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2011年7月28日 (木)

マーラー 交響曲第9番 ノリントン@プロムス

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英国では、プロムスです。

バイロイトに気をとられ、いくつもの気になるコンサートをすでに逃してしまった・・・・。

極めて残念だったのが、「ブライアンの交響曲第1番”ゴシック”」。
この謎めいた巨大な交響曲が演奏会にかかることじたいがとてもレアなこと。
しかも指揮は、こうした曲にやたらと適性のあるブラビンスに、好きなソプラノ、スーザン・グリットンだったんだ。
自慢じゃないけど、ナクソス盤を聴きまくり、すっかり手の内に入っていた音楽。
佐村河内音楽にすっかり度肝を抜かされて、過ごした日々に、手が回らなかったプロムス。

7日間許されたストリーミング放送。
もう聴けないのも含めて、気になるコンサートを列挙しときます。

7月
 15日 ヤナーチェク グラゴル・ミサ ビエロフラーヴェクBBC

 16日 ウィリアムテル パッパーノ
 
 17日 ブライアン ゴシック交響曲 ブラビンスBBCウェールズほか

 20日 ドヴォコン、わが祖国 ビエロフラーヴェクBBC

 25日 マーラー  第9   ノリントン シュトットガルト

 30日 ウォルトンV協、アレクサンドルネフスキー ミドリ、ネルソンス

 31日 オール・ラフマニノフ  ノセダ

8月
  2日 エルガー Vn協 タスミン・リトル、グレンジャー A・デイヴィス

  5日 復活  ドゥダメル シモンボリバル


  6日 N・ケネディ バッハ無伴奏

  7日 シベ6、ニールセン不滅 オラモ スコテッシュ

 10日 カラビッツ  ラフ2 ~注目の若手

 14日 ビエロフラーヴェク オール・ブリテン 春、ミゼリコム、ダ・レクイエム

 16日 リットンRPO バックス2番

 17日 サロネン PO ペトルーシュカ、フランチェスカ、タコVn1

 19日 ハイティンECO ブラ3、P1(アックス)

 22日 ビエロフラーヴェクBBC ブラ1

 24日 C・デイヴィス MJO チャイコ4

9月
  1日 メータ IPO ウェーベルン、Rコルサコフ

  4日 C・デイヴィス LSO ミサソレ

  5日 ホーネック PSO ブラウンフェルス、ベト4(グリモ)、チャイコ5

  6日   〃        リーム(ムター)、マラ5


  8日 デュトワ フィラデルフィア フィンランディア、ラフマニノフ、ヴァルス

  9日 ガーディナー 魔弾の射手(ベルリオーズ編仏語版)

 10日 ラストナイト  黄昏自己犠牲(ブロック)、リスト1(ラン) ガードナー


今年は、常連のベルリンフィルも来ないし、外来オケは少なめ。
でも、英国オケがふんだんに聴ける。
渋いけど、クラヲタにはたまらん内容。
ビエロフラーヴェクのいぶし銀サウンドがBBCにますます定着した感ありです。
書いた以上は、忘れずにチェックしていきたいと思います。

そして、今日は、マーラーの交響曲第9番を、ノリントンとシュトットガルト放送響のコンビで。

Norrington_2

すでにCDにもなってる、このコンビのマーラーの一環。

わたしは、1番のみ来日公演で聴いたことがって、それなりに快活で軽快、面白い演奏だった。
それ以外の番号に取り組み、それらは賛否両論の様子。
そして、初めてサー・ロジャーの第9を聴くことになりました。

2楽章と3楽章は、勢いと流れで、すいすい聴けちゃう。
でも最初と最後の楽章、とくに終楽章はあまりに奇異に聴こえる。

ノン・ヴィブラートによる軽めのすっきりサウンド。
よくも悪くも、バーンスタインや趣きは違うけれどジュリーニのどっしりと、かつ、弦を鳴らしきったような思い入れを伴う演奏と正反対の響き。
 でも、こんなの初めて聴いた!
マーラーの9番となると、聴く方も身構えて、そこにどっぷり漬かって感動してやろうと身構えて聴いてしまうもの。
そんな聴き方に、すっかり肩すかしを食らわし、ここぞという場面も、あまりにあっけなくスルーしていってしまうという徹底ぶり。
えっ、うそだろ、ってなもんですよ。
終楽章が特に徹底していたが、それは全編に言えたこと。

マーラーの第9が、かくあらねば、という必然はまったく存在しないわけだけど、この曲が生まれてまだ100年。
その間に演奏されてきた歴史と受容歴はどうなるんだろ。
マーラーにこの手法は必要だったのだろうか?
この先にもう見えている、ウェーベルンやシェーンベルクとの兼ね合いも不確かに感じてきてしまう。

でも、そんなことは抜きにすると、このマーラーは、とても面白い。
室内楽みたいに緻密だし、繊細。
各楽器が、奏者一本に聴こえる。

ロンドンのアナウンサーは、彼らの音を評して、「シュトットガルト・サウンド」と言っておりました。

ドイツのオペラ・シーンが、先端をゆくかどうかわからないけれど、なんでもあり的、また過去の潔い否定から成り立っているのと同様に、オーケストラ・シーンでもなんでもありの世界が乱立している。
アメリカは、伝統がないゆえに保守的。
英国は、さらにフレキシブル。
伊仏は、微妙に中途半端?

ともあれ、海外のいまの音楽が楽しめるネット社会に感謝であります。

  

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コメント

(申し訳ありません、間違えて途中で投稿してしまいました。消去お願いいたします)

yokochanさん、お久しぶりです。
Proms、確かに今年は渋めですねぇ。でもビエロフラーヴェクのブリテン・プロ聴いてみたい・・・(昨日の新日本フィル定期でのヴァイオリン協奏曲で大いに興味を持ちましたので)

ところで、7/17の「ゴシック」なのですが、下記の公演でしょうか?
http://www.bbc.co.uk/programmes/b012lkly
指揮者の名前は「ブラビンス」だと思います。念のため・・・

またマラ9といえば、来月フェスタサマーミューザで聖響さん&神奈川フィルがやりますね。楽しみです。

投稿: たくぽん | 2011年7月29日 (金) 08時08分

こんにちは。時々訪問させていただいて、興味深く読ませていただいています。マーラーの交響曲第9番はあまり聴く機会がない曲なので、私にとっては勉強になりました。ありがとうございました。

私は、ロシアのサンクト・ペテルブルグに行き、サンクト・ペテルブルグの歴史的建造物、観光名所の写真をブログに紹介しています。今回は、帝政ロシアのシンボルとして築かれた世界最大級の豪華な大聖堂・イサク聖堂の写真を照会しましたので、是非見ていただくとうれしいです。

よろしかったらブログになんでも結構ですので、コメントをいただけると感謝致します。

(尻切れになってしまったので、再度送信させていただきました。すみません。)

投稿: dezire | 2011年7月29日 (金) 09時45分

たくぽんさん、こんばんは。
こちらこそご無沙汰をしております。
ビエロフラーヴェクは、BBCの主席になってから、自国もの・英国ものに優れた演奏を聴かせてくれるようになった名手です。
チェコフィル首席への復帰も、充分納得できる人事です。

そうそう、ブラビンスです。
年取ると、人の名前が覚えきりませんし、早合点で妙な具合で覚えてしまいます(悲しい。。。)
ブラビンスはコルンゴルトや英国オペラで聴いてまして、大いに評価してます。
日本にも来てます。
サマーミューザが、今年はばらばらの演奏会となりました。
当然、聖響の第9も視野には入ってますが、シテュエーション的に難しそうです・・・・。

投稿: yokochan | 2011年7月29日 (金) 21時33分

dezireさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
マーラーの第9は、ノリントン盤から入ったりしますと、ひどく思い違いをされてしまいそうですので、他から入り、ゆるゆると、ノリントンさまに到達されることを願います。

最近、海外はさっぱりなので、とても羨ましく、興味深く拝見しました。

投稿: yokochan | 2011年7月29日 (金) 21時40分

今晩は。おお、ブログ主様、ついにノリントンのマーラー9番をお聴きになったのですね。レニー、ジュリーニ、アバドその他数え切れないほど名盤が出ている人気名曲だけに、ファーストチョイスにノリントン盤をお勧めすることは最近彼の動向が気になって仕方が無い私でもちょっとできません。でも一通りマーラーを聴いた人が「こんなアプローチもあるよ」ということを知るために聴くには決して悪い演奏ではないと思います。
 先日ノリントンのマーラー第2弾ということで花の章つきの巨人を聴きました。そこそこいい演奏なのですが、ピリオド楽器風のアプローチが9番ほどには成功しておらず、個人的にはあの豪壮華麗なメータ&イスラエルのほうがいいなと思いました。
 ヘンゲルブロック&バイロイトのワーグナーについても書かせていた頂きます。ヘンゲル氏はあまり沢山聴いていませんが好きな指揮者です。パーセルの劇音楽集が特にお気に入りです。でもあのブットンダ演出は・・・私はとてもではありませんがついていけません。晴れのバイロイト初登場なのにあの演出ではヘンゲルさん可哀想すぎです。

投稿: 越後のオックス | 2011年7月29日 (金) 22時09分

越後オックスさん、こんばんは。
雨の方は大丈夫ですか?
異常な気象ですね。

サー・ロジャーのマーラー第9。
CDで買うまでもなく、と思ってたらPromsのタダ放送を良好な状態で録音できました。
結果はご指摘のとおりですが、バーチャル体験が貴重ですし、耳で聴く分には立派なものでした。

ヘンゲルブロックの評価は、高いと思いますよ。
あれをてきぱきとまとめ上げたんですからね。
いま聴き直してますが、分厚い音はありませんが、ユニークなワーグナーです。
大注目の指揮者です。

投稿: yokochan | 2011年7月29日 (金) 23時36分

ご紹介ありがとうございます。参考になります。

タスミン・リトルのヴァイオリン、A・デイヴィス指揮/BBCのエルガーのヴァイオリン協奏曲をインターネットで聞きましたが、大変な熱演で感動いたしました。このように期間限定にせよ、遠方から楽しむことができるのは、ありがたい時代だと思います。

投稿: Sammy | 2011年8月 9日 (火) 16時29分

Sammyさん、どうもこんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
エルガー好きとしては外せないプログラムですね。

とかいいながら、かくいうワタクシも、先ほど思い起こしてギリギリ期限切れ前に録音しました。
つまみ聴きですが、タスミンの明るくアグレッシブなヴァイオリンは素晴らしいものでした。

ネット放送、ほんとありがたいですね。
日本のものは、まったく後進国並みです。
教条的になりすぎなんですね、日本のメディアは。

投稿: yokochan | 2011年8月 9日 (火) 23時52分

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