ベルリオーズ 幻想交響曲 マルティノン指揮
7月の小便小僧。
これまで、自粛や防災ムードだったコスプレも、夏休みムードを先走り全開。
ひまわり小僧、いや、ひまわり君でしたよ
Tシャツにキャップ。
今回は、ぞの小僧ぶりが引き立ち、とっても似合ってますよ。
勢いも、いつにも増して元気で超よろしい。
7月の「ベルリオーズ 幻想交響曲」は、ジャン・マルティノンの演奏で。
1973年のEMI録音。
エラートからEMIにも録音しはじめたしたマルティノンが、次々とフランスものを自国のオケと録音しはじまたころ。
サン=サーンス、ビゼー、ドビュッシー、ラヴェルなどと並んで、幻想とレリオのみだがベルリオーズも、われわれ愛好家にとって、フランスの本場の香りを感じさせる一連の名録音だったのです。
74年に国内発売された時のジャケットがこちら。
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こんな感じのセンスあふれるジャケット。
録音はのっぺりと感じられたが、その演奏は、このジャケットのように、瀟洒でエレガント。
そして勢いやダイナミズムにも事欠かないトータルバランスのいい幻想。
全曲で54分。
ゆったりと構えながらも、歌い回しが実にうまくて、心地いいものだからもっと早く進行しているように感じてしまう。
同じアルザスの血を引くミュンシュと比べて、ドイツ的要素が少なめなので、晩年のフランスのオケとの一連の録音は、わたしたちが思い描くおフランスの音楽の理想プラス、少しエッジの効いたシャープさが加味して、独特の魅力に溢れているように思います。
国際化の名のもと無国籍化しつつあったパリ管のカラヤン、ショルティ時代に、フランスの息を吹きこんだのもマルティノン。
同時に、一歩後退してしまった、フランス国立管を、フランス国立放送管弦楽団の時代からずっと指揮し続け、機能性と香り高い芳色を植えつけたのもマルティノンではなかったでしょうか。
コンサートホール録音の、ベルリオーズ「キリストの幼児」は、ほんとに美しい演奏でした。
そんなコンビの、幻想の当時のもうひとつのウリは、コルネットの追加。
作曲後14年を経て、第2楽想のワルツに、コルネットのオブリガートを加えた。
のちに改訂したおりには、そのコルネットは省かれてしまった。
その場面を再現しているのがマルティノンの演奏。
当時は、初に近い(?)録音採用だったから結構話題になりました。
レコード調達はしなかったものの、FMで何度か聴いて、その浮き上がった雰囲気に否定的になった。
その後、普通にこのバージョンも取り上げられるようになり、アバドでさえそうだったけれど、このマルティノン盤ほどの、突出したイメージを抱くことはなかった。
いま聴いても、ともかく目立つし、耳触り。
でも、考えようによっては、その異常さが、幻想交響曲の登場人物の心理を語っているようで、その前、第1楽章の熱に浮かされた場面、そのあと、田園におけるあまりに自然回帰の清々しさとの明確なる心情対比が、優美なだけのワルツに比べて明確になったような気がする。
それだけに、マルティノン幻想の第3楽章の田園風景は、ことのほか美しく優美なのであります。
もちろん、じっくりしあげた断頭台とヴァルプルギスの熱狂も巧みで、熱いものです。
フランスのオーケストラの、60~70年代の個性が大いに楽しめるのも魅力。
鄙びたくらいの独特の管に、薄めだけど小奇麗な弦、うるさくなくてマイルドな金管・・・、素敵なものです。
7月の幻想も、暑さにめげず、気分よろしい爽快なものでした。
来月は、またフランスの指揮者でまいりましょうか!
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コメント
さまよえる様は本当に幻想が好きですね!私がくり返し聞いている演奏はデュトワ&モントリオール、木内博&山王中学校の演奏です。いつも秋田県秋田市立山王中学校が出てきて恐縮です。この木内博の幻想は私にとって最初の音楽的事件だったのです。中1だった私には人生を決定するくらいの衝撃だったのですよ。
ま、それはそれとして。
マルティノン&フランス国立!しぶい。。。そういえばフランス国立でブルックナーを現地で聞きました。それこそデュトワの指揮でした。ひどいよ^^;レコードで聴くフランス国立とは大違い。。。どしちゃったの??ってくらいホルンははずしまくり。バイオリンの音程はずれまくり、バスドラは「あんた、間違えたよね?」って演奏でした。
マルティノン&仏蘭西国立!正直まだ聴いていないので今度聴いてみます。
それにしてもさまよえる様は幻想の演奏をすべて聴いているんじゃないですか???尊敬^^
投稿: モナコ命 | 2011年7月16日 (土) 21時44分
モナコ命さん、こんばんは。
今日も暑かったですね。
そして、熱い「幻想」聴きまくりです。
毎月、1枚と決めて聴いてますが、いつかは底を尽きそうです。
何度か伺いました山王中学校の幻想。
中学生でこの難曲、ということ自体が驚きです。
素晴らしい思い出をお持ちで羨ましいです。
マルティノンは、中学・高校時代は、おフランスの香り漂う先生みたいでした。
いまだにそのイメージを持ってます。
そんな通りの幻想だったのですし、オケが今のフランス国立管よりローカルな感じで、思わず微笑んでしまいます。
デュトワのブルックナーですって??
聴きたいような、聴きたくないような感じですね。
いずれにせよ、本場パリでお聴きになられた経験、これまたうらやましいです。
来月の幻想も乞うご期待(笑)
投稿: yokochan | 2011年7月16日 (土) 22時49分
管理人さん こんにちは。
私の部屋は北国なのでエアコンはありませんが さすがに今年は聴き続けのは難儀ですが例年ならフランスモノにいきます…
マルティノン、フランス国立は同僚でフランス音楽を永い間愛好したり、勉強された玄人衆はいつも このコンビが出るのですね。
ダフニス、寄港地、海などは必須になりますね。
私はオルガンがやり過ぎなく好んでます。
投稿: マイスターフォーク | 2011年7月18日 (月) 18時36分
帽子のせいか、ちょっと大人っぽい雰囲気になりましたね。
投稿: edc | 2011年7月19日 (火) 08時44分
マイスターフォークさん、こんにちは。
夏は、爽やかなフランスものや、英国ものも聴きたくなりますね。
マルティノンとフランス国立放送の演奏は、EMIよりは、エラートのものの方がエレガントに聴こえるのが、さすがというべきところです。
サン=サーンスは、EMI盤は持っているのですが、エラートはまだ聴いたことがありません。
華やかにならないオルガン交響曲。
マルティノンならではで、フランスの音楽、という感じがとてもします。
若い頃は物足りなかったのですが、いまや味わいある演奏に聴こえます!
投稿: yokochan | 2011年7月19日 (火) 21時09分
euridiceさん、こんばんは。
夏休み突入バージョンは、こんなのでした。
たしかに、大人帽子ですね(笑)。
8月は麦藁帽子でしょうか。
投稿: yokochan | 2011年7月19日 (火) 21時56分