ワーグナー 「ローエングリン」 フルトヴェングラー&ティーチェン
えっ! なんですって
未デジ化進行中?
地デジ化された方は、こんな画面見たことないでしょう。
この差別的かつ、ばかにした画面がこのひと月くらいずっと出てるんです。
字幕も見えない、同じ受信料でこの差別待遇。
ほんとに頭にくる。
アンテナや導入工事が、さばけずに、予定ズレズレらしいじゃないですか。
震災と同時に、被災地と同じく延期すべきだった総地デジ化。
事務所の空調が不具合で、大督促して来てもらったら、この暑さでてんてこ舞いとのこと。
でも、同時に地デジ工事に追われて大変で手が回らないとのこと。
設備屋さんも電気屋さんもいっしょくたに大忙し。
ほんと、ばかです、この施策。
だからという訳じゃないですがね、我が家はリビングのみ地デジ。
お父さん部屋兼息子部屋は未デジ(でもCATVなので、延命処置あり)
事務所は完全未デジ。
24日に、どのように絶滅するかとくと見てやろうという寸法ですよ、へへっ。
ともかく、あたまにくる。
この切り替え時に、急激に電力負荷がアップして、電力不足になるとか、なんとかあるんじゃないのかと、また思ったりもしてます。
これまでの節電要請がどうも怪しい・・・・。
さぁ、時代は大いに遡って、アナログ。
電気的録音の初期の1936年のバイロイト音楽祭の一節。
第三帝国時代、まっただ中のバイロイト。
1931年から1944年に渡ってナチスの暗い影とともにあった。
その1931年の公演記録を調べると、トスカニーニがタンホイザーとパルシファルを指揮して、フルトヴェングラーがトリスタンを指揮している。
世紀の大指揮者ふたりが、バイロイトでまみえている。
だがしかし、トスカニーニはこの年をもって、バイロイトに登場することはなくなる。。。。
1936年は、ベルリン・オリンピックの年で、ヒトラーの国威高揚作戦にも巧みに使われたわけであるが、そのオリンピックの開会は8月1日。
普通なら、バイロイト音楽祭開催中ということになるが、この年は、音楽祭を前半後半のふたつに分割し、その間にオリンピックを入れたのだった。
スポーツと音楽、まとめて我がものとしようと欲した独裁者恐るべし。
この年の演目は、ローエングリン、リング、パルシファル。
指揮は、フルトヴェングラーとこの頃のバイロイトの演出家兼指揮者ハインツ・ティーチェン。
今日のCDは、音楽祭前半担当のフルトヴェングラー、後半のティーチェンのふたつのローエングリンの第3幕を中心とした抜粋が収められている実に興味深いもの。
そのふたつの間には、R・シュトラウスがベルリン・オリンピック開催にために作曲した「オリンピック讃歌」も、当時の録音で収録されているという念の入れよう。
こうして、わたしたちは、75年前のドイツの、ちょっとイケナイ世界を音で垣間見ることができるわけだ。
でも、社会がいけなくても、その音楽に罪はなく、両方の演奏とも、とてつもなく素晴らしいのであります。
ローエングリン:フランツ・フェルカー エルザ:マリア・ミュラー
テルラムント:ヤーロ・プロハスカ オルトルート:マルガレーテ・クローゼ
ハインリヒ:ジョーゼフ・フォン・マノヴァルタ
バイロイト祝祭管弦楽団 合唱団
演出:ハインツ・ティーチェン
指揮:ウィルヘルム・フルトヴェングラー(1936.7.19)~放送録音
ハインツ・ティーチェン(1936.8.20~29)~劇場でのテレフンケン録音
ノイズは多いですが、思いのほか良好な音で、とくに後半のテレフンケン録音はかなり鮮明であります。
前半は、やはりどこをとってもフルトヴェングラー。
婚礼の歌の中間部のうねり具合、ねっとりとした愛の二重唱などはトリスタンの世界。
ラッパとともに、勇ましい群衆終結の場のスピーディかつ高揚感ただよう表現。
いまのスマートな演奏からしたら時代がかって聴こえるが、わたしのような人間の耳と心を引きつけてやまないスゴザがある。
一方のティーチェンが、思い入れ少なめのストレートな解釈に聴こえるのも面白いところ。
不思議なことに、曖昧模糊とした世界でなく、明快なローエングリン。
しかも、最後のローエングリンの別れの場面は、完全版でございました!
そして、歌手がとても素晴らしい。
戦前から50年代初めに活躍したヘルデン、フェルカーが気に入った。
もっさり感のないすっきりした声は、それでいて力強い(写真で見るとオッサンですが)。
バイロイトの貴婦人、ミュラーの気品も素敵なものでした。
というわけで、今日は75年タイムスリップして、ヒトラーももしかしたらそこにいたバイロイトに遊んでみました。
2011バイロイト音楽祭開幕まで、あと9日。
ちぇっ、地デジの次じゃねぇか!
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コメント
そうなんですよ。我が家はケーブルTVなので、デジタル化は進んでいるのですが、ハードディスクに録画すると「コピーアットワンス」とかなんとかで、とにかくデジタル録画がDVDに焼けないんです。くそ!ジャマばっかりして!しかも、なんです!このジャマな字幕。あと何日はいわれなくても知ってるのに。
失礼しました^^;フルトベングラーでローエングリンですか。演奏しそうもない演目ですね。私の最初のワグナー全曲鑑賞はまさにこのローエングリン。全曲盤を買えるはずもない貧乏学生の私は、音楽の友社から出ていた対訳だけ買って、あとはFM放送を聴いていました。今でも一番好きなワグナー作品。
ベルリンオリンピック前後の演奏なんですね。知っている歌手はかろうじてフェルカーくらいです。(不勉強なのです)Rシュトラウス先生も書きたくない曲をかかされたんですね。それにしても、さまよえる様、博学ですね。勉強になりました。
投稿: モナコ命 | 2011年7月17日 (日) 19時53分
モナコ命さん、こんばんは。
同じケーブルTVなのですね。
CATVでも、BS放送は延命がないらしくて、残りの命が刻まれてます。
ほんと、うっとうしいですね。
フルヴェンのローエングリンは、同じくオランダ人、タンホイザー、パルシファルともに、音源もなく縁がないように感じますね。
わたしも、対訳ではありませんでしたが、オペラ解説全集をくまなく読み、FMで狙いを付けて暮らしておりました。
そういう意味では、未知のものに対して勉強をしていました(笑)。
この大戦突入前のバイロイト記録、とても迫真的で、周辺事情をひも解く勉強ともなりました。
当CDの解説も参考にしておりますので、博学どころじゃないですよ(笑)。
投稿: yokochan | 2011年7月18日 (月) 00時16分