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2011年9月23日 (金)

ワーグナー 「さまよえるオランダ人」 ヤノフスキ指揮

Kariwa

厳しい雰囲気漂う日本海。

数年前に撮った新潟の海。刈羽村あたりでしたでしょうか。
このそばに、あの施設があるんです。

それはともかく、海に囲まれた日本の、その海の風景や性格はそれぞれ異なりますな。
生態系もそれぞれで、海の恵みをわれわれ日本人は、これまでさんざん享受してきたわけでが、そんな海も途方もしれない牙をむくこともある。
それを思い知らされた今年。
長い歴史のなかで、海との付き合いも折り合いをつけてきたのです。

海を背景にしたオペラはたくさんあります。
先般の「シモン・ボッカネグラ」は、アドリア海の青い海。
今回の、「さまよえるオランダ人」は、北欧はノルウェーの北海もしくはノルウェー海あたりが舞台。
英国側に渡れば、こんどは「ピーター・グライムズ」の世界です。

Wagner_hollander_janowski

ワーグナー(1813~1883)の「さまよえるオランダ人」

全10作(リングをひとつとして)あるワーグナーのオペラ作品のうち、第4作目。

来年2013年は、ワーグナーの生誕200年と没後130年にあたり、同じ生年のヴェルデイとともに、企画や催しもたくさん練られている。

バイロイトでは、「リング」新演出がかかるが演出はまだ未確定とも。
またドン引き舞台になるんでしょうかねぇ~
指揮は、キリル・ペトレンコ。
音楽面の監督的存在のティーレマンは、2012新演出の「オランダ人」のみだから、おそらく、第9でも振るんでしょう。
 そして、主要7作以外の初期3作「妖精」「恋愛禁制」「リエンツィ」の上演にも踏み出すこととなる。わたしが以前から夏以外のシーズンにと、熱望してきたことが実現。
でも、制作はライプチヒ歌劇場との共同となり、上演もそちらで行われる。
指揮は、ウルフ・シルマー。

ほかの劇場でも、いろんな上演がなされることでしょう。
日本では、新国はまだ不明なれど、予測ではまだ未上演の「パルシファル」と「マイスタージンガー」の再演とみている。
二期会では、飯守先生の「パルシファル」(こちらは2012年)。
あらかわバイロイトは、もしかしたら「リング」通しもあるかも?

レコーディング面の最大の話題は、マレク・ヤノフスキによる主要7作の全曲録音。
ペンタトーン・レーベルによるベルリンでのコンサートスタイル演奏のライブ録音です。
これはすごいです。
短期間に、高水準の歌手を揃えて一気に演奏・録音するものだから、均一なレベルで、しかもややこしい演技や舞台背景もなく、奏者たちはワーグナーの音楽だけに没頭しながら、ワーグナーの音楽だけを奏でる。居合わせる聴衆たちも同じこと。

その第1作が「さまよるオランダ人」であります。
いま現在、「パルシファル」と「マイスタージンガー」はすでに録音されていて、以降「ローエングリン」「トリスタン」「タンホイザー」「リング」と続くそうな。
歌手陣もすごいですよ。
「パルシファル」     ニキティン、エルスナー、ゼーリヒ、デヤング
「マイスタージンガー」 ドーメン、スミス、ハラー、ゼッペンフェルト
「ローエングリン」    フォークト、ダッシュ、クロイツベルク
「トリスタン」       グールド、シュティンメ、ユン
「タンホイザー」     ケルル、シュティンメ、ドーメン、ゲーアハール
 リングは未公表 ※RSBのサイトで確認できます。


  ダーラント:マッティ・サルミネン    ゼンタ:リカルダ・メルベト
  エリック:ロバート・ディーン・スミス   マリー:シルヴィア・ハブロヴィッツ
  舵手:スティーヴ・ダヴィスリム     オランダ人:アルベルト・ドーメン

     マレク・ヤノフスキ指揮 ベルリン放送交響楽団
                    ベルリン放送合唱団
                 合唱指揮:エーベルハルト・フリードリヒ
                (2010.11.13@ベルリン・フィルハーモニー)


実績ある歌手たちによる理想的な配役。
まだまだ健在のサルミネンの滑らかで暖かみのあるダーラント。
立派すぎのヘルデンによるスミスのエリック。
一途な雰囲気が良く出てるメルベトのゼンタ。一本筋の通ったまっすぐの声がとてもよろしいソプラノです。新国でエリザベートを歌った彼女です。次はジークリンデを聴きたい。
そして、素晴らしかったのがドーメンのオランダ人。
キャリアの長いドーメンを見出したのは、アバドで、ヴォツェックに起用し、その後クルヴェナールも歌って地方劇場から世界の舞台に登場したバスバリトン。
アバドのトリスタンで来日したドーメンのクルヴェナールはいまもよく覚えてます。
少しほの暗い響きを持ったドーメンの声は、宿命を背負ったオランダ人にぴたりとはまっております。

ヤノフスキの終始緊張感を保った指揮には感服です。
30年前のドレスデン久方ぶりの「リング」では、アンサンブルを整えつつオケに語らせるような、交通整理的な指揮ぶりで、「ドレスデンのリング」というようなレッテルになっていた。
しかし、いまや様々な指揮活動を経て、舞台も録音も多数経験して、余裕と風格漂うワーグナー指揮者となりました。
もっとも安心して任せることのできるヤノフスキ。
ベルリン放送交響楽団からキレがよく、かつたっぷりとした先鋭なる明晰ワーグナーサウンドを引き出してまして、かつての東ドイツの放送管弦楽団と呼ばれた同じオケとはとうてい思えないのでした。
このコンビ、来日間近ですが、毎度苦言を呈したくなるほどの演目。
せっかく上り調子の名コンビの来演なのだから、ワーグナーやブルックナーやR・シュトラウスを取り上げてほしかった。
ドイツの放送オケが来ると判で押したように、ベートーヴェンやブラームスをお願いする日本の招聘サイドの見識を毎度疑いたくなる・・・・。

合唱の素晴らしさについては申すまでもありませんね。

ちなみに、来年2012バイロイトの新演出は「オランダ人」
演出はJan Philipp Gloger~グローガー?
40歳の若い演劇系の人らしい。ちょっと画像を調べたら、少し安心。
演劇色強いオランダ人になるんでしょうか。
指揮はティーレマン、オランダ人はロシアのエウゲニ・ニキティン。
ゲルギエフ門下生です。
ピエチョンカのゼンタ、ゼーリヒのダーラント。

以上、おわり。

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コメント

こんばんは。
HMVに注文中ですが、併せて頼んだものが途中で入手困難に変わり届きません。いつもの事です。昨日、仲道郁代・森麻季のリサイタル行ってきました。日本歌曲とリストがメインでした。アクト中ホールホールの音響のせいも有ると思いますが、森麻季予想以上に良い声でした。高い方は厳しいのですが、なめらかでタケミツで聴く時より素敵でした。明日サロメです。

投稿: | 2011年10月21日 (金) 21時02分

Mieさん、こんばんは。
わたしも、HMVには、同様の仕打ちを何度も受けてまして、先日などは、1年待って、キャンセルされたと思ったら、T社の店頭ですぐに見つけたりしました・・・。

仲道&森麻季とはまた魅力的なコンサートですね。
そして、尾高さんの降板は残念ですが、オペラの達人、ヴァイケルトのシュトラウスはよさそうでして、羨ましいです!

投稿: yokochan | 2011年10月21日 (金) 22時59分

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