マーラー 交響曲第5番 メータ指揮
スカイツリーです。
錦糸町の某ビルから拝見。
これから暮れてゆく空とスカイツリーを眺めようという寸法です。
錦糸町から押上って、こんな近いとは思わなかった。
クリスマスや大晦日のライトアップは見れませんでしたが、こうして無地に立つ姿は近未来的で、無機質でもあり、どこか冷たくもありました。
そして空は濃い紫に覆われてゆくのでした。
私的には、自分と同期の東京タワーの気品ある立ち姿に愛着を感じますが、こちらも徐々に定着してゆくのでしょうねぇ。
愛着といえば、こちらのマーラー演奏にも。いまや通常名曲の仲間入りした曲。
交響曲第5番嬰ハ短調
ズビン・メータ指揮ロサンゼルス・フィルハーモニック
1976年ロサンゼルスUCLA、ロイスホールにて録音。
初めて買ったマーラーの5番のレコードがこれ。
ツァラトストラ、ハルサイ、惑星、ヴァレーズ、シェエラザードなどに続いたメータ&ロスフィルのヒットのひとつ。
ウィーンやイスラエルとの共演が先行したメータのマーラーだが、ついにロスフィルとのコンビで実現。
10番とのカップリングでズシリと重い2枚組を、わたしは憑かれたように何度も何度も聴きました。
この曲のカッコよさをストレートに味わわせてくれ、晴れやかな終結部に向かって一直線の突入感たくましい若々しい演奏。
この演奏で、5番の面白さに開眼した。
が、しかし、その後に、レヴァイン、アバド、マゼールのレコードを次々に購入し、それらの新たなマーラーに心動いていった。
ことに、アバド&シカゴの繊細で緻密、鋼鉄のような5番は、いまもってわたしのナンバーワンとなっている。
ほかにもたくさんの、数えきれないくらいの5番を聴いてきて、CD化されたメータを改めて聴き直してみて、その若々しい、懐かしい表情にすっかりこの曲にのめり込んだ昔を思い出してしまったものだ。
2012年1月に聴く、メータ・ロスフィル・マーラー・5番は、苦渋も平坦で、それは過去のもので、優しい抒情と微笑みがあり、輝かしい今後が待ち受けているかのような思いにさせてくれたのでした。
この屈託のなさと、オケのクリアな明るさを最大限に引き出したメータの指揮は、風格ある今のメータには味わえない率直なもの。
早めのテンポで、ずばずば進めてゆくメータの指揮は、その鋭い指揮棒さばきが見えるよう。
各楽章の対比と、その構成感も全体のなかで巧みに考えられており、連綿たるアダ-ジェットから終楽章のロンドへの移り変わりと、その最後のクライマックスの鮮やかさには手放しで興奮してしまいました。
ゴージャスなティンパニの捉え方も当時のデッカの優秀録音ならでは。
いやいや、若いマーラーはこうでなくっちゃ。
あれこれ考えなくても、こうして音楽の力に乗っかっちゃうことができるんだから。
わたくしも、しょぼくれてないで、テキパキまいりましょう
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コメント
管理人さん おはようございます。
メ―タは70年代にヴィ―ンpoと復活を録音しておりますがマ―ラ―の中で時折楽しむ演奏です。
共演者に恵まれ各楽章のバランスも良くオケの金管陣の最高級の出来もあり曲の持ってる多面的ところもとても上手く出してくれたと思います。
投稿: マイスターフォーク | 2012年1月10日 (火) 08時36分
1980年代にシカゴ交響楽団がトランペットの新入団員のテストでこの1楽章の冒頭をテスト曲にしたと伝え聞いています。
新入団員はすぐに決まったそうですが、あまりにうますぎて、シカゴの金管メンバーが不愉快になったそうです。その時に楽屋で悪い相談をしたのでしょう。わざと何度もテストを繰り返して入団生にプレッシャーを与えたところ初めてミスをしたためシカゴのメンバーは本人の前で大喜びしたとも伝え聞いています(イケナイ人たち^^でもこういう人!好きです!!)
メータ盤ですね。イスラエルだけ聴いたことがあるのでロス盤もこの次聴きます。
投稿: モナコ命 | 2012年1月10日 (火) 17時57分
マイスターフォークさん、こんにちは。
厳しい寒さが続きますね。
メータ・ウィーンの復活。わたしも愛聴盤です。
おっしゃるとおり、コトルバスとルートヴィッヒが最強の独唱者です。
メータのマーラーでは、その復活とロスとの3番が双璧でしょうか。
後年のものより、若い頃の一連のマーラーの方がよいです。
投稿: yokochan | 2012年1月11日 (水) 21時02分
1983年3月17日(木)ザ・シンフォニー・ホール
メータ指揮イスラエル・フィルでこの曲を聴きました。
私には高校受験の当日の夜。半年前にオープンしたホールでの追加公演でした。
亡き母が主席チェリストを見てキャアキャア言ってました・・・
メータの魅力はオケ曲の豪華さを引き出すことではないでしょうか。
インドはもはや世界の大国ですが、まさしくメータはその先陣を切りましたね。
メータのこの曲のCD、ロスもニューヨークも聴いていません。
バーンスタインとシノーポリしか聴いてません。
昨年再発売されたアバドとシカゴともども聴かねば!
アバドの旧マーラーとか、カラヤンのマーラー(虹)やブルックナー(羽)
のジャケットっていいですよね!
最近はもっぱら演奏者の写真ばかりですが。
考えればLPなんて一般人は作れませんでした。
その点CDは誰でも作れる。
配信やIPODだけがレコード会社を圧迫しているのではないでしょう。
投稿: 影の王子 | 2012年1月11日 (水) 21時38分
影の王子さん、こんばんは。
シンフォニーホールのオープニングは、カラヤンでしたか?
テレビでそのベートーヴェンを観劇し、ホールの美しさとその残響の美しさに、をおおいに心動かされました。
メータとイスラエルフィルは、その半年後だったのですか!
そのときの、東京でのライブをFMでエアチェックしました。同じマーラーですが、残念なことに後日消してしまったのも思い出深いです。
ご母堂さまの思い出もあるコンサートなのですね。
わたしは、サラリーマン3年目の初々しい頃でしたが、同年、アバドとロンドン響の来日公演の東京3演目を全部聴くという、生涯忘れえないことをなしとげました。
その中の曲が、マーラー5番だったのです。
メータとアバド、芸風は大いに異なりますが、二人の朋友をずっと聴いてまいりました。
懐かしいジェケットも、だんだん復刻されてきました。
機会がありましたら是非お聴きいただければと存じます。
メディアの進化は、自家製でも、超本格を求めなければ、個人で楽しむ立派の音源を難なく作れるようになってしまいました。
あらゆる業種・職種が進化・衰退の波にさらされているのですね・・・
投稿: yokochan | 2012年1月12日 (木) 21時37分
モナコ命さん、こんばんは。
ボケてまして、ご返事、相前後してしまいました。
しっかし、シカゴのツワモノの面々の逸話、恐ろしいものがありますね。
そんなことを繰り返しつつ、あの最強のブラスが生れ、維持できているのでしょうね。
わたしも、嫌いじゃないデス(笑)
シカゴの指揮台に立つ指揮者たちも、若い人はチビッちゃうくらいなのでしょうね。
レベルは違いますが、どこかのわが某国の西の方のオケもかの地のお言葉を駆使して、指揮者でかなりお遊びになるとの由にございます。
恐ろしゅうございます。
投稿: yokochan | 2012年1月13日 (金) 00時03分
これはまた、大好きな名演です。仰る通りこの頃のメータは良かった。このあと実はNYPとバイエルンの国立歌劇場のオケとも入れているのですが、だんだんお爺さんになってゆく彼はなんだか哀しかったです。やはり彼はエキゾチックでミステリアスなインドのスーパーマンであって欲しかった。
ちなみに同じLAPとのマーラーでは3番も素晴らしかったですね。
去年、一昨年と聴いた聖響さんのマーラーが何となくそんなメータを彷彿とするところもある気がして嬉しいのですが。来シーズンは早速このLPカップリングの10番もありますね。楽しみです。
私はこの録音はコメント戴いているのでカップリングの10番の方をTB致します。
投稿: yurikamome122 | 2012年1月13日 (金) 11時31分
yurikamomeさん、こんにちは。
メータのこのあとの5番は、いまだ聴く機会を持ちませんが、やはりご意見をお聞きすると、このロスフィル盤だけでいいのかな、と思います。
3番もロスフィル盤は実にのびのびと、いい演奏ですね。そちらも、イスラエルにバイエルンがあるようですが、不思議なもので、3番の他の演奏はとても気になります。
思えば、メータはレパートリーがあんまり広くない気もしますが、それぞれに独壇場的なものを持ってましたね。
10番が二通り聴ける来シーズン、楽しみです。
でも、メータは完成版は絶対やらないタイプですね。
投稿: yokochan | 2012年1月14日 (土) 00時08分