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2012年1月22日 (日)

グルック 「オルフェオとエウリディーチェ」 ミンコフスキ指揮

Hanazono1

夜の新宿、花園神社の中のお稲荷さん。

この鳥居の先には行きませんでした。

酉の市には、見せ物興行が出て、怪しくも懐かしい○女とか、なんとかをやってます。

Hanazono3

社会人になってからは、実家から通わずに、まずは新宿の富久町というところで独り暮らし。新宿の繁華街までは徒歩圏。

でも、2丁目、花園神社、ゴールデン街あたりは、若い私にはちょっと怖くて、そこを通らないようにしておりました。
いまでは、なんのことはないのですがね。

Gluck_orphee_et_eurydice

グルック(1714~1787) 「オルフェオとエウリディーチェ」

その長いフルネームも、クリストフ・ヴィリヴァルト・グルックは、あんまり知らない。

何故か中学校の音楽の授業で名前を覚えることになるグルックは、「オペラの改革者」ということで学んだ。
でも、それだけで終了で、同時期に音楽愛好家となっても、その音楽は、このオペラに含まれる「聖霊の踊り」どまり。
オペラ全曲を聴くことになったのは、もっとずっとあとのこと。

そもそも「オペラ改革」って?

オペラばっかり聴いて観ているけれど、懐かしの「オペラ改革」とはなんぞや、さっぱり覚えてないし、認識も薄れてます。

・レシタティーヴォを通奏低音やチェンバロから、オーケストラに変更
・オペラ内の合唱やバレエの存在を際立たせ、よりドラマとしての劇性を音楽とともに高めた
・歌手の名技性を際立たせる、歌手偏重から、音楽と劇を重視

その改革の3部作が、「オルフェオとエウリディーチェ」「アルチェステ」「アウリスのイフィゲニア」。
古楽奏法の定着によるところも大きく、音源もそのあたりを中心にたくさん出てます。
昔では考えられないことであります。
 そして、こうしたオペラでは、古楽の演奏家たちによるものに耳が馴染んでしまうと、通常オーケストラによる従来奏法では、重すぎで手ぬるく感じてしまうようになりました。
かつての昔には、こんなことは考えられないことだった贅沢なこと。
 同じく、オルフェオ役をテノールで聴き慣れると、メゾでは違和感が生れてしまうことにもなる。

そんな思いにさせてしまうのが、ミンコフスキの鮮度高くイキのいい演奏。
グルックの改革精神を浮き彫りにするかのように、自信と確信に満ちた集中力でもって音楽に対峙しております。

 オルフェオ:リチャード・クロフト   エウリディーチェ:ミレイユ・ドランシュ
 アモール :マリオン・アルショー

   マレク・ミンコフスキ指揮 ルーヴル宮音楽隊/合唱団
               (2002.6 @ポワシー、サル・モレイエル、ライブ)


最近は原典主義から、1762年ウィーン版での演奏が多いが、ミンコフスキは1774年パリ版を採用。ちなみにあとパリ版を元にしたベルリオーズ版もありますが、そちらは未聴。

したがって、先に記した通り、ここではオルフェオはテノールが受け持っている。(フランスではカストラートは禁止だったから)
そして、パリ版ゆえにバレエ音楽がふんだんに収録されていて、オペラの最後、すなわち、よみがえったエウリディーチェと喜びの抱擁を交わすオルフェオ。そこで神妙だったオペラが、喜びに満ちて終わったあと、バレエが7曲も延々と続くことになる。
正直、音楽の、そしてオペラの展開としては、バレエで終結するという耐えがたい流れなのであるが、ミンコフスキの劇場指揮者としての卓抜とした才能でもって、おおいに楽しみながら、爽快感も味わえる、おもしろ演奏となっていて予想外なのだ。
清涼感漂う高名なる「聖霊の踊り」は、心洗われるような名演に思われ、聴き古したこの曲から実に新鮮な感銘を味わうこととなります。
オペラの中にふんだんにある、間奏や聖霊、そして序曲やバレエを抜き出して、ミンコフスキの小股の切れ上がったような指揮ぶりを味わう聴くのも、このオペラCDの楽しみかもです。

そして件のテノールは、アメリカのクロフト
古楽の様式からするとかなり今風で、歌いぶりが達者すぎの感はあり。
でもその感情移入のほどは、なかなかのもので、ミンコフの描き出す劇的サウンドに、巧みにマッチしております。
エウリデーチェを失った悲しみを歌う高名なアリア「ああ、われ、エウリディーチェを失いぬ」の泰然とした中での悲しみの表現には感動いたしました。

相方のドランシュのエウリディーチェ。わたしの好きなドランシュ。
清潔で明快な歌はここでも素敵なものでした。

アモールのアルソーは、録音当時まだ10代だった由です。
それこそ混じり気ないピュアな歌声が好印象。
ガーディナー盤のプティボンと甲乙つけがたし。

このオペラに名唱を残した往年の歌手たちも、歌それぞれでは素晴らしいものなれど、いずれの歌手も、このミンコフスキの作り出す先鋭で、心理描写も巧みな劇的な音楽には不十分な気がするゆえ、過去に染まっていないクリアボイスの歌手たちが、とても相応しく感じるのであります。

有名オペラにつき、粗筋は省略。
久しぶりに聴くこのオペラ。
登場人物が、3人+合唱という1時間30分の究極の省略ドラマは、へたな大オペラより、よっぽど劇的で、求心力の高いものでした!

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コメント

今晩は、クラヲタ様。当方、勉強不足にしてグルックなる作曲家の事、全くと言っていいほど知識がありません。相すいません。先日、偶然かつ幸運にもブックオフでフィンジのCD「A CENTENARY COLLECTION」を見つけ買い求めましてございます。もう1曲目のEclogue for Piano and Strings からやられました。クラヲタ様の仰有る通りじわっと涙が出そうになりました。以後、フィンジにはまりそうな気がしております。

投稿: ONE ON ONE | 2012年1月22日 (日) 21時33分

こんばんは。
一時期、ドランシュの声に、はまっていました。フォーレの歌曲集買って有りましたが、まだ封をきっていませんでした。今日、新国ボエーム行って来ました。良いとこ見いだせず。でも、来年度のセット注文してしまいました。ためいきです。

投稿: | 2012年1月22日 (日) 22時40分

テレビで偶然見た「ポッペアの戴冠」のR.クロフトが気にいって、彼の出演映像や録音をいろいろあさりました。そのひとつがこれです。とても魅力的な演奏ですね。クロフトにはそれほどひきつけられないけど・・嫌でもないというところです。

投稿: edc | 2012年1月23日 (月) 09時05分

ONE ON ONEさん、こんばんは。
ブックオフにフィンジがあるなんて超驚きです!
いい発見をされましたね。
エクローグはもう涙なしには聴けません・・・。
そして同じCDにありますクラリネット協奏曲も美しすぎる音楽にございます。

グルックも機会があればお聴きくださいませ。

投稿: yokochan | 2012年1月23日 (月) 21時17分

Mieさん、こんばんは。
ドランシュは私もお気に入りです。
フランスオペラの数々は捨てがたい美しさです。
フォーレは知りませんでした。欲しいところですね。
ヴィオレッタもあるようですが、まだそちらは聴いてません。
そして1月は「ボエーム」でしたか。
来シーズンの発表が待ち遠しいです!

投稿: yokochan | 2012年1月23日 (月) 21時21分

euridiceさん、こんばんは。
記事拝読させていただきました。
クロフトは初めてここで聴きましたが、そうですね、悪くないです。
でも、UPされてましたホフマンを拝聴してしまうと、個性薄な感じに聴こえてしまいました。
でもきれいな声ではあります。
やはり男声の方がいいです。

投稿: yokochan | 2012年1月23日 (月) 21時46分

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