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2011年9月 2日 (金)

オッフェンバック チェロ協奏曲 ペルノー&ミンコフスキ

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車で走っていたら、突如出現した20世紀初頭の豪華客船。

まるで、タイタニック号であります。

こちらは、ディズニー・シーの裏側から、すなわち、左手が海(東京湾)、右手がディズニーシーというシテュエーションにございます。

ディズニーランドとシーの外周は、道路で一巡できます。
花火の時は大変だけど、普段はスイスイ走れる。

大昔は、TDLに行かずして楽しむドライブコースとして、よく利用させていただいたものです。
この前、久しぶりに走ってみたけれど、いま住む千葉側からのアプローチだと、途中、震災の影響が生々しくのぞめる光景でありました。

夢の国も、日本の天災には打ち勝てないのでありましょうか・・・。

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そして、突如として前に現れ、すぐさま右折していなくなってしまったミッキーバス。

可愛いのであります。

どこまでも追跡したくなります。

ディズニーの版権ももっと手が届くようにして、こんなバスや電車を日本中、ことに東北に走らせたらどうでしょうかねぇ~

Offenbach_romantique_minkowski

アールヌーヴォ風、モノクロームな雰囲気が実に素敵でおしゃれなジャケット。

オッフェンバックの管弦楽曲と知る人ぞ知るチェロ協奏曲の1枚。
そんなCDが、かつてのドイツのグラモフォン系古楽レーベル、アルヒーフから出てくるいまの時代。

レーベル内、レーベル間の合理化・最適化などで、かつてと異なるCD(レコード)マーケット。
DGも包括的にユニヴァーサルレーベルの中のひとつとなってしまったが、そのDG内での区分けは、古楽系がアルヒーフ。それ以外がドイツグラモフォン。
どちらかというと、バッハ、ヘンデル以前の区分けだったけれど、音楽家でもカラヤンがバッハ以前を録音してもDG。
リヒターが、ハイドンを演奏するとDG。
不思議な区分けだった。

いまも不思議は、アバドがペルゴレージやモーツァルトをモーツァルト管と入れるとアルヒーフから出るようになった。
そして、ミンコフスキがベルリオーズを録音したらDG、ハイドンやモーツァルトはアルヒーフ。そして、今宵のオッフェンバッハもそのアルヒーフ・レーベル。

書いてて、考えてて、さっぱりややこしくなってしまった昨今のレーベル関係。
デッカ・フィリップス・DG系が、RCAとソニーが・・・、まったくわからん。
昔はレーベルごとの特徴がそのジャケットにしっかり出ていたけれど、いまは無国籍風。

CD(音源)の個性、しいては価値がますます軽く、希薄になりつつあるように感じる。

このところ、前置きばかり。

今日のCDは、先鋭かつ敏感・俊敏・新鮮極まりない、マレク・ミンコフスキ指揮するレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルのオッフェンバック集。

  歌劇「地獄のオルフェ」(天国と地獄)から 序曲

  チェロ協奏曲 ト長調 「軍隊風」
  
  歌劇「ラインの妖精」から 序曲、バレエ、グランド・ワルツ

  歌劇「月世界旅行」から「雪の踊り」
       1. 序奏
       2. 青いつばめたち
       3. 雪だるま
       4. 雪のにぎわい
       5. ポルカ
       6. マズルカ
       7. 変奏
       8. ギャロップ・ファイナル

   チェロ:ジェローム・ペルノー

    マレキ・ミンコフスキ指揮 レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル
                      (2006.1M グルノーブル)


協奏曲以外は、普段聴きなれたオッフェンバック(1819~1880)の明るく、軽快で屈託ない音楽。
ミンコフスキも弾みまくるイキの良さで勝負しまくってます。
でも、天国と地獄が景気のいい能天気音楽に聴こえず、流れの必然としてあらわれるあのメロディ、といった感じで、とっても音楽的。
しかも、通常のあっけらかんバージョンとはちょっと違った大音楽風の版です。

そして初聴きだったチェロ協奏曲。
そもそもオッフェンバックの、こうした純粋音楽を聴くことも初めて。

チェロの名手だったオッフェンバックの1937年28歳の作品。
途中、行進曲風だったり、小太鼓が勇ましくなったりするので、軍隊風。

これが43分の大作なのだけれど、どうしてこれが、ドヴォルザークのようにチェロ協奏曲の定番大曲として普及しなかったか・・・・。
伝統的な急緩急の3楽章形式。
なじみやすい旋律やフレーズにあふれ、チェロの名人芸的な扱いもふんだんにあって聴きごたえは十分ながら、どこか地味。
 ドヴォルザークのような民族色や、それにともなうノスタルジックな哀感が、オッフェンバッハには欠けていて、耳に心地よい楽しいメロデイや当たり障りのな屈託のなさが、どうもその魅力にはなりきれていないようだ。

1楽章と、その旋律に似た3楽章も、似ているゆえに冗長さを増すことになったかも。
でも2楽章の歌に溢れた抒情はいい。

どうもオペラ作曲家の器楽作品というものは、歌に溢れてはいても、純粋音楽としてのカタにハマりきれないので、イマイチ感を不思議にも催す結果となっているのではないかと。
ドニゼッティやベルリーニなどがその典型。
やはり、歌で勝負なのです。

そんなこと言いつつも、若いフランスのチェリストペルノー君の甘さと上滑りしない品の良さに満ちたチェロには魅かれるし、ミンコフスキお得意のオッフェンバックだけあって、明るく正しいヴィブラート控え目のオーケストラサウンドが楽しめるのでありました。
明るく、ちょっと悲しいオッフェンバックのチェロ協奏曲。
機会があれば、一度お聴きください。

山本裕康さんのチェロ、聖響&神奈川フィルにぴったりのチェロ協奏曲ですよ

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コメント

なに!オッフェンバックのチェロ協奏曲?初めて知りました^^;そんな作品があるんだ。。。恐るべしアルヒフ!オッフェンバックってオペレッタ以外ほとんど知らないんです。指揮のミンコフスキ。。。誰だろう??チェロのジェローム。。。う~ん。。。ジェロームとくるとレ・バンナっていってしまう。
なんでも知ってるつもりでも、知らない事ってたくさんあるんだよ!(おでんくん)
さまよえる様!さすがです^^

投稿: モナコ命 | 2011年9月 3日 (土) 08時11分

モナコ命さん、こんばんは。
そうなんです。
わたしも、ミンコフスキのオッフェンバックということで何気に購入した1枚でしたが、よく見たらチェロ協奏曲がメインでした。
おもろい曲です。
そして、ミンコフスキは古楽系ながらワーグナーまでも鋭く演奏するツワモノ指揮者です。
この人のラモーやハイドンなんぞ、最高です!

でもわたしも、おでん鍋の中のことでしかクラヲタしてませんので、まだまだ知らないことだらけです。

投稿: yokochan | 2011年9月 3日 (土) 22時34分

  お早うございます。過去記事に書き込み失礼いたします。
ミンコフスキという指揮者、まことに恥ずかしいことに2007年頃まで名前も知りませんでした。堀内修氏の「モーツァルトオペラのすべて」(平凡社新書)という本を読んで、何やら古楽器系の指揮者でモーツァルトのオペラやバロックで素晴らしい演奏をする人のようだな、ということを知りました。ブログ主様のベルリオーズの幻想やオッフェンバックの記事を拝読して何やら凄そうな人だなと思っておりました。モーツァルトやベートーヴェンは散々古楽器演奏を聴いたのに、ハイドンは何故かアーノンクール&コンセルトヘボウの古楽器奏法の演奏ぐらいしか聴いたことがなかったため、ナイーブという聞きなれないレーベルから出ているミンコフスキ指揮のハイドンの後期12大交響曲集を聴いてみたのですが、面白い演奏なので驚きました。同じ古楽器の名演でも私が好きなガーディナーのベートーヴェンが剛だとするとミンコフ氏のハイドンは柔かな、と思ったりしました。ベルリオーズの幻想はブリリアント化されて信じがたいほど廉価で入手できますのでこちらも聴いてみたいです。
 余談ですが最近「水滸伝」にはまっています。500年ほど前に書かれた中国の小説です。ハチャトゥリアンの音楽のように血沸き肉踊る痛快な小説です。普段欧米の近代小説の翻訳ばかり読んでおりますので時にはこういう小説もいいなと思って読んでおります。

投稿: 越後のオックス | 2012年8月18日 (土) 09時20分

越後のオックスさん、こんにちは。
ミンコフスキは、先日来日したのですが、聴きもらしてしまいました。
アルヒーフからナイーブに移籍してしまい、こちらのレーベルは高価なものですから、わたしも古目のものしか持ってないのですが、ラモーやグルックのオペラを以前より仕込んでありまして記事は難題ながら、いずれ書こうと思ってます。
ハイドンもライブ盤を記事にしましたが、ほんとうに楽しく斬新。エンターテナーとしても名人といっていいのでは。
ナイーブには、ロ短調やアルルの女、イタリアのハロルドなど、いくつも注目盤がありますね。

そして、水滸伝ですか。
これは驚きです。名前は有名でも、なかなか手にすることはないです。なるほど、わたしもいずれ読んでみたいですね。
かの国は、食べるばかりでしたから・・・・。

投稿: yokochan | 2012年8月19日 (日) 15時10分

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