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2011年12月 9日 (金)

R・シュトラウス 歌曲集 ルチア・ポップ

Ginza3_2 

銀座のマロニエゲートにあったツリー。

ブルーのイルミネーションが好きなんです、ワタクシ。

炎もそうだけど、青い方がその情熱(火力)はクリアーで強いんです。

R_strauss_popp

R・シュトラウスの歌曲集を、魅力あふれるルチア・ポップの歌声で。

愛らしいポップのブルーな素敵なジャケット。

1993年11月16日に惜しくも早世してしまったポップは、いまでも、わたしたち日本人の耳に、そして心に、その暖かな声でもって生き続けているのです。

初期にはコロラトゥーラ、その後リリック、そして晩年にはスピントがかかってきて、ドラマテックな役柄までも歌うようになったから、モーツァルトとR・シュトラウスが彼女の声の本領。
ポップのシュトラウスの最高の1枚は、オペラ・アリア集で、そこに聴くマドレーヌ(カプリッチョ)は絶品で、晩年に持ち役になったマルシャリンも味わえ、アラベラではズデンカから成長したお姉さんのポップが味わえる。
そこで指揮しているのが、ホルスト・シュタイン。
さらに、ミュンヘンで活躍したことからサヴァリッシュとの共演も多く、N響お馴染みの指揮者たちとの接点からも、わたしたちには親しみあるポップなのです。

今日の歌曲集でピアノを弾いているのも、名手サヴァリッシュ
最高のシュトラウス指揮者であるサヴァリッシュは、また最高のシュトラウスの歌曲や室内楽等の伴奏者である。
一音一音が明快明晰で、軽やかでありつつ、鋭敏なピアノ。
完璧極まりない伴奏ピアノ。

サヴァリッシュの描き出すシュトラウスの曇りないパレットにのって、生き生きと気持ちよさそうに歌っているポップのチャーミングな歌声に、聴くわれわれも思わず、リラックスして体の力が抜けて行く思い。
明朗快活なシュトラウスの音楽にぴったりと寄り添うような歌は、ひとつの理想ではあります。
暗い陰りの部分は少しばかり後退して感じるのは、ポップの声だからゆえに、無理からぬこと。でも、この甘やかな声に眼を閉じて浸って、深まりゆく夜を過ごすのも彼女の歌を聴く最高の喜び。

  1.8つの歌 「献呈」「なにも」「夜」「ダリア」「忍耐」
       「もの言わぬものたち」「いぬさふらん」「万霊節」

  2.3つの愛の歌 「赤いばら」「目ざめたばら」「出会い」

  3.「高鳴る胸」 
  4.「帰郷」 
  5.「白いジャスミン」
  6.「子守歌」
  7.「わが子に」
  8.「ひそやかな歌」
  9.「ひそかな歌」
 10.「悪いお天気」
 11.「15ペニヒで」
 12.「父が言いました」

      ソプラノ:ルチア・ポップ

      ピアノ :ウォルフガンク・サヴァリッシュ

                (1984.9 @Kloster seeon)


有名な「献呈」が冒頭から歌われ、とりわけ素晴らしい感銘を受けます。
恋人への想いと、想うことの苦しみ、でもそれを教えてくれたことへの感謝を捧げる若い心情の歌。
シュトラウス18歳の作品ならではの瑞々しい抒情の発露を、ポップはふるいつきたくなるような優しさと甘さでもって歌ってくれる。

夜のしじまを、そしてその夜が輝きあるものをじわじわと奪ってゆくさまを淡々と静かに歌う「夜」・・・、しんみりといい曲で、親密なポップの声。

「万霊節」・・・、これも18歳の作品。そうとは思えない早熟の才。深すぎ。
亡くなった恋人の墓に詣で、語りかける男性の心情。
男声で聴くべきが理想かもしれないけれど、ポップの少し諦念も匂わせた歌は、彼女のマルシャリンをも思わせました。

楽しい雰囲気の「出会い」は、同じポップが歌う、マーラーの角笛歌曲集を思い起こしてしまうもの。

昼は彷徨ったが、夜になり恋人のもとへ帰る思いを歌った「帰郷」では、しみじみとしたピアノ伴奏がよろしく、静かな語り口も素敵なものでした。

それとこれも有名な「子守歌」。官能に傾くすれすれのポップらしい甘味ながらも親密な歌い口は、シュトラウスのお得意の家族愛を歌った曲の本質をついていると思う。
お休み前に、聴くのに最適の曲であり、ポップの歌にございます。
それと対になったようにカップリングされた、我が子を歌ったものもいい歌です。

悪天候によせて、あれこれ想いを巡らしたという内容の、ワルツ風のリズムに乗った、いかにもシュトラウスらしいイマジネーション豊かな「悪いお天気」もお気に入り。

有名な曲とそうでもない曲も、ポップならではの暖かく、豊かな感情をたたえた歌唱で、これからもずっとずっと繰り返し楽しめる1枚です。

ルチア・ポップのものを手始めに、これからR・シュトラウスの歌曲を毎週、何枚か聴いてゆくこととします。

Itosia

こちらは、レッドとゴールド、そしてスプーンまで。

ITOCIAにて。

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コメント

ルチア・ポップ!私には「かわいいソプラノの新人」という印象です。サバリッシュ先生って私は指揮者よりピアノ伴奏が一番あっているように思えるのですが。
そうそう、リヒャルトシュトラウスの伴奏というところが一番ぴったりに感じます。
ところで!工藤監督のお話がダメになり、なんと!中畑監督が誕生しそうですね。
大丈夫か!ベイスターズ!人ごとながら極めて心配!
高田氏との折り合いがつかず監督就任を拒否した工藤氏。
あの中畑氏に監督がつとまるのか。。。ファンの球団ではないとはいえヒドすぎるよ。。。
ちゃんとした人(!?)を監督にしようよ^^;

投稿: モナコ命 | 2011年12月 9日 (金) 21時34分

モナコ命さん、こんばんは、どうもです。

ルチア・ポップは、若い時から晩年まで、ずっと聴いてました。
小柄でキュートな娘風な写真の頃から、ぽってりした充実気まで。
その歌声が、引退してしまったサヴァリッシュ先生とともに、ライブで聴くことができないのが、とても残念です。

そいて、いたみいります。
ベイスターズへのコメント。
でも、正直、ファンとしては、これだけ振り回されると、この辺で落ち着いてくれれば、もうヨシと、いう気分です。
絶好調男の監督は、いまや昔の感あり、清新なDeNAの戦略とはかけ離れてしまったと思います。
そもそも、GM事態が・・・・。
 まぁ、あとは実績で示していただくしかしょうがないですね・・・・。

投稿: yokochan | 2011年12月 9日 (金) 22時46分

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