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2011年7月 5日 (火)

プッチーニ 「RITOROVATO~発見」 ドミンゴ

Ajisai1_2

ひときわ、あざやかなアジサイを見つけましたよ。
ほんと、美しいです。
くそ暑いのに。

Puccini_pitrovato_domingo 

70を数えて、いまだに衰えを知らないプラシド・ドミンゴ

70年代、オペラに目覚めてから、ずっとドミンゴはともにある存在。
当時は、大物では、デル・モナコ、コレルリ、ステファーノはもう最盛期が過ぎ、モナコは事故で半ば引退、ベルゴンツィのみが踏ん張ってました。

その頃からずっとドミンゴしてる。
それの長命がすごい。
わたしはどうかと思うが、ワーグナーも制覇し、バリトンのロールや、指揮までも。
まったくすごい人。

そして、大方の役柄を歌い尽くし、未知のヴェリスモ作品も録音として残してくれるいま。
そんななかのひとつが、プッチーニ(1858~1924)の発見作品。
プッチーニは、劇作はともかく、台本の出来栄えにともかく、やたらとこだわり、そのために作者を何人も替えたり、作者と険悪になったりの生涯だった。
同じく、自身の作曲においても、いくどか試行を繰り返し、書き改めた場面・アリアも多々ある。
ゆえに、厳選された、いまあるオペラの数々が、完璧きわまりない存在となっているのでありますが、プッチーニ好きとしては、書き捨てられたオリジナルや、発表されなかった場面を聴いてみたくなるのが心情。

そんな思いを叶えてくれるのが、主としてドミンゴが歌うDGのプッチーニ「RITOROVATO」と題された1枚。
イタリア語で、「発見」だそうです。
プッチーニの権威、Michael Kayeマイケル・ケイと指揮者ヴェロネージの共同作業は、幾多のプッチーニ作品の復元をなし、その成果をドミンゴが選曲してこのCDとなった。
豪華メンバーなところが驚きでもあります。

       S:ヴィオレタ・ウルマーナ
       
       T:プラシド・ドミンゴ
 
       S:アンナマリア・デルオステ   T:アルフレッド・ニグロ
       T:セテファノ・セッコ

   アルベルト・ヴェロネージ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                      ウィーン国立歌劇場合唱団
                     (2008.@ウィーン・ムジークフェライン)


何故か、ウィーンフィル!
それもスタジオ録音であることがこの手のCDには極めてゴージャス。

トッレ・デル・ラーゴのプッチーニ音楽祭の音楽監督で、イタリア各地にオペラ指揮者として活躍するヴェロネージ氏。
東京でも指揮しているみたいだけど、全然知らなかった。
ドミンゴと組んで、プッチーニの初期オペラや、未開のヴェリスモ作品を録音しつつある、頼もしい存在なのだ。
その彼が指揮するウィーン・フィル。
たしかにウィーン・フィルの響き。
柔らかく、丸っこい音色は、強奏でも刺激的になることなく、美しく歌謡性に富み、どこまでも愛らしく響く。
ヴェルディもプッチーニも、イタリアのオーケストラ以上に、生き生きとした歌を通わせることのできるウィーンフィルは、やはりベルリンフィルともまた別次元のオーケストラだ。
ドレスデンのイタリアオペラも実は、同じようなことを感じてる。

①交響的前奏曲(1876年)

②「つばめ」~「Ed ora bevo all'amor」(1920年第2稿)

③「蝶々夫人」~「名誉を守ることができなければ」(1904年オリジナル稿)

④「エドガール」~「Sia benedetto il giorno」(1889年手稿)

⑤「エドガール」~第1幕への前奏曲(1892年稿)

⑥「マノン・レスコー」~「ただ一人、迷って」
            (一人寂しく捨てられて)(1893年オリジナル稿)
⑦「マノン・レスコー」~第3幕への前奏曲(1892年稿)

⑧「西部の娘」~「ああ、誰かあの金を盗ろうとすれば」
                        (1910年最初に出版された版)
⑨「室内オーケストラのためのアダージェット」(1881-1883年)

⑩「修道女アンジェリカ」~
   「小さな胸(茎)に数滴の毒を含んだ友の花」(1918年オリジナル稿)
⑪「つばめ」~「Parigi e la citta dei desideri」(1920年第2稿)

⑫「エドガール」~「Evviva le coppe colmate! -
               La coppa e simbol della vita」(1889年手稿)


全12曲、「蝶々さん」と「マノン・レスコー」を除いてはいずれも渋いところばかりだけれども、プッチーニ好きは、「ロンディーヌ(つばめ)」「エドガール」「アンジェリカ」を愛してやまないはずだ。

ここに聴ける初稿や書き改めの部分と、いま聴く最終出版の場面との対比は、個々にやろうとすると、それはそれはプロじゃないと手に負えません。
というか、音源で比較すれば、容易なことなれど、わたくしとしては、プッチーニの甘味かつ美しい音楽が、ウィーンの音色で滔々と聴けること、そして、好きな作品たちの、聴きなれた部分との、少し違う…的な聴き方で大満足なのです。
(ひまなときに、個々の対比をやってみたいです)

ブルックナーの交響曲を魅力を、有名作を聴いたのちに、1番、2番や6番に見出すのと同じく、プッチーニの魅力は、「ヴィッリ」、「エドガール」や「つばめ」、「西部の娘」、「三部作」などの諸作に大いに感じるようになることは、皆さん、難しくないです。
 台本との相性や、ほんの少しの霊感不足で有名作との差が出てしまった。
でも、プッチーニの輝くばかりの旋律線の美しさと、マーラーやシェーンベルクに通じる分厚いなかにも透明感あふれるオーケストレーションの見事さ。
これらの断片だけ聴いても、充分に味わえます。


実は、ドミンゴの登場は、「エドガール」と「つばめ」だけであるが、それらの味わい深い、そしてバリトーナルな深い声は、その音楽に奥行きを与えている。
ワーグナーやマーラーに親しみを持っているウルマーナの歌唱も、意外や大人しく、つつましく、好感が持てます。

オケだけの①⑤⑦⑨が、それこそ絶品。
プッチーニのオーケストラCDは、ことごとく集めて愛聴しているが、それらにはなく、微妙にことなるこのCDの演奏は、ウィーンフィルの音色とヴェロネージの鮮度高い指揮でもって、輝いております。

久しぶりのプッチーニ。
全作品、また順次聴きたくなってきた。
ワーグナーとR・シュトラウス、プッチーニは、弊ブログにて全オペラ取り上げたけれども、第二弾をやってみようかしら。

       

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