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2012年2月23日 (木)

シノーポリ 「ルー・サロメ」 

Matsuya

もうとっくに終わってしまいましたが、銀座松屋のビルごとイルミネーション。

携帯電話とのコラボで、街中に現れた美しい光景ではありました。

ビルごと広告。

当然に電気代もかかるわけで、先の東電の電気料金値上げで、こうした広告媒体や生産・設備業界、いやあらゆる業種は冷や水を浴びせられた状態。

ゆえに、照明では、LEDへの変換は拍車がかかってます。

震災からもうじき1年。

その前までは考えられなかった事態が日本を覆い、価値観を含むすべての事象が時間の差こそあれ変わりつつあります。

あげればキリがありません。

政治・復興・東電・原発・放射能・円高・環境・異常気象・自然災害・雇用・年金・格差・高齢化・石油・自然エナルギー・資源・領土・維新・がれき・TPP・食・消費税・・・・・、まだまだありますよね。

考えただけでおかしくなりそう。
昔はこんなことなかったのに。
もっとシンプルだったのに。

Sinopolli_lou_salome

ジュゼッペ・シノーポリ(1946~2001)の「ルー・サロメ」。

作曲家シノーポリが作ったオペラです。

そのオペラの中から自身がチョイスして編んだ2編からなる組曲を聴きます。

シノーポリの作品で音源として聴けるものは限られているけれど、いったいどれくらい残したのでしょうね。
バーンスタインやブーレーズ、プレヴィン、マデルナらと並ぶ、現代作曲家兼指揮者でありました。
こちらの分野でも、早世が悔やまれるシノーポリ。
1981年にバイエルン国立歌劇場で初演されている

そして、今日、ここにこの作品を取り上げたのには、訳があります。

このオペラの主人公、「ルー・サロメ」は、実在の高名なる女性で、運命の女=「ファム・ファタール」と呼ばれる女のひとりなのです。

前回記事が、ベルクの「ルル」。
男を皆、虜にしてしまい、破滅に追いやった魔性のルル。

今回の女性は、その名も「ルイーズ・フォン・ザロメ」(1861~1937)。
そうまさに「サロメ」の名を奇しくも持った女性。
ロシア系ユダヤ人でドイツに活躍した作家・エッセイイスト・セラピスト。
以下、CD解説書(喜多尾道冬氏)を参照します。

「ルーが誰かある男と情熱的に接すると、9カ月後にはその男は一冊の本を生んだ」
そんなことがいわれたルー・サロメは、奔放でルルみたいなところもありつつ、その男性の才能を的確に見抜き、それを見事開花させる、「あげまん」系の女性だったのだ。

以下、関係した男子を箇条書きにしてみようではないか。

①ヘンドリック・ギロート・・・・少女時代に出会った牧師。信仰に悩んだルーの師になったが、ルーに魅せられ結婚を申し込むが、ルーはがっかり。

②ニーチェ・・・・あのニーチェ。これまたルーに惚れこみ結婚を申し込んだが拒絶。
その反動で、「ツァラトストラ」を書く。

③パウル・レー・・・ニーチェの友。こちらはルーも気に入り同棲。
しかし、後に、ルーが結婚すると自殺してしまう。

④フリードリヒ・アンドレアース・・・・ペルシア系の血筋の東洋学者。
ルーに激しく求愛し、結婚にこぎつけるがセックス・レスの仲に死ぬまで終始。
自殺未遂も試みちゃうヒト。

⑤ヴェーデキント・・・・そうです、この人です。ベルクの「ルル」の原作「地霊」を書いた人。
これまたルーに拒絶され、ルーをモデルとしたとされる「地霊」を書いた。

⑥リルケ・・・・高名なる詩人のあの人。お付き合いがちゃんとできたラッキーなリルケ。
でも歳の差あり、母のように接したルーからリルケちゃんは離れていった。

⑦フロイト・・・・この人まで出てきちゃうのか。
しかし、彼と彼女は、サイコの分野での同門で学習仲間となった。

どうです、このすごいメンバーたち。

時代的には、マーラーや新ウィーン系の人がいてもおかしくないが、音楽家が登場せず、文学・哲学・詩・心理学といった分野に彼女があったことがわかりますな。

音楽、そして美術系の同様な生き様をした「あげまん」は、アルマ・マーラーでございますよ!

前段が長すぎましたが、このルーという女性を知らずしては聴くことができないシノーポリ作品なのです。
このオペラは、彼女の人生を箇条書きにしたような男性たちの作品を扱ったりすることで、浮き彫りにしている作品。
劇的であると同時に、思索的、哲学的でもあるようだ。
第1組曲は、アンドレアスが自殺未遂をした後あたりから、お気に入りのレーとのとのやり取りと、レーが立ち去る場面をチョイス。
第2組曲では、ルーの死の場面と回想の部分を。

調性と無調の間を揺れ動く不安な雰囲気と、緊張感に満ちた極めて劇的ドラマティックな迫力サウンド、そしてマーラーのように、いきなりワルツや軍楽隊が登場してしまう多面的複雑心理背景音楽。
そして、多くの場面で、その印象はベルクの響きを感じさせる。
わたしには、とても魅力的な音楽に感じられます。
どんなオペラか、一度観てみたいものです。

   ルー・サロメ:ルチア・ポップ    パウル・レー:ホセ・カレーラス

    ジュゼッぺ・シノーポリ指揮シュトゥットガルト放送交響楽団
                      (1983、87年 @シュトゥットガルト)


ポップの暖かくも少しばかり不思議ちゃん風の歌唱が魅力的。
カレーラスは融通聴かない生真面目さが出てます。

亡くなって10年以上が経過し、シノーポリの指揮と作品が少しばかり薄れてきた感あり。
忘れてはいけません。

Lou_salome

この人が、「ルー・サロメ」。

なんだかなぁ・・・・。

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コメント

興味あります!さまよえる様は厳しい評価をしていますが、「ルー・サロメ」様!ストライクです^^
それはそうと、こんだけエライ方々とそういう関係になれるっていうのは外見+人柄+知性+αを持ち合わせていた女性なんでしょうね。
シノポリもシノポリだ。飄々として女性には興味ありません的な人物を印象付けながら、この類型の女性には大注目して、さらに作品化していたんですね。興味!
カレラス好きの私としても是非聴いてみたいと思います。全く知らない作品です。ご紹介ありがとうございます。

投稿: モナコ命 | 2012年2月24日 (金) 21時36分

モナコ命さん、こんばんは。
このルー・サロメにあんまり皆さま反応がないものですから、ルルの記事以来、少し寂しかったのです。

洋の東西、やはりこのような女性がいたのですね。
そしてそのおかげで、男たちが活性化して、後世に残る芸術品を残すわけです。
母であり妻であり愛人の、怖い女性たちに栄あれ・・・です。
シノーポリの世紀末嗜好には、わたしも正直驚きました。
長生きしてくれれば、ルルも指揮してくれたと思います。
カレーラスは、いかにもカレーラスしてました。

機会があれば是非お聴きください。

投稿: yokochan | 2012年2月25日 (土) 23時06分

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