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2011年6月12日 (日)

シューベルト 交響曲第8番(完成版) マリナー指揮

Ajisai_ryutsu_3

こんな色合いの紫陽花見つけましたよ。
白に薄いピンク、真ん中が青。

これからピンクになってゆく、まさか未完成じゃないでしょうね?

Shubert_sym8_marriner

シューベルト 交響曲第8番「未完成」完成版
サー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

眉つばものと思われがちな未完成を完成させるという行為。
そんな中でも、しっかりと存在価値を確たるものとしているものは、マーラーの10番と、エルガーの3番でありましょう。
80年代前半、イギリスのハル大学の音楽教授、ブライアン・ニューボールト氏が補筆、というかほとんど書き足し、ほかの曲から追加して、無理むりに完成版としたのが、シューベルトの未完成交響曲。

シューベルトの交響曲で、いま番号が付けられて聴かれているのは8曲。
そのうち、1曲が8(7)番の「未完成」。
それ以外に、5曲、交響曲として手掛けた作品があって、そういう点からは、シューベルトは同時作曲進行の作曲家らしい未完の常習だったといえる。

この未完成交響曲も、グラーツ音楽協会名誉会員選出のお礼として書き始め、時間もなくなって、とりあえず完成できた2楽章までを送り届け、もらった側も、次があるだろうと、手をこまねいていたことから生まれでた「未完」。
 しかし、第3楽章のスケルツォ部分の全部と、トリオの一部はピアノ・スコアに残されているほか、スケルツォの最初の2ページ分のオーケストレーションも残されていて、シューベルトは、一応は完成を目指したものと推察されるが・・・・。

このわずかな痕跡を第3楽章スケルツォとして完成させ、影もかたちもない、第4楽章に、同じ調性のロ短調をもつ、「ロザムンデ」の間奏曲を持ってきて代用とした。
ロザムンデの中では規模がひと際大きく不釣り合いで、初期交響曲のフィナーレ様式も持っているからというこじつけ的な理由づけで。

 マリナーの演奏時間

  Ⅰ アレグロ・モデラート         14’59”
  Ⅱ アンダンテ・コン・モート     11’12”
  Ⅲ スケルツォ             6’33”
  Ⅳ アレグロ・モルト・モデラート  7’07”

               TTL                           39’51”

演奏時間からもおわかりのとおり、1,2楽章と後半とのギャップは、尻すぼみともいえるくらいに大きい。
ザ・グレイトで、ブルックナーやマーラーの域に達するような構えの大きさに達することがわかっているだけに、そして、前半がそれを充分に裏付ける内容と長さだけに、ふたつ併せて13分とはあまりに寂しい。

それでも、自筆のスケルツォ部分はなかなかのものである。
リズム感と歌謡性のマッチが、いかにもシューベルトの作。
であるが、そこからの発展性が乏しく、トリオのオーケストレーションはやや心細く、ただ繰り返すのみのあっけない内容。
シューベルトには、誰しも簡単になれない、っていうことです。
 そして、終楽章として採用された「ロザムンデ」の1曲は、それ自体は問題なく、立派な音楽。
悲劇的・ロマン的な調性としては同一感あれど、やはり劇音楽っぽくて、シンフォニーのトリを受け持つには、まして充実したリリシズムの境地を築いた前半部分に対して、あまりに役不足の感は否めず。

4楽章の完成版を聴き終えて、再度、前半ふたつの未完成を口直しに聴き直す、というなんとも言えない確認作業が必要なのでありました。
それで、トータル66分の大作となりました(笑)。

この完成版は、無駄とはいえないまでも、存在意義確立まではいたりませんな。

しかし、マリナーとアカデミーの爽快で、曇りない演奏は、実によろしく、前半はことに素晴らしい未完成に仕上がっております。
こんな透明感あふれる未完成、わたしは大好きですね。

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コメント

たしかに、元々未完成の曲の「完成版」は、ほとんどの場合オリジナルより「つまらない」ものになってしまうことが多いようですね。シューベルトのこの場合も同様だと思いました。はじめっから「そういうもの」と承知で聴くのがよいかと思います。
でも、マリナーのセットに入っている他の断片の数々は、曲としてのまとまりは無くても、切れ端として捨てるにはもったいない魅力的なものが多いです。
未完成作品や断片を集めて「完成」させたくなるのは演奏家の「性」「業」みたいなものでしょうかね?
マリナーの演奏は、私も大変好きです。また聴いてみたくなりました。
(TB送りましたが届くかな?)

投稿: 親父りゅう | 2011年6月12日 (日) 19時28分

親父りゅうさん、こんばんは。
TBありがとうございました。
マリナーの全集は、わたしも垂涎の的なのですが、バラバラといくつか揃えてしまい、手が出せません。
ほんと、欲しいです!

そして、完成交響曲はイマイチでした。
でも、マリナーとシューベルトの適正はバッチリですね。
ご指摘の断片、とても聴いてみたいです。

本文に書いた、マーラーとエルガーは、まったく真正ともいえる素晴らしい独自作品になっていて、数少ない成功作だと確信してますが、シューベルトのこちらは、今回のもの以降、誰も手が出せない状況になってしまいました・・・。
でも、聴くわたしたちも、わかってはいても、謎の部分を耳にしてみたいものですね!

投稿: yokochan | 2011年6月12日 (日) 22時52分

こんばんわ。
ベートーヴェン・マラソン行ってきました。最前列センター通路よりの固定席でとても快適でした。大変緊張感を強いられ疲れました。でも、全部聴き通せて幸せです。

投稿: Mie | 2011年6月13日 (月) 21時05分

こんにちは。時々訪問させていただき、記事を楽しく拝見しています。シューベルト 交響曲第8番は、色々な演奏を聴いていますが、完成版の演奏があるのは初めて知りましたので、興味深く読ませていただきました。一度聴いてみたいと思います。

私は最近モーツアルトのオペラの中でも好きな作品「コジ・ファン・トゥツテ」を鑑賞しましたので、感想を書いてみました。モーツアルトとベートーヴェンの音楽の違いについても触れてみましたので、是非読んでみてください。

よろしかったらブログにコメントをお願い致します。
他にも色々な話題について書いていますので、ご興味があったら覗いてください。

投稿: dezire | 2011年6月13日 (月) 22時40分

こんにち。いつも楽しく拝見しておりました。ここで初めて佐村河内守の存在を知ることができ、管理人様には大変感謝しておりました。パソコンが苦手なので大変躊躇したのですが、一言御礼を言いたく。ありがとうございました。娘に頼んでユーチューブというので佐村河内守の交響曲第一番《HIROSHIMA》を聴き物凄い衝撃を受けました。既に娘に頼んでアマゾンというところで予約をしましたが、あのような長大で壮大かつ精密なオーケストレーションを書ける現代作曲家を私は佐村河内守以外知りません。世界でも彼一人ではないでしょうか。私のような古いクラシック愛好家にとっては、待ち望んでいた一つの奇跡のように思えてなりません。長生きしてよかったと初めて思えました。長々すみません。本当にありがとうございました。

投稿: 老会員 | 2011年6月14日 (火) 16時33分

Mieさん、こんばんは。
ついに聴かれましたか、ベートーヴェンの四重奏曲全部!

音源で連続聴きは、なかなかなしえないことですから、それをライブで固定席でお聴きになるなんて、ちょっと快挙です!

お疲れでしょうが、充実感もひとしおですね。

奥様のオペラはいかがでしたでしょうか・・・?

投稿: yokochan | 2011年6月14日 (火) 21時11分

dezireさま、こんばんは。
いつもお世話になります。

この完成版、いまや流行らなくなってしまいましたが、音源としては記憶するところ、英国のグローブス卿と、マッケラス卿のものも出てました。
いずれも英国というところがおもしろいです。

このところ、オペラ自粛中でして、欲求不満も高まりつつあります。
コシは、是非と思ってましたのですが・・・・。
記事拝見させていただきます。
コメントとご案内、ありがとうございます。

投稿: yokochan | 2011年6月14日 (火) 21時15分

老会員さま、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。

わたしも、youtubeでしか、しかも部分的にしか聴いていない、いわば不届き者ですが、佐村河内氏の音楽をヒシヒシと受け止めることができ、賛美者のようになってます。
あと、1か月で全曲が聴けますね。

ほんとうに楽しみですし、きっと、言葉に出来なくて、記事も書けないのでは、と思います。
お聴きになられた暁には、是非またご感想などをお聞かせいただきたく存じます。

こちらこそありがとうございました。

投稿: yokochan | 2011年6月14日 (火) 21時26分

こんばんは。
パシフィカ・マラソン。これは一生に一回の機会と思い、仕事無理くり休み、二泊三日上京、どこもエアコンの効き悪く疲れました。しかし、凄い演奏会でした。かみさんは、髪ひかれる思いでみどりをあきらめそうで、日曜のみ別行動で上京、アベル、先週のコシと同じオケとは思えないほど良かったそうです。歌手はそこそこだったようです。禁断症状のお寿司・四回戦で、音楽そこのけの大出費になってしまいました。日曜のダムラウ楽しみです。

投稿: Mie | 2011年6月14日 (火) 22時37分

Mieさん、こんばんは。
東京のいまは、暗くて暑いです。
どこの会社事務所に行っても、暑いです(笑)
難行でしたね!

そしてアベル君の指揮は、コジよりよかったのですね。
わたしも、蝶々さんを観て、思いきり泣きたいです。

そして、寿司ですか!
東京の寿司は、いい店にいくととんでもなくウマいですが、会計がとんでもないことになりますね。
でも、いい音楽のあとは、いい食にお酒。
充実されてますね!
そして、ダムラウのメト、素晴らしい上演となりますように!

投稿: yokochan | 2011年6月15日 (水) 21時46分

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マリナーの指揮するシューベルトの交響曲全集を聴きました。全6枚のCDに、通常の交響曲全集には含まれていないことが多い「未完」「断片」も収録されており、全10曲(!)の交響曲と2つの交響曲の断片が収められています。 ... [続きを読む]

受信: 2011年6月12日 (日) 19時18分

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