« もう一度、佐村河内交響曲 | トップページ | 「English Landscapes」 マーク・エルダー指揮 »

2011年8月 7日 (日)

ディーリアス 「コアンガ」 グローヴス指揮

Himawari

ギラギラした夏がまた戻ってきた?

豪雨は終息したけれど。

農作物、特に米に対する影響が心配。
日本の食が、天災と人災で危険にさらされている。
そして、やがて水も。

安全な「食と水」。
この基本が損なわれる事態が起きつつあるように思う。
何事もままならない政治や行政に任せておけない。

この写真は数年前の東北のある場所。
淡い色あいでした。

Delius_koanga

ディーリアス(1852~1934)のオペラ「コアンガ」。
6つあるディーリスのオペラ作品の中で、3つ目。
「イルメリン」「魔法の泉」「コアンガ」「村のロメオとジュリエット」「赤毛のマルゴー」「フェニモアとゲルダ」の6つ。

いずれも、その間奏曲や劇中曲が有名で、管弦楽曲集には必ず入ってますので、お聴きになられている方も多いのではないでしょうか。
そのオペラ全曲となると、「ロメ・ジュリ」が比較的上演されるのみで、CDも極めて少ない。

1897年、ディーリアス35歳、パリにての完成。
ドイツ人の両親のもと、裕福な実業家の家に育ったフレデリック・ディーリアスは、音楽三昧の日々ながらも、実業を継がせたい父親の命や、そこからの逃避というチャンスを活用してフロリダのオレンジ・プランテーションの経営実務を行うこととなった。
そこで、アメリカの黒人たちの歌やバンジョーの音楽に大いに心魅かれ、後々にそれらを思いおこしながら、いくつかの作品に結実していった。
「フロリダ」組曲、「アパラチア」などと並んで、この「コアンガ」もそうなのであります。

全3幕、110分あまり。
いつもの優しくて、ノスタルジーに富んだディーリアス・サウンドに、雰囲気あふれる異国情緒も合わせてふんだんに楽しめます。

台本C.F.ケアリー

18世紀なかば、ルイジアナのミシシッピにあるプランテーション。

プロローグ

 年老いた奴隷アンクル・ジョーが、さとうきび農園の若い女性たちに、「コアンガとパルミラの物語」を話して聞かせることに。

第1幕

 パルミラは、農園のオーナー、マルティネスの妻クロティルダのメイド。
彼女は、傷心の想いで眠ることもできない。
朝となり、オーナーの農場監督者ペレツに仕事に追い立てられる奴隷たち。
かれは、パルミラにいつも、言い寄っていて、この日も、どんだけ待たせるんだ、と言う。
そこへ、オーナー・マルティネスがあらわれ、パルミラを引き留めると、鎖に繋がれた、新入りの奴隷がつれらるてくる。
コアンガ、アフリカの王子でブードゥー教の聖職者。
かれは、祖国を想い、この境遇に復讐を誓っている。マルティネスは、優しいバルミラに引き合わせて、彼の気持ちを和ませ仕事に向かわせようとしたのだ。
こうしてお互いに魅かれあうようになったコアンガとパルミラ。
横恋慕のかたちとなったペレツは、オーナーの妻に不平を言い、なんとかして欲しいと訴える。
妻クロティルダは、パルミラの出生の秘密を知っていて、それゆえにペレツに同調する。
その秘密とは、パルミラが彼女の異母姉妹であること・・・・。

第2幕
 
 農園主の誕生日と、コアンガとパルミラの結婚式。
ペレツは、クロティルダに文句を言い、彼女もこれは阻止せなばという。
自分と同じ父親の血を持つパルミラが奴隷の妻になることが許せない。
彼女らの出自をペレツに語り、彼はそれをパルミラに話して説き聞かせること、うまくいけば彼女はこのままクロティルダの元で奉公させることなどを約束。
 ところが、ペレツが彼女の出生のことを話して思いとどまらせようとしても、パルミラのコアンガへの思いは変わらない。
王子でありブードゥー教聖職者なのだからと。
 おめでたい席を祝して、奴隷たちの踊りが披露される。
有名な「ラ・カリンダ」であります。
ふたりは愛を誓いあいます。

ところが、パルミラはペレツによって誘拐され、行方知れずとなってしまう。
彼女がいなくなってしまい、コアンガが猛然と探しまくり、農場主にも食ってかかる。
ふたりは、掴みあいの争いとなり、思わずコアンガはあるじに怪我を負わせてしまう。
 コアンガは、ブードゥー教の神に祈り、嘆き、密林へと逃げてゆく。

第3幕

 密林の中の広場。
コアンガとブードゥー教の聖者ランクワンが、焚き火のもと、儀式を行う。
互いに傷つけ、その血でもって行う古代の儀式と男たちの踊り・・・・。
コアンガは、パルミラのことを思い、朝の一番星に彼女のもとへといざなってくれるように祈る。
 一方、農場ではマルティネスがクリスチャンもブードゥー教も同じと説き、奴隷たちを仕事に向かわせる。
ペレツはパルミラに相変わらず言い寄り、コアンガは絶対に来ないという。
そこへ、コアンガがやってきて、ふたりは戦いとなり、パルミラに励まされ、コアンガはペレツをやっつけてしまうが、他の敵手に打たれてしまう。
 パルミラの元に、横たえられたコアンガ。
やがて、コアンガはパルミラを認め、神に彼女の加護を頼み、古里を思いだしつつ、そして復讐の念も抱きつつも亡くなってしまう。
パルミラは嘆き悲しみ、自分もコアンガとその地所の元にあること、神々を念じつつ、自分の胸を刺し貫くのでした・・・・。

雲がこの場面を緩やかに覆っていきます。

エピローグ

 こうしてアンクル・ジョーの話が終わり、若い女性たちは、悲しみに涙します。
朝焼けのなか、彼女たちは歌う「柔らかな5月の朝、ほんとうの恋人たちが、幸せを見つけられることを願いましょう・・・・」

                   

 コアンガ:ユージン・ホルムス  パルミラ:クラウディア・リンゼイ
 メルティネス:ライムンド・ヘリンクス  ペレツ:キース・エルウェン
 コルティルダ:ジーン・アリスター    
 ランクヮン、アンクル・ジョー:サイモン・エステス

   サー・チャールズ・グローヴズ指揮ロンドン交響楽団
                        ジョン・オールディス合唱団
                  (1973.9@ロンドン、キングスウェイホール)


キャストは、主役ふたりが黒人歌手です。
そして、のちのワーグナー歌手、サイモン・エステスの名前もあります。
歌手たち、みんな、心から共感して歌っていて感動します。

悲しく、さみしく、儚い運命に彩られた物語に、ディーリアスが書いた音楽は、美しく優しい眼差しに溢れております。
有名なラ・カリンダが2幕では出てきますが、全般にメロディアスな音楽なので、初めてでも聴きやすいのではないでしょうか。
ちなみに、ラ・カリンダはかつての昔、ライプチヒで上演されたときに、あまりに不道徳なダンスであったため、演奏禁止にされたとあります。信じられませんねぇ。

バンジョーの音色に、遠くの合唱も聴かれ、物憂い川辺の夏の夜の雰囲気がとても出ております。
歌詞を伴わない、ハミングによる合唱や、たゆたうような旋律線もおぼろげなオーケストラ。
まさに、ディーリアスの世界が満載です。

ディーリアスの使者のような存在だったグローヴス卿がこのオペラの録音を残してくれたことに感謝です。

「コアンガ」のことが詳細にわかるサイトがありました。
ここでは、1970年のワシントンでの上演のライブ音源が全曲聴けます。
「The Music of Frederic Delius」です。素晴らしすぎ。 
 

|

« もう一度、佐村河内交響曲 | トップページ | 「English Landscapes」 マーク・エルダー指揮 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/151893/52353256

この記事へのトラックバック一覧です: ディーリアス 「コアンガ」 グローヴス指揮:

« もう一度、佐村河内交響曲 | トップページ | 「English Landscapes」 マーク・エルダー指揮 »