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2011年11月20日 (日)

コルンゴルト 「ヴィオランタ」 ヤノフスキ指揮

Raibow_brdg_3

芝浦口からレインボーブリッジに登って品川方面を覗いてみました。

都心のウォーターフロントは、いまや高層マンションだらけ。

地震以降も、予想に反して大人気といいます。

海辺に住むことは、私も望むところでありますが、高層ビルはちょっとおっかないな。

やっぱり、砂浜がなくては、海じゃないし。

Korngold_violanta

エーリヒ・ウォルフガンク・コルンゴルト(1897~1957)のオペラシリーズ。

ユダヤ系であったコルンゴルトの神童ぶりとその栄光、そしてナチス台頭による亡命と忘却は、これまで何度も書いてきましたので、過去記事やwikiなどをご参照ください。

わたしの誕生月の11月のちょうど1年前に失意のうちにアメリカで亡くなってしまったコルンゴルトは、まだ60歳だった。
もう少し長生きをしていれば、ウィーンでの復活や、アメリカでのレコーディングなどを享受できたかもしれない。
濃厚・甘味なロマンティシズムの極致は、時代遅れのR・シュトラウスばりの後期ロマン派とのレッテルを貼られて忘れ去られてしまった晩年なのだが、いまや、マーラーやR・シュトラウスの大規模豊麗サウンドにすっかり慣れてしまった現代の聴き手からすれば、コルンゴルトの音楽はまったくすんなりと受け入れられるはずだ。
 しかも、われわれは数々の名作で、ハリウッドやディズニーの映画音楽に親しんでいるから、そのルーツが実はコルンゴルトの映画音楽にあるという一面も忘れてはなりません。

5つあるコルンゴルトのオペラ作品。
「ポリュクラテスの指環」(1914/17歳)、「ヴィオランタ」(1915/18歳)、「死の都」  (1920/23歳)、「ヘリアーネの奇跡」(1927/30歳)「カトリーン」(1937/40歳)

いうまでもなく、「死の都」が一番有名で、RCAのラインスドルフ盤がかつての火付け役となって、コルンゴルト・ルネサンスに一役買ったけれど、いまや数種の映像と音源が手に入る状態となっております。
しかし、それ以外の4作は、それぞれ唯一つの音源のみでもって今日にいたっております。
アナログ時代末期にCBSが録音した「ヴィオランタ」は、そのレコードが発売されたときに、ワーグナーやシュトラウス歌手を集めた豪華な配役と、リングの録音で名を上げたヤノフスキの指揮でもって、私の興味を惹いたものでした。
そして、美しい、でも少し劇画チックなジャケットも気になったところでして、その時は、どんな曲だろうと思いつつも購入することはありませんでした。
ラインスドルフの「死の都」も同じでしたね。
CD時代になって、CBSがオペラ音源を豪華なボックス装丁にて数々発売したなかにも、この「ヴィオランタ」は入ってまして、その時もスルー。

コルンゴルトに魅せられてから、そのオペラすべてを聴くという試みのなかで、当然に「ヴィオランタ」を入手しなくてはなりません。
そして、2年前にamazonで、そこそこのお値段で貴重なる新品を購入。
以来、ほかのコルンゴルト作品と同じように、宝物のように扱い、聴いてまいりました。

いよいよ、「ヴィオランタ」を取り上げます。

若きエーリヒは、ウィーンで活躍していた音楽評論家の父ユリウスの尽力や政治的な活躍を得て、神童として順風満帆の日々。
ウォルフガンクという名前じたいが、そう、モーツァルト親子を思わせますね。
まったくその通りをねらった父ユリウスだったのです。
ウィーンの台本作家ハンス・ミューラーに書かせたイタリア・ルネサンス期の物語ふたつ。
ひとつは、フィレンツェの有名な改革者サヴォナローラのもの、もうひとつはベネツィアを舞台とするヴィオランタの物語。
当時、イタリアでは、プッチーニが巨匠の名を欲しいままにし、ヴェリスモオペラ全盛期。
生々しいドラマとして、ヴィオランタが選定され、作曲されることとなった。

ザルツカンマーグートでの避暑中にあらかた書きあげたこのオペラ。
そこでのピアノによる試演には、シリル・スコットやグレインジャーも立ちあっていたそうな。
英国周辺音楽好きとしては、うれしい時代の符合です。
そして、前作「ポリュクラテス」の時と同じく、ブルーノ・ワルターの指揮での初演を企画。
1916年3月、ウィーンの国立歌劇場での初演は、人気ソプラノ、マリア・イエリーツァの主役もあいまって、大成功に終わったといいます。

当CDの解説には、そこに居合わせたカール・ベームのこの録音に寄せたコメントも載せられておりまして、なんと、ベームがコルンゴルトと親しい友達だったことや、ダルムシュタットで、この作品をベームが指揮して、そこでも大成功を得たことなどが書かれておりました。

ともかく、亡命前のコルンゴルドは、クラシック作曲家として、若い日々に大成していたとうことが充分にうかがわれます。
ゆえに、亡命後は映画音楽の作曲家として成功しつつも、戦後は本来のクラシック音楽家として顧みることさえされず、消えていったコルンゴルトの心中たるやいかばかりでしたでしょうか。

 シモーネ・トラファイ:ヴァルター・ベリー  ヴィオランタ:エヴァ・マルトン
 アルフォンソ:ジークフリート・イェルザレム
 ジョヴァンニ・ブラッカ:ホルスト・ラウベンタール バルバラ:ルート・ヘッセ
 バイス:ゲルトラウト・シュトコラッサ    マッテオ:マンフレート・シュミット
 第1の兵隊:ハインリヒ・ウェーバー    第2の兵隊:パウル・ハンセン
 第1の給仕:カリン・ハウターマン     第2の給仕:レナーテ・フレイアー

  マレク・ヤノフスキ指揮 ミュンヘン放送管弦楽団
                バイエルン放送合唱団
       録音監督:ジョージ・コルンゴルト
                        (1978年@ミュンヘン)


時は、15世紀ベネツィア。
ベネツィア共和国軍の司令官、シモーネ・トラファイの邸宅。
バルコニー形式となっていて、街と運河が見渡せる。
このCDジャケットの絵、そのまま。
そして、そのままの物語。


ベニスといえば、謝肉祭。そのカーニヴァルその日。
外からは、賑やかな人々や船乗りたちの歌が聴こえる。
給仕たちや、シモーネ配下の兵隊たちが、若くて美しい女主人ヴィオランタの姿が見えないことや、彼女がずっとふさぎこんでいることなどを話題にしている。
そんな中のひとり、マッテオは彼女に惚れていると、みんなに揶揄されたりしていているが、バルバラとマッテオはヴィオランタの妹の悲劇が尾を引いていると話す。
 そこに、シモーネが帰ってきて、騒がしい皆をたしなめ、ヴィオランタの所在を問いただす。皆が去ったおと、画家のブラッカがやってきて、女をたくさん従えた、あのアルフォンソがベネツィアにやってきた、と報告するので、シモーネはヴィオランタがアルフォンソと会いはしないかと、心配する。
 すると、当のヴィオランタが静かに帰ってくる。
二人きりになり、優しいシモーネに、少しづつ話始めるヴィオランタ。
街でアルフォンソに会ったこと、妹が彼に振られて傷心のあまり自殺してしまったことへの怒り、その当の本人アルフォンソへの怒りを歌う。
そして、ここへ呼び出したから、わたしがあの船乗りたちの歌を歌ったら、部屋に入ってきて彼を殺して!
えーーーっと、大声をあげて躊躇する夫へと実行を迫る。
私を愛してるならやって、のお願いに、すっかりその気になったシモーネは、別室へと隠れる。

ひとりになったヴィオランタ。
アルフォンソを待ちうけながら、カーテンを締める。
外に、船のつく気配と、甘い歌声。
カーテンを引き、ついに登場のハンサムボーイ、アルフォンソ。
一曲歌いましょう。いいの、それが最後の歌になるから・・・と断るヴィオランタ。
わたしを知らないの? え?
ネリナは、わたしの妹よ! え、まさか!
あなたはここで死ぬのよ!
こんなやり取りのあと、アルフォンソは、神妙に、そして愛情をこめて、このオペラ最高のモノローグを歌う。
あなたは私を殺すにしても、聴いてほしい。わたしは、ネリナを心から愛していた。
あの日以来、母はわたしを追いやり、家もなく安らぎもなく心休まる日々はなかった・・・・。

アルフォンソは、ヴィオランタの目にかつての恋人を認め、熱烈に愛情を告白。
ヴィオランタも、初めて会ったときから愛していたの、と熱き二重唱となる。
そこへ、シモーネのヴィオランタを呼ぶ声。
何度も何度も呼び、アルフォンソは、例の歌を歌ってシモーネを呼び、いまのわれわれのことを話そう、わかってくれるさ、と。
ヴィオランタは、動揺しながらも、どぎまぎとした様子で船乗りの歌を歌うと、シモーネがどれどれと入ってくる。
 手を取り合った二人が、実は愛してま~す、と言うものだから、怒り心頭に達し、アルフィンソに襲いかかる。
その時、ふたりの間に身を呈して入ったヴィオランタは、シモーネの刃を受けて倒れる。
悲しむシモーネ。
わたしは、罪と恥から、これで解放されたの・・・・、と微笑みつつ事切れるヴィオランタ。」

            

急転直下の展開と殺人による死の結末。
しかも単幕74分。
解説にもありますが、ジャーマン・ヴェリスモと呼んでいいかもしれません。
筋だけを読むと、何だかなぁ~になってしまいますが、ここの展開するコルンゴルトの音楽の素晴らしさは、ドラマの稚拙さを補ってあまりあります。
 そう、17~18歳の若者にしては、驚くべき愛憎劇と人間心理の把握。
そこに付けらたあまりにも巧みな音楽構成。
ことに、最後の大団円で、死の淵にあるヴィオランタのセンチメンタルな別れと、その背景ではオーケストラが次いで合唱が、カーニバルの喧噪を遠巻きに描くという二重構造。
 アルフォンソを待ちうけ、バルバラに髪を梳いてもらい、子供の頃のおとぎ話をする場面。
ここがとてもキレイなのですが、そう、「オテロ」の死を前にしたデスデモナのシーンを思い起こしてしまう。
そして、ライトモティーフの効果的な使用も音楽をより明快なものにしていると思う。

当時の大ベテランと、新進歌手の組み合わせ。
ベリーヘッセ、ラウベンタールといった特徴あふれるしっかりした歌唱のベテラン勢。
主役ふたりは、本格活動を始めたばかりの旬の歌手。
イェルザレムは、まだヘルデン級でなく、リリカルさも残る新鮮な歌いぶりで、少しばかり青臭いところが、この夢中な役柄に合ってます。
マルトンは、シモーネに殺しの計画を語る訥々としたところから、ブリュンヒルデ級の怒りの歌唱までさすがと思わせるドラマテックな歌唱。
アルフォンソとの甘い二重唱もいい。
 当時だったら、コロとシントウのコンビもよかったかも。
いまなら、フォークトとダッシュ。

そして、ヤノフスキの指揮するミュンヘンの放送オケが実にうまくて、キラキラしてます。
この作品が、ドイツオペラの系譜にしっかり位置していることがよくわかります。

コルンゴルトのオペラ 過去記事

  「ポリュクラテスの指環」 ザイベル指揮

  「死の都」 ラニクルズ指揮

  「カトレーン」 ブラビンス指揮

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コメント

こんばんは。
このCDは素晴らしいですよね。ラインスドルフの「死の都」と並ぶコルンゴルトのオペラの名盤かと。エヴァ・マルトンとイエルザレム、そしてベリーと揃ったキャストもとてもいいです(やっぱり歌手がよくないとね・・・)。最近ソニーの廉価盤になって登場したので入手しやすくなりました。

投稿: naoping | 2011年11月22日 (火) 21時48分

naopingさん、こんにちは。
ついにとりあげました。
最高のメンバーによるこの演奏、マイスタージンガーが上演できそうな顔ぶれですね。

このヴィオランタだけが、廃盤で入手できず、amazonで高値購入してしまいました。
廉価盤で出たときは、あれれ?と思いましたが、やはり、オリジナルジャケットの素晴らしさにはかないませんねぇ。
しかし、安すぎる。

投稿: yokochan | 2011年11月23日 (水) 10時32分

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