ヴェルディ 「ナブッコ」 シュタイン指揮
うまいぜベイビー!、の「なんつっ亭」。
真っ黒いのは、マー油。熊本ラーメン。
でもお味は優しいとんこつ味。
わたしの実家からそんなに遠くないとこにある秦野の本店。
暑いときも、力強いラーメンはうまいね。
ヴェルディ(1813~1901)の初期オペラの傑作「ナブッコ」。
旧約聖書中にその素材を求めたオペラで、バビロニアの王、ネブガドネザルのこと。
序曲も有名だが、このオペラの代名詞は、合唱「行け、わが想いよ、黄金の翼にのって」でありましょう。
故国を思う人々の気持ち、オペラではヘブライ人たちがバビロニア捕囚を受けて、約束の地を思って歌う。
これには、アルプスをはさんで隣合わせだった大国オーストリアの支配を、ことに北イタリアが受けていたことから、聴衆の熱狂的な支持を受け、いまもってイタリア愛国心の象徴のような音楽になっている。
そして、こうしてオペラの素材やその中に、イタリアへの愛を常に込めたヴェルディは、ゲルマン至上だったワーグナーと違って高潔の人物として伺われる。
でも、ともに同年生まれのオペラの神様。
ヨーロッパでは、それぞれの国のかたちがその線引きとともに、民族意識も伴って固まりつつあった頃。
ワーグナーもドイツでは市民として革命に身を投じていたわけで、両巨頭ともにその民族と国を愛していたわけであります。
実は、今日のCDは、ドイツ語歌唱によるヴェルディのハイライト盤なのでありました。
「バビロニア王は、ヘブライの国(ユダヤ人)エルサレムを責めるが、司祭ザッカリアは、ナブッコの娘フェネーナを人質にとっているからと安心していた。
でも、フェネーナと恋仲のイスマエルが彼女を助けてしまい、神殿は壊され人々はバビロニアに幽閉されてしまう。
一方、ナブッコのもうひとりの娘アビガイッレは、奴隷の母を持つ出自を知り、暗い野心を抱く。一方のフェネーナはユダヤに改宗してしまうので、父ナブッコは怒り、いまやユダヤの王は私であり神だ、などと言うものだから、本当の神様に雷の一撃を受けて倒れてしまう。
父が弱っている隙に、アビガイッレが実権を握ってしまい、ユダヤ人の処刑を行おうとする。これを知ったナブッコは、娘フェネーナもその中にあることを知り、神にこれまでの唯我独尊を悔い祈りを捧げ、ユダヤ人たちの救出に向かう。
彼が、バビロンの神々の偶像破壊を命じると、ひとりでに崩壊し、ユダヤ人たちの解放を宣言する。アビガイッレは許しを乞い自決。
ナブッコを称えて幕」
ナブッコ :トマス・ステュワート
アビガイッレ:リアーネ・ジィーネク
フェネーナ:イヴリン・リアー
イスマエル:シャーンドル・コンヤ
ザッカリア:マッティ・タルヴェラ
ホルスト・シュタイン指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
(録音1964?)
ワーグナー歌手と指揮者にオーケストラを並べてみました。みたいな。
「ワルキューレ」のようです。
ウォータンに、勇ましい戦乙女、息子に娘、そしてフンディンク。
子音が少し気になりますが、ドイツ語は、あまり違和感ありません。
「行けわが想いよ・・・」は、流麗でジワジワ熱くなるイタリア語にくらべ、生真面目で固く、より内面的な印象になり替わっているのが面白い。
「Va, pensiero, sull'ali dorate」→「Zieht, Gedanken, auf goldenen Flugeln」
こんな感じですよ。
ステュワートの娘を思う歌と、劇内での変貌ぶりは持ち前の美声でとても同感できるし、タルヴェラのチェロのオブリガートソロを伴ったアリアも素晴らしいものだ。
ほかは、まずまず。
コンヤはイタリア歌唱の方が歌いやすそうに聴こえた。
そして、驚きはシュタイン指揮する、明るく朗々としたオーケストラ。
ヴェルディでもプッチーニでも、チャイコフスキーでも器用にこなしてしまうシュタインだったのでした。
DGの独語オペラシリーズ。
以前は、ヴィントガッセンとFDの「オテロ」を取り上げました。
ほかにも珍品がいくつか出てましたが、なかなか手に入りません。
独語「オテロ」
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コメント
こんばんは。
ナブッコ大好きですが、振り返れば、生にあまり接していません。スカラ座のディミトローヴァ以来のような気がします。ディミトローヴァの声の威力に頬をたたかれたのは記憶してます。日曜のベルク体調悪く行けませんでした。段々思い通りに行かなくなってきているのを感じます。再来週のファウストだけは頑張って行きます。かみさんは来週のジャルスキー、悩んでるようでしたが、きっぱり行くそうです。さすが女。
投稿: Mie | 2011年7月18日 (月) 19時57分
こんばんは。W杯おめでとうなでしこジャパン。ドイツから凱旋帰国!!!
だからという訳ではないが、「ナブッコ」は神の劇でしょう。
今年没後10周年のシノーポリがベルリン・オペラ管弦楽団が唯一の手持ち劇版CD。何だかベルリン・フィルと間違えるほどのダイナミックなサウンド。また、ウィーン・フィルでは「序曲」も録音している十八番が伺えられるような気がします。
ご承知の通り、シュタインはカラヤンの魂が入っていて得意にしているワーグナーの他、シベリウスやウェーバーもこなす神の指揮者ですね。あ、もうすぐシュタインの命日。早いもので亡くなって3年。
投稿: eyes_1975 | 2011年7月18日 (月) 22時26分
mieさん、こんばんは。
このオペラ、実演は未体験です。
そしてデミトローヴァ、確か亡くなってしまいましたっけ・・。強烈なソプラノでした。
シノーポリ盤で、カプッチルリと張り合ってました。
暑いですから、体調管理も充分にお気をつけください。
そして、いま、台風襲来です!
そして、かみさんは、どこも強いですねぇ。
暑さに弱音を吐いていると怒られてしまいます(笑)。
投稿: yokochan | 2011年7月19日 (火) 21時46分
eyes_1975さん、こんばんは。
ナブッコは、ユダヤのそして、ついには欧米の神様につながる物語ですね。
ヴェルディは、そんな題材に愛国心を載せてしまい、すごいものです。
シノポーリのデビュー時のエキセントリックな演奏も、そんな劇的なナブッコにぴったりでした。
カラヤンはこのオペラを絶対に指揮するタイプではなかったですが、シュタインはこうしてやってくれました。
ほんと、神の指揮者です!
そろそろ命日ですか。
3年も経ってしまうんですね・・・・。
投稿: yokochan | 2011年7月19日 (火) 21時52分
yokochan様
テレフンケンやエレクトローラの両レーベルは、イタリアやフランスのオペラのドイツ語翻訳版による、オペラのディスクの数が相当あるようですね。
私めもかつてのLPで接していた頃、西ドイツのビーレフェルダー・カタログで、クリスタ・ルートウィヒのタイトル・ロール、シュタイン指揮の演奏を見つけて、最初は目を丸くしやがて聴いてみたいなぁ‥と、思ったものです。けれども、当時三宮の繁華街にあった、『ミスター・ジャケット』や『パレックス』等の外盤を置いていた店で、見かけることはなかったですね。
我々日本人のように、外国語の素養の乏しい者ですと、却って違和感なく味わえるのでは、ないでしょうか(笑)。
投稿: 覆面吾郎 | 2024年11月13日 (水) 09時55分
DGのオペラハイライトシリーズは何年か前に一斉のCD化されたように思いますが、ニーズがないのか、いまでは入手難です。
ドイツ語による伊・仏・露のオペラ、よく聴けば違和感ありすぎますが、演奏はピカイチでした。
日本でも日本語上演があたりまえでしたから、思えば時代ともいえます。
投稿: yokochan | 2024年11月26日 (火) 17時53分