聖響&神奈川フィル モーツァルト・シリーズ3 CDコンサート② ベーム指揮
うるう年の2月最後の日、関東は朝から雪でした。
ただでさえ短い2月の月末に、雪に慣れてない首都圏のこの雪は過酷でした。
人身事故もあったりで、交通機関は乱れ午前中は大変でした。
飛びまわった1日。時間があったので、北の丸公園に。
都心の真っ只中とは思えない光景です。
皇居外苑の清水門。
清水あふれる清水寺がかってあったそうな。
雪、似合います。
吉田茂像の前で、雪だるまを作る女の子たち。
神奈川フィルハーモニー特別演奏会 聖響音楽堂モーツァルトシリーズの事前CDコンサートをしてます。
モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲
クラリネット協奏曲 (CL:斎藤雄介)
交響曲第41番「ジュピター」
3月3日 @神奈川県立音楽堂
今日は、カール・ベームの指揮で。
ベームは、モーツァルトの音楽を広範にわたって、ほぼすべてを録音している。
オペラでは、7大オペラを全曲。
「魔笛」はステレオ初期にウィーンで、60年代にベルリンでそれぞれ録音。
ベルリン・フィルとのものは、カラヤン傘下のベルリンで、厳しくも凝縮された引き締まったモーツァルトをいくつも残したなかのひと組。
オペラなんて、ピットに入ったこともなかった頃のベルリン・フィルが、ベームの元で生き生きとした楽しい雰囲気と時には厳しい晩年様式のモーツァルトを聴かせる。
歌手は豪華なものだが、少しばかりユニークが過ぎるかも・・・(FDのパパゲーノ、リアーのパミーナなど)
クラリネット協奏曲は、ウィーン・フィルの管楽奏者たちと。
この演奏は当ブログ2度目のお勤めだけれども、モーツァルトのクラリネット協奏曲ならば、わたしは絶対この演奏。(過去記事→)
刷り込み盤で、画像のレコードジャケットもともかく素敵なものだったし。
クラリネットは、アルフレート・プリンツ。
ウィーンフィルのクラリネット奏者は歴代名をなす名手ばかりで、この曲やブラームスも含めた五重奏曲の録音を残していて、われわれ日本人の聴き手にもっとも親しい存在だ。
ウラッハ、ボスコフスキー、プリンツ、シュミードル、オッテンザマー・・・、最近はウィーン・フィルに疎くなったので知りません。
楽器のことはよくわかりませんが、ウィーンやベルリンの管と、フランスのオケの管は音色がまったく違いますね。
落ち着きと、芯のある音色の前者に、優美さと、華やかさの後者。
パリ管の名手もモーツァルトの協奏曲を録音してたはずですが(たしかカラヤンでなかったかしら・・・?)、その聴き比べもしてみたいと思ってます。
そしてともかく、こちらのウィーン産のモーツァルトは最高に素晴らしいのであります。
ベームの描き出すゆったりと柔らかな中にも克明なオーケストラに乗って、プリンツのザッハトルテのようなウィーン菓子のようで、甘いけれど口中一杯に幸せになるようなクラリネットの音色。
ザッハトルテには、濃い目のコーヒーと、天然ピュアなアルプスの水が合います。
そして、2楽章なんて、ずっとずっと浸っていたい気持ちイイ温泉みたいなんです。
曲の素晴らしさがしみじみと味わえる演奏でもあります。
コンサートの最後は、41番のジュピター交響曲。
ベームは何度か録音しているけれど、こちらは60年代前半のベルリンフィル盤。
これは素晴らしいです。
正しき60年代。
「ジュピター」は、ローマ神話の神様、それもあまたあるなかの主神「ユピテル」。
神話の荒唐無稽の神様の一例にもれず、なかなかにむちゃくちゃな神様ですが、イメージとしては崇高で壮大。
だから作曲時は無題の41番も、のちに、曲の偉大さから「ジュピター」を冠することになったみたい。
わたしたちも、普通に「ジュピター」で、「41番」とは個別にはあんまり呼ばないです(ですよね)。
そして歌になっちゃったホルストの惑星の中では、ジュピターじゃなくて、「木星」です。
ちなみに英国音楽マニアとしては、あの歌は好きくないです。
昨今は、繰り返しをしっかり行い40分近いグレートな規模の交響曲として演奏・録音されるが、かつては繰り返しなしの28分くらいの交響曲で、それでも「ジュピター」だ。
そんなジュピター的な輝かしい力のみなぎった、かつ厳しい眼差しを感じさせるベーム&ベルリン・フィルの名盤なのです。
これを聴いちゃうと、繰り返しやピリオドやピッチやらなんやから・・・・、みんなアホ臭く感じてしまうからしょうがない。
子供の頃から、ワルターやベームのモーツァルトを聴いてきたのですから。
これらがスタンダードなんですから。
ベームはその後70年代後半にウィーンフィルと再録音。
同時期にベルリンでも後期3大交響曲を演奏していて、そちらもCD化望まれます。
伝説のNHKホールでの75年ライブでは、この曲とJ・シュトラウスの演目で、「常動曲」では、翁が客席を振り向き「いつまでも、いつまでも・・・」と語りましたね。
それらの中では、こちらのスタジオ録音は、少しばかり老成の度合いが高いですが、ウィーンフィルを生かしきった音色が深みもあってよかったです。
ベームのモーツァルトは60~70年代の定番でございました。
若き日々に聴いたモーツァルト。
それは今も心に生きてます。
そして、若い人たちに聴いて欲しい、神奈川フィルハーモニーのモーツァルト。
オケのこと、指揮者のことを、聴いて感じて欲しいですね
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