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2012年1月15日 (日)

ブリテン 「フェドーラ」 ナッシュ・アンサンブル

Sakasu_1

わたしの安いデジカメで、ツリーのイルミネーションを撮ると、こんな風に写ったりします。
白いものとか、瞬いたりするものには、自動でピントが合わせにくいのですが、思えば悪くないこの曖昧さ。

わたくしは、眼が悪いので、裸眼だと世間はいつもこんな風で、恐ろしくて外を歩けません。
かつて、某温泉ホテルの風呂の脱衣所で、眼鏡を盗まれたことがありました。
予備を持ってたからよかったものの、レンタカーでの家族旅行だったから、一歩間違えばとんでもないことになった。
眼が悪い人から、眼鏡を盗む、なんて、常人ではとうていできないことで、いまでもはらわたが煮えくりかえるほどの怒りを覚えますよ。
もちろん、ちゃんとロッカーに収納すればよかったのですがね・・・・。

Britten_phedra

ボケた写真や、眼鏡には関係ない音楽ですがね、今日はブリテン(1913~1976)まいります。
ブリテンの音楽を、オペラを中心に継続的に聴いてます。

もう少し長生きして欲しかったブリテンの作風は、年代によってそれぞれ異なるものの、その時代の音楽シーンからしたら、少しばかり保守的といえる。
それでも、英国音楽の歴史を大事にし、先達たちの延長線上にあらんとする試みが、どの作品にも認められて、ブリテンらしさをそこに見出すことも視聴の喜びであります。

劇的カンタータ「フェドーラ」は、ブリテン最後の声楽作品で、1975年に作曲され、1976年6月のオールドバラ音楽祭で初演されている。
その年の12月には、63歳で世を去ってしまう。
デイム・ジャネット・ベイカーの歌うベルリオーズの「夏の夜」を聴いて感銘を受けたブリテンが、彼女のために書いた作品でもある。

17世紀フランスの劇作家ラシーネが書いた「Phe'dre」~フェドーラをブリテンと同時代のローウェルが翻訳したものを台本とするアルト独唱のためのカンタータ。
ブリテンの意図は、ヘンデルのイタリア様式のカンタータをイメージすることにあったという。
15分あまりの5つの部からなる、室内弦楽オケ、打楽器、ハープシコードを伴う作品。

物語は、ギリシア神話にもとづくもの。
アテナイ王のテセウスには、純潔の神アルテミスを信仰する潔癖な息子ヒッポリュトスがいた。
ところが、中年王テセウスの若き後妻フェドーラは継子のヒッポリュトスを熱烈に愛してしまい、もだえ苦しみ、最後には亭主にも知られて怒られてしまい、それでも好きでたまらずに、自らの命を絶ってしまう。

そんな悶え苦しむフェドーラの心情を歌い込んだカンタータなのです。

いかにもブリテンらしいといえばらしい、ちょっと困った愛の物語。
このカンタータには描かれてないが、フェドーラのあることなをこと書いた遺書により、父の嫉妬を買ったヒッポリュトスには、やがて非業の死が訪れる。
激情の愛と、潔癖純潔の愛との相克は、なかなかに皮相な対比を醸し出している示唆的な物語であります。
もちろん、平々凡々たるワタクシには縁がございませんとも。

ブリテンの音楽は、相変わらず、ここでも、クールでかっこいい。
73年のオペラ「ベニスに死す」にも似て、どこか彼岸の雰囲気も感じるし、聴いていてベルクの音楽や、シュプレヒシュティンメ的なリアルな迫真感をも感じます。
ハープシコードや独奏チェロを伴ったレシタティーヴォなどは、古風な趣きのなかに、恐ろしさも感じます。
一方で、切迫した弦のトレモロとティンパニが、フェドーラの激する心を鼓舞しているかのよう。
冒頭の静かで印象的な出だしを覚えておくと、毎度ブリテン作品の常套として、最後の最後に、その部分が再現されて曲を閉じる訳でして、その見事な完結間に、15分間のモノ・ドラマを聴き終えた満足感が得られるるというものです。

    Ms:ジーン・リグビー

 リオネル・フレンド指揮 ナッシュ・アンサンブル
                   (95.11@ロンドン)


肝心のデイム・ベイカーの音源はまだ聴いたことなないのですが、このハイペリオン盤は、カップリングの室内オケ作品がとても聴きごたえがあって、しかもリグビーの真っすぐな歌声もよろしくて、お気に入りの1枚です。

ダウランドの歌曲を元にしたビオラソロを伴った「ラクリメ」は感動的だし、パロディ満載の「王様の剣」組曲は、なんとワーグナーのジークフリートの森のささやきや、田園交響曲をパロってますよ。

Sakasu_2

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コメント

この曲は、NYエイヴリーフィッシャーホールにて2004.12.18、C.デイヴィス指揮、モーツァルトのパリとハイドンの太鼓連打との組み合わせで、ニューヨークフィルの14,000回目の演奏会で聴きました。
気に入ったので、出ているCDを探し、ケントナガノ指揮ハレ管のエラート盤を購入、愛聴しています。

投稿: | 2012年1月15日 (日) 22時43分

faurebrahmsさん、こんばんは。

なんとニューヨークフィルで、それもサー・コリンの指揮でお聴きでしたか。
めちゃくちゃ羨ましいです。
K・ナガノ盤は、わたしも欲しいところです。
ジャケットもいい感じですし。
youtubeで、劇場上演版を観ましたが、一人ソプラノでもたいへん緊張感あるものでした。

投稿: yokochan | 2012年1月16日 (月) 00時06分

すごいなー。。。フェドーラといえばジョルダーノのオペラしか知らない私には衝撃です。そうか。。ブリテンにもフェドーラという作品があるのか。。しかも、このスレッドに書き込む方がいるというのも驚きです。私の音楽鑑賞はまだまだ初心者レベルのようです^^;
このような作品を次々紹介されるとこの年になってもショックです。今度聴いてみますとは簡単に言えない曲だからです。CDとか手にはいるかなー。。対訳付きじゃないと聴けないなー。。とかいろいろ心配!
ところでこちらのアルファードのゲートは?なに?

投稿: モナコ命 | 2012年1月16日 (月) 18時47分

モナコ命さん、こんばんは。
ジョルダーノのフェドーラは、もちろん、デル・モナコですね!
そしてブリテンを体系的に聴くようになり、この作品も射程に入ってきました。
ヘンデルを意識したカンタータ作品。
ブリテンの劇作の才はすごいものがあります。
このCDも安く手に入りますよ。
対訳なしでも全然大丈夫でしたし。
そして、アルファードの門は、TBS前のスケートリンクのゲートでした。スポンサーなのでしょうね。
なんでも聴いちゃうどん欲なワタクシです。

投稿: yokochan | 2012年1月16日 (月) 22時47分

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