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2011年11月 9日 (水)

ベルリオーズ 幻想交響曲 ノリントン指揮

Hamamatsucho201111_a

11月の浜松町駅小便小僧。

今月は、秋の火災予防運動に連動して、明治期の出動用消防服をまとってます。

そして、周辺にお漏らししちゃってます。

Hamamatsucho201111_b

一見、アラビアのロレンスかと思いましたよ。

Hamamatsucho201111_c

今月はアップ画像につき、モザイク入りにて候。

では、また来月に(もう、次12月! なのに、この季節感のなさ)

Berlioz_sym_fantastque_norington

月イチ、幻想。

ベルリオーズ幻想交響曲を、毎月、小便小僧とともに聴いております。

毎月聴いていて、飽きないどころか、次が楽しみになってきているくらいで、ネタもまだまだ尽きそうにありません。

今月の幻想は、ピリオド系のノンヴィブラート奏法によるものを。

いったいに、ベルリオーズは破天荒なイメージの強すぎる危ないニイサンだったから、ギンギンにロマン派真っ最中の人という認識が強すぎるが、何度も書くとおり、ベートーヴェンの第9より6年後の1830年の作品。
ワーグナーは、まだ10代のティーンエイジャーだった。
だから、現代フルオーケストラ作品の典型という訳でもなく、当時のことを考えたら、古楽奏法は見当はずれでもない。
当ブログでは、ミンコフスキの鮮度高い鋭敏な幻想を聴いてます。
ここまで書いて、ノリントンのベルリオーズに関するノートを発見して読んだら、おんなじこと書いてありました(というか私がおんなじこと書いたのか?)。

ガーディナーよりも前に、ロンドンの手兵で録音しているサー・ロジャー・ノリントンが、もしかしたら、ピリオド系初の幻想だったかも。
昔にはない忘れ去られた演奏方式が、こうして普通に聴けるようになった現在。
賛否はありましょうが、よき演奏で、その必然性と説得力があれば受け入れは全然OKで、音楽ジャンルがひとつ広がったような喜びも感じます。
70年代初めまでは、こうしたやり方がなかったから、いまの若い聴き手の方々は、選択肢もたくさんあるし、音源は安くて入手しやすいなどなど、とても羨ましい境遇だと思うのであります。


モダン楽器で、奏法と配置のみを古楽に置き換えるというやりかたは、折衷かもしれないが、ここまで徹底されると違和感は感じない。
ノリントンはベルリオーズは、巨大編成のオーケストラを想定していたとして、当CDのリブレットにシュトゥットガルト放送響のメンバーがこぼれんばかりにステージにのっている写真が掲載されております。
ハープは4台で、2台づつを両脇に配置。
対抗型で、左から第1ヴァイオリン・チェロ・ビオラ・第2ヴァイオリン。
管は、フルート・オーボエ、その横がなんとトランペット。
その上に左から、ホルン・クラリネット・ファゴット。
さらにその上舞台奥、ずらりとコントラバスが8本。
トロンボーンとテューバはどこ行ったかというと、右手、第2ヴァイオリンの後ろにいます。
打楽器は、左右に。2基のティンパニも左右でステレオ効果ばっちり。

この配置を頭にいれておいて、このCDを聴くと、なるほどそんな風に聴こえます。
楽器の片寄りが少なく、全体にうまいこと溶けあって聴こえるから不思議なもので、こんな大編成なのに威圧的な響きがまったくなく、音量はむしろ控え目に聴こえるのは、配置とヴィブラートのないことによるサラサラ透明感を感じさせることに起因している。
ノリントンも語っているが、この曲から後期ロマン派風の甘ったるさや、多くの人が感じるベルリーズの狂気を取り去って、古典としてのベートーヴェンよりの演奏にしてしまったと感じとれる。
 テンポはインテンポで、1楽章の恋愛の兆しには爽やかさが目立つし、2楽章のワルツは優美というよりは取りすました古典舞踊のよう。
ネコが鳴くような妙なフレージングだし。。。
最近お気に入りの3楽章の野の風景は、淡々とした田園情緒にあふれ、これは実によい。透き通るような抒情といえよう(!)
断頭台もずいぶんとゆっくりとした足並みで、切迫感がまったくなく呑気なもんだ。
終楽章のヴァルプルギスの夜も、そんな感じで始まるが、ノンヴィブラート奏法が妙に不気味さを醸し出していて、少しエロティックであったりする。
しかし、最後の最後に猛然たるアッチェランドが待ち受けていて、俄然興奮することとなる。
ライブ録音ゆえ、聴衆の驚きの拍手も収録されております。

正直、好みの幻想ではないけれど、お茶漬けをさらさら食べていたら、最後にやけどしちまったような印象であります。
まったく人を食ったようなノリントンおじサンなのである。
たまにはこんな幻想もよいかも。

サー・ロジャーは、13年続いたシュトゥットガルトを辞めてN響との活動に力を入れたりで、客演活動が主体となるのでしょうか。
面白いこと、もっともっとやって欲しい指揮者であります。
シュトゥットガルトの後任は、40歳の若いフランスのステファヌ・ドヌーヴ。
ロイヤル・スコテッシュ管との兼任という注目の才人です。
名前がいいですなぁ。日本にも何度か来てるみたい。
ドイツの放送オケは面白い!

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コメント

管理人さんこんばんは。
いつもの幻想交響曲とても楽しみにしております。

ドヌ―ブ氏ですが近年のスコティシュ・ナショナル管とのル―セルのバレエ組曲バッカスとアリア―ヌですが愛聴のクリュイタンス等に比べると全体的に香りが乏しい重めの演奏でしたが今後に期待しましょう。

投稿: マイスターフォーク | 2011年11月 9日 (水) 22時46分

一枚目の画像、尼さんかと思いました。(*^-^)

投稿: edc | 2011年11月10日 (木) 07時58分

マイスターフォークさん、こんばんは。
自分でも、回を追うごとに、次は何行こうかと、楽しみになっている幻想シリーズです。

わたしは、まだドヌーヴ氏は聴いてないのですが、重めのスコテッシュですから、フランスものは厳しいものがあるかもしれませんね。
しかし、クリュイタンスのルーセルは、わたしもレコード時代から聴いてますが、その香り高い演奏は、ほんとに素晴らしいです。
ラヴェル以上に、フランスしているのではと思います。
国際化著しく、フランス人がドイツのオケに、またその逆もありで、かつての音楽のイメージがどんどん多様化してしまうような気がします。

投稿: yokochan | 2011年11月10日 (木) 19時57分

euridiceさん、こんばんは。
そうそう、わたしもホームの端にいるこちらに近づきつつあるとき、「尼さん」、そう思いました(笑)
早いもので、来月はクリスマスバージョンですね。

投稿: yokochan | 2011年11月10日 (木) 19時58分

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