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2011年9月20日 (火)

ベルリオーズ 幻想交響曲 モントゥー指揮

Hamamatsucho1

遅ればせながら、9月の小便小僧コスプレです。

Hamamatsucho3

防災にちなんで、火消しの法被姿。
粋だねぇ~
帽子には青い羽根。

Hamamatsucho2

後ろ姿も。

海難救助の青い羽根募金でした。

Berlioz_sym_fantastique_monteux_2

こちらも月一のベルリオーズ「幻想交響曲」シリーズ。

ひと月の経つのが、まことに早い。
まだ暑くて、ずっと夏の中にいそうだけれど、朝晩は涼しく、全国の天気図を見ると台風は気になるけれど、関東から東は20度前後になってきました。
秋と春が短く、夏と冬が長くなってきたような気のする日本です。

それはそうと、月一回聴いてる「幻想」もこれだけ習慣化すると、その旋律が頭にこびりついて離れなくなってくるし、もっと聴きたいのを我慢して、月一回のお楽しみにありつくと、ほんとうに気分がよろしいくなるもんです。

ルーティン化、常習化というのはコワいもんです(笑)

さて、9月の幻想は、懐かしいピエール・モントゥー指揮によるコンサートホール盤。
モントゥーの1875年生まれ、1964年没という時代背景は、いま私たちが聴く、後期ロマン派や近現代音楽の作曲家たちの活躍していた年代にある。
数々の初演作品があるということもさりながら、モントゥーの音楽には時代がかったものがひとつもなく、その清新で気品にあふれた演奏は、今も充分に通用する普遍的なものに思う。
トスカニーニよりは若く、フルトヴェングラーよりはずっと年上。
このあたり、とても面白く感じますね。
そして、わたしの好きな指揮者のマリナーとプレヴィンの師匠にもあたります。

そのモントゥーの最後の録音のひとつが、コンサートホール・レーベルに入れたこちらの幻想交響曲。同時期にチャイコフスキーの5番も録音している。
オーケストラは、北ドイツ放送交響楽団で、この楽団とはほかに、モーツァルトやベートーヴェン、ワーグナーやロシアものを録音しておりまして、昔から私は聴いてきた懐かしいものばかり。
録音が冴えないのがこのレーベルならではの玉に傷。

北海に面したハンブルクのオーケストラを指揮しても、モントゥーの作り出す響きは、伸びやかで明るく、自在で柔軟なものです。
恋人をあらわす主旋律の歌わせ方のうまさには脱帽だし、第2楽章の「舞踏会」のワルツの優雅さと品のよさにも感嘆。
「野の風景」の抒情も麗しく、ずっと浸っていたい雰囲気だが、不吉な幻影を見てしまってからの心の葛藤のあらわれでは、猛然としたアッチェランドがかかり驚かされる。
「断頭台」はキリッとていて、無駄に音を響かせない。エンディングもあっさりしたもの。
「ヴァルプルギス」の乱痴気ぶりはおっとりと着実で、品を保ったまま進行し、ハチャムチャがお好きな方には、やや消化不良となりましょうが、今日のわたしはこれで充分。
でも最後の追い込みは、88歳の指揮者によるものとは思えない若々しさがありました。

丸っこい響きに混濁感、録音が残念でありますが、パリジャン、モントゥーの貴重な晩年の録音でございます。
ステレオでは、ウィーンフィル盤、モノでは、サンフランシスコ盤が有名ですが、このハンブルク盤が一番モントゥーらしいようです。
かつてフランスの数々のディスク大賞を受賞した名盤。

Berlioz_sym_fantastique_monteux_3

CD復刻盤がこちら。
スワロフスキーとウィーンによる「ローマの謝肉祭」も入ってます。

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コメント

モントゥー!またまたオヤジ心をくすぐる指揮者をありがとうございます。モントゥーがスイスロマンドを指揮したベートーベンの第9のリハーサル盤を聴いたとき「指揮者って大変なんだなー。。」と高校生ながら思っていました。ハンパないレベルでヘタクソなオケで4楽章のリハ中に合奏がどんどんめちゃめちゃになっていくのです。モントゥーは他の巨匠達とは異なり「ベリーグッド」と呼びかけ演奏を止めてひとつずつ丁寧に修正していました。エライ!できそうでできない。本質的に紳士なんですね。尊敬。私ならトスカニーニみたいに怒鳴りたいところも笑顔でリハに臨んでおられました。
またまた幻想ですね。古くからの名盤のミンシュの演奏って録音のおかげでウケたような気がしてきています。デラックスなデュトワ、派手なバーンスタイン、破滅しそうなバレンボイム、元気なミュンフンも楽しく聴ける名曲です。
このごろ年のせいか、以前敬遠していた3楽章をよく聴くようになりました。前はタイクツで3楽章は飛ばしていたのに逆にここだけ聴くようになってきたんですよ。

投稿: モナコ命 | 2011年9月21日 (水) 19時01分

>9月の小便小僧
ありがとうございます。

九月に入ってからのほうが暑くてぼうっと過ごしていたら、そろそろ終わりですね。今朝は台風一過の秋晴れ、風が冷たいです。

ピエール・モントゥーと言えば、私も中学のころ、小遣いためては買っていたLPの指揮者っていう感じです。懐かしいです。しっかり覚えているのはベートーベンの田園です。

投稿: edc | 2011年9月22日 (木) 08時45分

モナコ命さん、こんにちは。
コメント遅くなってしまいました。

モントゥーのそんな映像があるのですか。
お話拝見して、いかにもおっとりパリジャンのモントゥーのお人柄が偲ばれます。
ミュンシュはドイツの境の生れでかつ熱血系。
モントゥーの方が先輩ですが、同じボストンやパリのオケとのつながりが共通で、その音楽がまったく異なるところが面白いですね。

幻想シリーズは私自身、大いに楽しみながらやってます。
そして、わたしも3楽章が心に滲みるようになってきました。長いこの部分を若い頃は退屈に思ってましたが、大人になったのであります(笑)

投稿: yokochan | 2011年9月24日 (土) 11時49分

euridiceさん、こんにちは。
ご返事遅くなってしまいました。

暑さ寒さも・・・といいますが、その通りになってきましたね。
札幌へ行ってきましたが、14度しかなく、寒いくらいでした。
東京も涼しくなりまして、散歩にはいい季節です。

モントゥーやその年代の指揮者のLPは、わたしも廉価盤化されたときに集めました。
ジャケットも美しいものが多く、懐かしい思い出です。

来月の小便小僧はどんな格好になってるでしょうか。
紅葉を背負ってるような予感がします。

投稿: yokochan | 2011年9月24日 (土) 11時53分

竹内喜久雄さんの著作『クラシック幻盤偏執譜』にある、竹内さんと今村亨さんの対談『幻想交響曲のレコードを語り合う』と言う文章、非常に面白く興味深いですね。是非ご一読、お薦めします。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年6月 9日 (日) 21時18分

<幻想交響曲のレコードを語り合う>,
ネットで少しありましたので、時間のあるときに読んでみようと思います。
ご紹介ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2019年6月20日 (木) 08時31分

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