« モーツァルト レクイエム マリナー指揮 | トップページ | シューベルト 交響曲第3番 ヒコックス指揮 »

2011年10月 6日 (木)

R・シュトラウス 「ツァラトゥストラはかく語りき」 ショルティ指揮

Saigokatsu

田町駅から2分、第一京浜沿いにあります、西郷隆盛と勝海舟の会見の地の碑。

官軍として江戸に迫りつつあった、倒幕・東征軍。
当時もう世界的な大都市となっていた江戸と敗軍徳川の恭順姿勢を守ろうとした勝海舟。
幕末ものが、お好きな方なら、もう涙してしまう、西郷VS勝の会談。
日本の運命がある意味決まった会談かもです。

いまやビルだらけの一角。
田町・三田近辺は薩摩屋敷関連だらけ。
そういえば、NECの巨大ビルも薩摩藩邸あとみたい。

Strauss_zarathustra_solti

今日は有無を言わせぬR・シュトラウスの豪演を。

交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」。

サー・ゲオルク・ショルティ指揮のシカゴ交響楽団にて。

ジャケットも懐かしい発出レコードのもの。
1枚のレコードに贅沢にゆったりカッティングしたもの。

いつものように昔話。
「ツァラトストラ」は、レコード時代は1枚1曲があたりまえだった。
片面16分くらいで、この曲の録音効果を最大限に引き出すため、詰め込みをしなかったためでありましょう。
真っ先にオジサンたちに思い浮かぶのは、メータ&ロスフィル。
そして、バーンスタイン&ニューヨークフィル、カラヤン&ベルリン・フィル、ハイティンク&コンセルトヘボウ、そしてショルティ&シカゴなのでした。
これら70年代を彩った「ツァラトストラ」は、CD化されて、「英雄の生涯」や「ドンファン&ティル」などとのカップリングになって、かつての単独販売がウソのようになってしまったし、その価格も1000円以内に・・・・・。

あぁ、お小遣いためて、思い切って買って、大事に大事に聴いてた私はいったい・・・・・。
 円高の恩恵もあり安くなるのはいいが、この安易さはいったいなんだろ。
わけもなく、紙の箱に大量に入れられてバカスカだされるBOX集大成もの。
ありがたみがまったく希薄。音楽は、いまや使い捨て、いや、聴き捨て時代か。
丹念に1枚1枚集めて、大切に聴いてきた人をバカにしてるとしかいいようがない。
まったく、なんてこったい
でも、まぁしょうがない、そんな世の中になっちまった。

こんな毎度の不平不満はさておいて、久々に聴いたショルティ&シカゴの「ツァラトストラ」。
イメージとして剛腕で貫きとおした力技の演奏との記憶を抱いていた。
実際、冒頭部分は、デッカの分離の目覚ましくよく、唸る低音も強力な録音効果もあって鮮やかで気分よろしい快感を得ることになる。
 ダイナミックさにかけては壮絶なまでの展開を見せてくれるけれど、でも、聴き進めば、意外や以外、渋くも丹念な味わいのツァラなのでした。
幾層にも重ねられたシュトラウスの分厚くも、かつ軽やかなオーケストレーションの妙。
これらを、完璧なまでに軽々と再現してみせたショルティ&シカゴ響。
ことに、シカゴのブラスはスゴイですよ、お客さん。。。
 でも第2部の後半では、早熟(32歳の曲)のシュトラウスが先取りしてしまった枯れ行く人生のひとコマを実に精緻に、そして慈しむように演奏しておりました。

ショルティにはベルリンフィルとの再録があるようだが、わたしは未聴。
大型装置で、周囲に気兼ねせず、「ツァラトストラ」の聴き比べをしてみたいものです。
その時は、このショルティ盤にメータ旧盤、カラヤン旧盤は必須でございます。
「ツァラトストラ」の永却回帰は、アナログに帰着するのでありました・・・・・。

|

« モーツァルト レクイエム マリナー指揮 | トップページ | シューベルト 交響曲第3番 ヒコックス指揮 »

コメント

おおっ、懐かしいじゃあ~りませんか♪♪
「意外や意外」、あっしの初めての「ツァラ」でござんすよお兄さん。
結局、何枚も買っている「ツァラ」、最後に戻ってくるのは、この鬼軍曹の指揮。伯林の演奏も持っているけど、あの録音はカラヤンが没した頃の、ベルリン・フィルが波風立った時期のもの。完璧でオーケストラ音楽の醍醐味を味わあわせてくれるのは、シカゴでした。
ついでに、CDでカップリングされてる「ドン・ファン」、「ティル」も「ツァラ」同様、あっしにとってはベストな演奏でございます。

投稿: IANIS | 2011年10月 7日 (金) 02時44分

はいはい、ショルティ&シカゴのツァラですね。IANISもおっしゃるように、最初に聴いたのがこの1枚。なつかしいなあ。。。さまよえる様のおっしゃるようにレコードを1枚買うためにお小遣いをためてためて、パンフレットを見ながら吟味に吟味を重ねて、思い切って購入した1枚です。
そうなんですよ。。。あの頃、レコード1枚を精魂込めて聴いていました。これもその1枚。CDは確かに音質も操作性もすばらしいのですが、LPに比べるとなんか真実味がないように思われます。私は可能な限りLPで聴くようにしています。CDはそれしか音源がない場合と車の中だけと決めています。
さらに酔狂な私は、SPで聴く演奏こそが一番と感じています。演奏家の実力もレパートリーも現在のプレーヤーの方がはるかに上です。再生装置もSPよりもちろんLPが、LPよりもCDの方が格段に上なのは子どもにも分かります。
でも、オジサンの私にはLPやSPの方が楽しいし、人間的、音楽的に聞こえるのです。音楽の真実味もずっと深いように感じてしまうのです。
あー^^;年を取ったなあ。。。

投稿: モナコ命 | 2011年10月 7日 (金) 17時42分

失礼しました。IANIS様への敬称を書きませんでした。無礼をお許し下さい^^;

投稿: モナコ命 | 2011年10月 7日 (金) 17時44分

IANISさん、こんばんは。
今宵は神奈フィル定期をフイにしてしまいました・・・。

ツァラは、いまこうして歳を経て聴くと、しみじみいい音楽に思いました。
そして懐かしのショルティも再発見だったりしました。

わたしの発「ツァラ」LPは、カラヤンBPOとメータLAPOが、ふたつ同時期でした。
3曲収録しても動じないCSOの威力。
そして音楽性の豊かさ。
のこる人生、ツァラを大音量で聴くことが、目標みたいになっちまいました・・・・。

投稿: yokochan | 2011年10月 8日 (土) 00時40分

モナコ命さま、こんばんは。
ご丁寧に、修正ありがとうごじます。
IANIS兄は、ワタクシの音楽の朋友であり酒友ですから全然大丈夫ですよ。
ご配慮、痛み入ります。

そしてショルティのツァラのファンは、多いです。
同世代ゆえの、あの鮮やかなオケの記憶ゆえですね。
毎日、CDショップのサイトを見てると、次から次に、いやというほど集大成ものが氾濫してます。
わたしは憂うるだけですが、モナコ命さんは、SPでしっかり楽しんでいらっしゃるから、高付加価値のままです。
正しく歳を取っていらっしゃるんです!

そういった価値観・選択肢もとても大事ですし、羨ましく思います。
私のように妥協や折り合いの日々では、きっと音楽の気持ちは薄れてしまうのでは・・・、と不安な日々です。

投稿: yokochan | 2011年10月 8日 (土) 00時49分

クラヲタ人さんやモナコ命さんの「お小遣いをためて吟味して1枚ずつLPを買った」感じに、同世代(恐らく)として共感します。しかも、ショルティのようなレギュラー盤は滅多に買えず、千円盤中心でした。

投稿: faurebrahms | 2011年10月 8日 (土) 13時41分

こんにちは、yokochan さん。  ご無沙汰しております♪

>あぁ、お小遣いためて、思い切って買って、大事に大事に聴いてた私はいったい・・・・・。  (中略)  ありがたみがまったく希薄。  音楽は、いまや使い捨て、いや、聴き捨て時代か。  丹念に1枚1枚集めて、大切に聴いてきた人をバカにしてるとしかいいようがない。

これ、共感する人が多いでしょうねぇ。  あの時代はレコードを購入したその日、家に帰り着くのももどかしく、まるで赤ん坊を抱くかの如くに大切に大切に持ち帰ったそのレコード店から家までの道程を含めて、真剣に音楽と向き合っていたように思います。  

CDが出始めた頃は、それでもCDも高価で今のようにホイホイとは買えなかった(まして今はネットでダウンロード??  なんじゃそりゃ!っていう感じもなきにしもあらず ^^;)しねぇ。  廉価版が出始めたころはそれまで我慢していた音楽も聴くことができるようになったし、収納場所にも昔よりは困らなくなって「いい時代になったもんだ」と思ったけれど、今となってみると良かったんだか、悪かったんだか・・・・。

便利すぎる世の中っていうのも考えものかもしれません ^^;

投稿: KiKi | 2011年10月 8日 (土) 15時11分

faurebrahmsさん、こんにちは。
いえ、きっと同じような世代に属するのでしょう!
レコードという、ある意味芸術品に対する思い入れは、共通のものですから。
そして、わたしも1000円盤の恩恵は計り知れないものがございます。
レギュラー盤は、それこそ熟考を重ねての慎重な購入。
まったにないことでした。

投稿: yokochan | 2011年10月 8日 (土) 20時25分

kikiさん、どうもこんにちは。
こちらこそご無沙汰をしておりますが、相変わらずの読書量ですね!
見習わなくてはなりません(焦り)。

そして、ご同感いただきまして、ありがとうございます。
ほんと、そうなんですよね。
レコード店で、狙いをつけて、いつもチェックしつつ、なくなったらどうしようと思いながら。
そして、ついにご購入の運びとなった時の、レコードの愛おしさ。
ほんと同じ経験をしてます。

CD初期の高いころも同様でした。
まさか、こんなになっちゃうなんてね。
思えば、おっしゃるように、便利すぎる世の中は考えものでして、音楽への接し方も軽くなってしまったような気がします。

そこでブログの効能として、記事を書くために一生懸命聴く、ということがありなのかもしれませんです。
皮肉なものですね。
同様に捨てることの大切さも感じたりしてます。

投稿: yokochan | 2011年10月 8日 (土) 20時36分

オジサンを自称する以上はライナーの新旧両盤も
わすれないでほしいニャー
あ、それじゃオジサンじゃなくてオジイサンかな。
でもSACDで聴く旧盤と我が日本国ビクターの
XRCDで聴く新盤のライナーはあわせ技一本で
かなう敵はないかと。

投稿: シャム猫 | 2011年10月 9日 (日) 23時52分

シャム猫さん、こんにちは。
おぉ、そうでした。
ライナーのシュトラウスを忘れちゃいけませんね。
このところ、ライナーのシュトラウスのオペラの1枚を聴いております。
昔のRCAの1000円シリーズでお世話になりましたが、録音的にレンジの幅がいまひとつかと記憶しておりましたが、最新のカッティングではそんなに素晴らしい音がするのですか!
わたしの貧弱装置では聴くことが叶いませんが、オーディオ地獄におちいらない程度に、装置のグレードアップを目標に頑張りたいと思います。

投稿: yokochan | 2011年10月10日 (月) 17時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: R・シュトラウス 「ツァラトゥストラはかく語りき」 ショルティ指揮:

« モーツァルト レクイエム マリナー指揮 | トップページ | シューベルト 交響曲第3番 ヒコックス指揮 »