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2012年1月29日 (日)

レオンカヴァッロ 道化師 デル・モナコ

Yukunsakagura

新橋にあります「有薫酒蔵」。→ホームページ

こちらは、メディアにもよく出てまして、名物女将が始めた高校よせがきノートのある居酒屋さん。
店内の壁には所せましと、全国の高校の名前が背中に書かれたファイルがギッシリと並んでおります。
約2000校、学校の写真や街などの写真も添えられ、丁寧に作られてます。
そこに、卒業年度や思い出、近況などを書き記すのです。
わたしの母校もありましたよ。
そして、しっかり書いてまいりましたよ。
すごい先輩なども名刺とともに発見したりする驚きもあります。

女将さんの広島の某高校の後輩だという方にお連れいただき、気さくな女将ともご挨拶できました。
お料理写真は撮りませんでしたが、九州料理を中心とする、まったく美味しいツマミばかり。ラーメンまで食べられます。お昼もやってます。

こういう企画のお店、大学版とか、地方都市版とか、もしくは、各街での小学校版など、横のつながりが今こそ大切な日々だけにあってもいいんじゃないでしょうかね。

もちろんクラヲタ居酒屋なんてのがあれば最高なんですがね!
わたし店長したいです。

Cava_pagli_monaco

今日は、泣く子も黙る名盤・名唱。

レオンカヴァッロ 「パリアッチ」「道化師」

 不世出の大テノール、マリオ・デル・モナコ様のカニオです。

デル・モナコのカニオは、1961年のNHKのイタリア・オペラ団での公演が、59年のオテロとともに伝説ともなっていて、当然に私はまだヨチヨチ歩きの頃だったので知りませんでしたが、後年、モノクロの映像やFM放送を通じてそれに接し、強烈な印象を受けたのだ。
いまの時代からしたら、大げさともとれる身振りの演技だけれども、目の動きひとつとっても役柄への没頭ぶりが凄まじく、同時に真っ直ぐひた走りに自爆の悲劇に向かってゆくドラマティック歌唱に息を飲んだのだ。
 同じ頃に慣れ親しんだドミンゴも、それはそれで立派で、他に替えがたいものだが、理性的で間違いを犯しそうにない生真面目さを感じてしまった。

いまこうして聴いても、その印象は変わりないが、スタジオ録音の方が少しおとなしめ。
でも、カニオといいオテロといい、デル・モナコの歌の数々が、デッカの優秀録音によって、こうして残されていることに感謝したい。

 カニオ:マリオ・デル・モナコ    ネッダ:ガブリエッラ・トウッチ
 トニオ:コーネル・マックネイル   ペッペ:ピエロ・デ・パルマ
 シルヴィオ:レナート・カペッキ

   フランチェスコ・モリナーリ・プラデルリ指揮
          ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団/合唱団
                         (1959.7 @ローマ)


レオンカヴァッロ(1857~1919)の「パリアッチ」は、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」とともに、セットで扱われることが多い。
ともに70分前後の長さで、同時上演可能、レコード3枚に収まり、いまはCD2枚。
プッチーニとともに、同時代人の3人。
ヴェリスモオペラを、そのふたつのオペラで切り開き、プッチーニに先んじて大成功を収めつつも、それぞれの一発屋で終わってしまった風にレッテルを貼られてしまったのは、逆にプッチーニがすごすきたから。
どちらも10曲以上のオペラやオペレッタを残していて、それらはいま徐々に音源ともなってきていて、わたくしも少しずつ確認中です。
要は、「カヴァ・パリ」ばかりじゃないということ。
素材の難点や、魅力的なアリアが手薄なこともあるが、知的なレオンカヴァッロ、旋律美のマスカーニ、ともにまだまだ捨て置けぬふたりのオペラや声楽、器楽作品があるものなのです。

1892年の作曲は、カヴァレリアの1890年の初演のあと、プッチーニは、「エドガール」までで、「マノン・レスコー」を作曲中の年。

旅劇団の道化師座長が、若い劇団の花型女優の妻ネッダの浮気に苦しみ、やがて村人の集まる中で、演技と現実を同化してしまい、妻に相手の名を迫るうちに、ナイフで刺し、そこにあらわれた情夫も刺し殺してしまうという、血なまぐさいオペラ。

激情と嫉妬が渦巻くドラマを、ナイフによる殺傷事件で幕を閉めるという、ヴェリスモ現実オペラの典型。

カニオ「衣装をつけろ」、「もうパリアッチョじゃない」
ネッダ「鳥の歌」、「シルヴィオとの二重唱」
トニオ「ごめんください、皆様がた」
ペッペ「愛しのコロンビーナ」


カニオの有名なもの以外にも、いいアリアがたくさん詰まった70分は、緊張感と情熱、そして歌心が凝縮された名オペラです。

デル・モナコの体当たりぶっちぎりのカニオは悲劇のヒーローに相応しく、もうどうにもならねぇ的なストレートボイスで、今風のまとまりのよい知性に裏付けられた歌唱とは大違い。
聴き慣れない方は違和感あるかもしれないが、偉大な歌唱であることには違いない。
トウッチのドラマティックなネッダもいいが、ちょっと大味かも。
それとトニオのマックネールは懐かしい歌唱。この役は、わたしにはミルンズが最高。
名脇役デ・パルマがここでも存在感ある味わいを示してます。
いまならオケや指揮者に、磨き抜かれたものを求めたくなりますが、この時代ならではの輝かしくも歌に満ちたイタリアの音色を感じましたね。

ワーグナーはそうでもないが、ヴェルデイやイタリアオペラは、どうしても50~70年代のものに心動かされてしまう。
ちょっと古い人間なんすかね。

ロクなことのない、このところの日々、デル・モナコに恐れるな進めと後押しされましたよ
そして、道化芝居はオシマイともね。

レオンカヴァッロ関連記事

 「5月の夜」

 「ラ・ボエーム」

 あと、ブログ開設前に観劇した、「新国のカヴァ・パリ」
 G・シュナウト、C・フランツというブリュンヒルデ・ジークフリート歌手に、クピードという真正イタリア歌手の組み合わせの面白い舞台だった。
そして指揮は、新国唯一の登場だった、F・ルイージ。

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コメント

この有薫は赤坂の五島列島の魚をだす有薫と姉妹店でしょうか?
パリアッチは、カヴァレリアと共に、月に一度は聴きたくなる私の一番好きなオペラです。10年前迄はカヴァレリアしか知らなかったのですが、カヴァ・パリの実演を観て以降パリアッチも好きになり、デルモナコの日本公演(確かに劇的歌唱で、オケも立派)も含め手に入るCD はだいたい揃えました。

投稿: faurebrahms | 2012年1月30日 (月) 11時57分

モナコ!
モナコ!
モナコ!

投稿: モナコ命 | 2012年1月30日 (月) 17時04分

faurebrahmsさん、こんばんは。
ご返事遅くなってしまいました。

有薫。 多分赤坂の店と同門だと思いますし、本家は神田にあるようです。
今度確認してみようと思います。

カヴァ・パリ、お好きなのですね。
わたしも同感。
作品の精度では、パリアッチの方が上のような気がしますが、魅惑の旋律でカヴァレリアです。
両者とも後年、さらにいい作品を残しているのですが、あまり聴かれずに残念です。
パリアッチをたくさんお持ちとのこと、すごいです。
最近観たアラーニャのDVDがよかったです。

投稿: yokochan | 2012年2月 1日 (水) 00時20分

モナコ命さま、こんばんは。

モナコ!連呼いたみいります!

モナコ先輩に内緒で、こんな記事をあげてしまいました。
やっぱ、デル・モナコさまの右にでるものはございません。

投稿: yokochan | 2012年2月 1日 (水) 00時31分

ついに!ついにモナコの登場ですね!待ってたんだよ===
モナコの1940年代ー70年代のスタジオ録音はファンの私にはすべて文句なしです。
最近はライブ録音を楽しんでいます。1961年のNKHの道化師、よいなー。ライブならではの感情むき出しの歌い方。ご案内のプラデルリ盤も大好きですが、ライブではやりたい放題。最後に「ネッダ!ネッダ!」と絶叫しながらの名演技。ファンの私にはたまりません。
アラーニャのカニオ、興味あります。DVD買います。

投稿: モナコ命 | 2012年2月 2日 (木) 19時44分

モナコ命さん、こんばんは。
お待ちいただきました。
デル・モナコは、わたしにも特別すぎる存在なので、おいそれと記事にするのが憚れましたし、言葉で表現すると同じ言葉でしかあらわせないくらいに無二のものなのです。
オテロにいたっては、パリアッチ以上です。
困ったものです。
そしてやはりNHKイタオペライブが最高ですね。
ボケてしまったビデオでしか確認できませんので、いずれはDVDで買い直したいと思ってます。
アラーニャの入魂ぶりはなかなかでした。

投稿: yokochan | 2012年2月 2日 (木) 22時59分

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