー局だけど、ラフマニノフやブラームス、アダムズやグラスのミニマルミュージックもさかんに流していたのがおもしろい。
映画にまつわる音楽、ということでしょう。

「ミゼレーレ」とは、レクイエムやミサ曲に必ず出てくる言葉。
いずれも、哀感がこもり、切々とした歌と音楽が伴っております。
「救い給え」という意。
旧約の詩篇51篇の部分であります。

~神よ。御恵みによって、私に情けをかけ、あなたの豊かなあわれみによって、私のそむきの罪をぬぐい去ってください。~

人間が罪を告白し、悔い改めを表明し、神に救いを求めるわけであります。
そして、キリストがその人間の罪を一身に背負い十字架に架けられ、生贄となったがゆえに、イエスを通じて神に語りかけるのがキリスト者なのです。

4声と5声の2団の二重合唱による、静謐でシンプルな音楽は、単調なまでに淡々として何事も動きが少ない。
一心不乱に告解をして熱っぽくなることは一切なく、静かな心乱すことのない祈り。
だからかえって、誠実な祈りとして心に迫ってくる。
キリスト教と遠い方であっても、この祈りの心情は不変でありましょうし、仮に、この曲が神社やお堂で流れたとしても、全然違和感がないのではないでしょうか。

ピーター・フィリップス指揮するタリス・スコラーズの録音は、ふたつの声部が少し距離を置いて、それぞれがこだまのように響き合うさまが、録音によってよく捉えられているし、完璧なウマさが無垢な歌声にとって変わって聴こえるまでに、研ぎ澄まされている。

モーツァルトが、この音楽を聴いて、記憶をもとに写譜を残したという話もあります。

ここに、タリス・スコラーズの映像がありましたので。



もう1枚、別の場所から。

Tokyotower20110513b

暗過ぎ?
でも、これでいい。

|

« ワーグナー 「にわとこの花のかぐわしさ」~マイスタージンガー | トップページ | プフィッツナー 「パレストリーナ」より ティーレマン指揮 »

コメント

おはようございます。

ミゼレーレは何種類か手元にあります。とても好きな曲です。
タリス・スコラーズ盤は持ってませんが、一度、実演で聴きました。立体的な配置で歌ってて「ほほう、なるほど」と納得したものです。
ギメルのCD、けっこうあるんだけど、最近は取り出してないなぁ・・・・。

投稿: 親父りゅう | 2011年5月14日 (土) 07時33分

この曲はタリススコラーズの来日公演のたびに演奏されていつも聴いておりました。
ご紹介されているYouTubeのローマでのライヴ録音も素晴らしい出来ですね。
以前レーザーディスクで持っていました。

投稿: ピースうさぎ | 2011年5月14日 (土) 07時41分

親父りゅうさん、こんにちは。
TBもどうもありがとうございます。
数種お持ちとのミゼレーレ。他盤をまったく知らず、この曲といえば、タリススコラーズしか知りませんでしたので、ほかも興味があります。

大編成ものや、濃厚ロマン派ものばかりに傾くわたくしの耳には、清らかにすぎる響きでございまして、いっときはまりまくった中世ルネサンス期の音楽がまた回帰してきそうです。
ギメルのCD,わたしもそこそこ持っているようです。

投稿: yokochan | 2011年5月14日 (土) 21時47分

ピースうさぎさん、こんにちは。
プロカンティオーネアンティカぐらいしかしらなかった、古めのワタクシには、タリススコラーズのジョスカン・デュプレは清冽極まりないものでした。
実演も多く聴かれているとは、さすがですね。
教会で一度聴いてみたいと思います。
youtubeは、なんでもあって、便利というか、なんというか・・・・。

投稿: yokochan | 2011年5月14日 (土) 21時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アレグリ 「ミゼレーレ」 タリス・スコラーズ:

» アレグリ/ミゼレーレ(The Sixteen) [静かな場所]
ずっと体調崩してたカミさんだが、今日は少しずつ動いたりして、私も「フル主夫」から「パート主夫」へと移行しつつある。おかげで音盤鑑賞の時間も少し取れた。 朝は、ベームNHKライヴ(75年)からブラ1。夜はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(アンドレ・ワッ...... [続きを読む]

受信: 2011年5月14日 (土) 07時36分

« ワーグナー 「にわとこの花のかぐわしさ」~マイスタージンガー | トップページ | プフィッツナー 「パレストリーナ」より ティーレマン指揮 »