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2011年11月11日 (金)

レスピーギ 「教会のステンドグラス」 ロペス=コボス指揮

Takatsuki

ある教会の扉の上にあったステンドグラス。

キリストは最後の晩餐で、弟子たちに「パンは自分の体、葡萄酒は自分の血として、分け与えた」。その葡萄が豊かに実ること、そして麦は、そう、パンの種であります。

「麦と葡萄」とは、キリスト教にとって大事な象徴なのであります。

Respighi_church_windows_cobos

レスピーギの4つの交響的印象「教会のステンドグラス」。

ローマ3部作がやたらと有名で、その他はそうでもないレスピーギ(1879~1936)は、その年代的にも 、世紀末をはさみ、わたしのもっとも好む世代の作曲家のひとりであります。
オペラもたくさん書いているので、聴いてみたいのだが、その音源がなかなか入手しにくい。
素敵な歌曲もたくさんあるし、オーケストレーションの達人だから、その歌劇はきっと面白いに違いない。

ローマ3部作を書いていた狭間の、1925年の作品ながら、4つの曲からなる初めの3つは、22年に書かれたピアノ作品「グレゴリオ聖歌による3つの前奏曲」にオーケストレーションを施したもの。

レスピーギお得意のグレゴリオ聖歌の引用や教会旋法、そしてお馴染みのカラフルでダイナミックなオーケストレーションの極みが、余すことなく味わえる作品であります。
4つの曲に、聖書や教会にまつわる情景が標題付きで描かれていて、それらを知り聴いてもよし、知らずとも精妙かつ華やかなオーケストラサウンドが楽しめる具合になっています。

教会へ行くと、左右の壁にステンドグラスや絵画が飾られております。
それらは、イエスの受胎告知から降誕、成長と布教、受難と十字架、復活と栄光などが順番に物語として、いわば文盲だった昔の人々向けに絵本としての機能を果たしていたわけであります。

レスピーギのこの曲は、そうした物語的なステンドグラスという訳ではなく、それらからチョイスされた出来事が音楽化されているのです。

エジプトへの逃亡・・・・ヘロデ王が救世主誕生を恐れ、2歳以下の英児を皆殺しにしようとしたため、ヨゼフとマリアとイエスはエジプトへ逃れる。
 エキゾテックな雰囲気と逃避行の物憂さを感じますな。

大天使ミカエル・・・・守護聖人ミカエルは、反キリストへの戦いの守り神であり、悪魔サタンとの戦いをここでは描いております。
ミカエルは、ミサ曲やレクイエムを聴いてると出てきます(たしか・・・)。
レスピーギパワー炸裂の大サウンドに酔いしれ、ドラの一撃を待ちうけましょう。
実際、今日のCDのテラーク録音は凄まじい音響であります。
そして、ハリウッドの大スペクタル映画のようで、チャールトン・ヘストンやビクター・マチュアが出てきそうですよ。

サンタ・キアラの朝の祈り・・・・アッシジの聖フランチェスコといえば、メシアンの最後の大作オペラですが、そのフランチェスコと一心同体であった聖女がキアラ(クララ)。
清貧に生きた聖女のつつましい祈りが、美しく静的に描かれております。

偉大なり聖グレゴリオ・・・・グレゴリウス1聖は、そうグレゴリオ聖歌の人。
音楽の面から言っても、典礼を整備完結して教会に偉大な足跡をのこした点や文筆活動からいっても、大グレゴリウスと呼ぶにふさわしいお人。
音楽も威容さを表出していて、オルガンも重厚にズンズンなるし、グレゴリオ聖歌も神々しく、そして分厚くティンパニを伴った金管で響き渡る。

レスピーギを聴くことは、一種の快感でもあります。
そして、オーケストラがうまくて、録音がよければ文句なし。
今回は、ヘスス・ロメス=コボス指揮のシンシナシティ交響楽団の93年録音にて。
申し分ない演奏にて、今日は3度も楽しんでしまいました。
ジャケットも美しいです。
コボスはスペイン人だけど、レスピーギを得意にしていて、一方でブルックナーの権威でもあるという、熱き血と知的スマートさを兼ね備えた才人指揮者です。
コボスのリングを聴いたのは、もう20年以上も前だけれど、シンシナシティとのコンビはなかなか実りあるものだった。
いまはマドリード中心に活躍中みたい。
HPで、その指揮ぶりがいくつか視聴できます。→こちら

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コメント

お早うございます。私などはクラヲタになったばかりの頃は、レスピーギはローマ3部作の1発屋なのだとばかり思い込んでおりました。ごく初期に買ったCDの一枚がムーティ&フィラデルフィアのローマ3部作でした。中学時代、レコード芸術の広告でレスピーギのオペラのCDが出たと知った時は「この人オペラも書いてたのか」と驚いたものです。はるか後年になってナクソスのカタログを見ていたらローマ3部作以外にも管弦楽曲やピアノ協奏曲の名曲を残した多作作曲家だったことを知り、改めて驚きました。本当にブログ主様が仰るようにイタリアのR・シュトラウスだったのですね。最近はガッティのローマ3部作が好きです。今後は3部作以外のレスピーギの名曲もお金の許す範囲内で聴いていきたいです。
 ブログ主様はロペス・コボスと朝比奈先生のリング初演をどちらも聴いておられるのですよね。羨ましいです。
 ダーリントン&デュイスブルクのリング管弦楽曲集のレビューも書いておきましたので(「ニーベルングの指環 アメリカ5大オケ」の記事のコメント欄に)ご一読頂ければ幸いに存じます。

投稿: 越後のオックス | 2012年6月26日 (火) 09時48分

越後のオックスさん、こんばんは。
ローマ三部作は確かに名曲の名曲たる由縁があって、有名オケ作品の中でも輝いておりますね。
わたしは、まず「松」がFMでケルテス、レコードでオーマンディ、CDで岩城宏之だったりします。
古いですね。
その後は3部作まるごと聴きまくりです。

レスピーギは後期ロマン派様式をしっかり踏襲してますので、わたしの絶好のターゲットです。
今後は、なんとかオペラを。
フンガトロンからガルデッリの指揮などでいくつか出てましたが、今や入手難です。

そして、思わず失念してました、オケリングへのご返信。
申し訳ありません。
だんだんと歳を感じるこのごろ、こんなことがありましたら、ずばずばご指摘ください。

投稿: yokochan | 2012年6月26日 (火) 23時36分

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