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2012年2月25日 (土)

聖響&神奈川フィル モーツァルト・シリーズ3 CDコンサート アバド指揮

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横浜馬車道にあります「神奈川歴史博物館」。

1904年(明治37年)に建設された横浜正金銀行の本店建物。

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まるでヨーロッパのオペラハウスを思わせる重厚な建物。

みなとみらい地区と違って、関内・石川町エリアにはレトロ建物がたくさん。

休日は横浜へ。

そして、3月3日(土)は、神奈川フィルハーモニーの特別演奏会が午後3時からあります。

金聖響の指揮で、ホールはこちらも歴史のある神奈川県立音楽堂。

 モーツァルト  歌劇「魔笛」序曲

           クラリネット協奏曲 (斎藤雄介)

           交響曲第41番「ジュピター」


モーツァルトの晩年の名作が3曲まとめて聴ける魅力的なプログラム。
指揮者からして、だいたい察しのつく演奏となりそうだけれど、そこは神奈川フィルのことだから、ビューティフルな音色を聴かせてくれることでしょう。

そこで、今日は同じ組み合わせで、CDコンサートです。

指揮はクラウディオ・アバド

Mozart_zauberflite_abbado

アバドが指揮するとは思わなかった「魔笛」。
ダ・ポンテ三部作は早くに取り上げていたが、「魔笛」は鋭敏なる若い手兵マーラー・チェンバーと。
2005年の録音で、アバドもピリオドをやりだしてその若い柔軟性に驚かされたものだ。
快速でキレがあって、でも瑞々しいのはアバドの感性ならでは。
オペラの序曲として、これから始まるジングシュピールの幕開きへの期待感を抱かせるに充分な感興にあふれております。
フリーメイソン和音もさりげないところがアバドならでは。

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伸びやかなイ長調のクラリネット協奏曲
一昨年に聴いたペイエとマリナー&N響の素敵な演奏がいまでも耳に残ります。
モーツァルトのイ長調は、この協奏曲に交響曲29番、ピアノ協奏曲12・23、クラリネット五重奏曲、フィガロ・・・・。
気持ちのいい曲ばかりで、わたしは大好き。
そして少し陰りのあるクラリネットの音色を巧みに活かした協奏曲と五重奏曲は、さながら秋を思わせる澄んだ空気を感じる音楽。

ベルリン時代に、主席のつわものたちをソリストにしてモーツァルトの管楽の協奏曲を録音したアバド。
同じEMIには、先輩カラヤンの同様の名盤があり、アバドも名手ひしめくベルリンフィルにあってモーツァルトの管楽器の協奏曲を録音し、そして今現在は、若い奏者たちと再録音中。
カラヤンとベルリンフィルを冷たい関係にしてしまったザビーネ・マイヤーですが、アバドのもとでは、ルツェルンでそんなことがなかったかのように、すっかり馴染んでました。
彼女のクラリネットの魅力は屈託ない明るさと確かな技巧、そして、しっかりした明確な音色。
ずばずば吹きすぎる難点は感じますが、明るめのアバドとベルリンフィルをバックに気持ちいいモーツァルトとなってます。

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「ジュピター交響曲」は、これもアバドが設立したモーツァルト管弦楽団で。
2005年の録音で、繰り返しを励行し、37分をかけて大曲のようになっているが、そこはアバド。
軽やかで、歌心にあふれていて、そしてサラッとした感じ。
年齢を経て大巨匠になると、その音楽は重く濃密になる人が多いけれど、アバドは逆にどんどん若々しく軽やかに、そして純水のように澄んでゆくばかり。
際立つ個性はないものの、しみじみと味わい深い心境に達した自在の演奏に思われるアバド73歳の録音。
2楽章はアンダンテ・カンタービレの表記のごとく、心持ち早めな歩みのアンダンテ、そして豊かな歌。
軽めのピリオド奏法は、アバドが到達した古典の演奏の様式に思われるが、もしかしてアバドはその次ぎのステージにも向かおうとしているかもしれない。
ピリオドやってみました、とか、絶対こうあらねばならぬ的な教条的な演奏とはまったく違う次元にあるアバドのモーツァルト演奏でした。

Abbdo40_2

でも、ほんとはこちらの方がずっと好きだな。

1980年のロンドン響とのモーツァルト。
集中力がみなぎっていて、「ジュピター」に相応しい力感もみなぎっていた。
いまなら微笑みひとつでオーケストラを自在に操れるアバドだけど、この当時は大きな指揮ぶりでした。
でも出てくる音楽は清新で、内声部から主声部からなにからなにまで、歌いまくりの流麗さ。そして、フォームをしっかりキープして、ゆるぎない構成感を感じさせる。
優等生と評されたアバドの紡ぎだす「普通」というスゴさを実感してください。

なにも、小手先でこにょこにょする必要はないのです。

同胞のメータや小澤とは、まったく違った方向性を歩むアバドが見せてくれる新旧モーツァルトの至芸。

モダンオケの通常演奏でも、ピリオドでも、ともかくその語る音楽が真実ならば、奏法なんてどうでもよいのです。
大巨匠の域に達したアバドをずっと聴いてて感じる、そんな自由さでした。

さぁ、みなさん、お手すきでしたら3月3日土曜日、横浜にいらして下さい。
チケット残り僅かですよ!

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コメント

おはようございます、クラヲタ様。魅力的な曲ばかりですなぁ。食指が動く、よだれが垂れる演目ですこと♪ 首都圏にお住まいの方々が羨ましい!
今朝の張本氏。DeNA-巨人のオープン戦を見て「ベイスターズは、リトル巨人化してるね。新鮮味がない」と言っておられましたですよ。高田GMにもチクリと一言ありでしたし。最近の張さん、巨人命から脱皮したのかな?小気味の良いコメントでございました。

投稿: ONE ON ONE | 2012年2月26日 (日) 09時24分

ONE ON ONEさん、こんにちは。
そうなんです、モーツァルトのとびきりの名作を3つですから魅力的なんです。
N響や在京オケに負けない個性的な神奈フィルを多くの方に聴いていただきたい想いです。

そして横浜はベイです。
DeNAの名称が先に立つようになってしまいましたね。
今朝のテレビは見ませんでしたが、リトル巨人化という言葉にはショックですね。
正直そう思ってましたが、巨人にいる村田との対決を観ても、なんだかややこしくなってしまいました。
選手の巨人じゃないっていう頑張りが是非とも欲しいと思います。

投稿: yokochan | 2012年2月26日 (日) 15時26分

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