ハウェルズ ヴァイオリンとオーケストラのための舞曲 ヒコックス指揮
昨年の晩夏の札幌の公園にて。
英国音楽の心象風景のひとつは、このような緑あふれる水辺の庭園。
少しワイルドなところが決め手だし、流れるような柳も。
愛する英国音楽の作曲家のなかでも、最愛のひとり、ハーバート・ハウェルズ(1892~1983)。
わたしが、そのハウェルズを好きになったきっかけの曲を。
本ブログ再度の登場となりますが、久しぶりに聴いてみて、感動して涙が出てしまった。
繊細で抒情的な作風のハウェルズ。
ハウェルズのことに関しては、わたくしの記事のハウェルズのタグをクリックしてご覧ください。
手に入る全作品目指してます。
熱心なイギリス教会の信者であり、オルガン奏者でもあったハウェルズ。
43歳にして、最愛の息子を亡くしてしまい、心に大きな痛手を負い、それを契機に、痛切ながらも極めて美しい声楽作品をいくつも残したハウェルズ。
そのエモーショナルな出来事以前も、基本は抒情派として、心やさしい美しくも情緒あふれる音楽を書いていた。
そんななかの一曲、「ヴァイオリンとオーケストラのための3つの舞曲」。
1915年、第一次大戦のさなかに書かれたとは思えない、快活かつ美しい音楽。
しかも、23歳の青年時代の作品。
ロイヤル・カレッジ時代に、後輩のヴァイオリン専攻ウィットカーという人物のために書かれたもので、その初演以来、すっかり埋れていたものを、1989年にウィーン生まれの英国ヴァイオリニスト、エーリヒ・グリューエンベルクによってBBC放送で蘇演された。
グリューエンブルグは、LSOやRPOのコンマスを勤めていたので、シェラザードなどのソロとしてその名前がいくつかクレジットされてます。
3つの舞曲のうち、1曲目と3曲目は、いかにも英国カントリーを思わせる、のどかでかつ屈託のない明るい野辺で踊るかのような音楽。
そして第2曲のレント楽章が、初めて聴いて以来、わたしの心を捉え、ハウェルズ好きにしてしまった絶美の音楽
3部15分の中の、ハイライトはこの真ん中の心優しい、癒し効果抜群の最高の場面。
この天国的な音楽をなんと表現できましょう。
それは同時に、田園風であり牧歌風でもあります。
ヴァイオリン独奏をともなうこの曲の美しさは、もしかしたら、V・ウィリアムズの「揚げひばり」以上かもしれません。
ハウェルズを知ってもう長いけれど、この曲を指標として、彼の英国抒情派としての立ち位置を認識したうえで聴く、後年の息子消失の悲しみの上に築かれた深い音楽を、同感と同情のうえで味わうことの素晴らしさは、フィンジにも似た悲しみの先にある優しさなのです。
Vn:リディア・モルドコヴィチ
リチャード・ヒコックス指揮 ロンドン交響楽団
ヒコックスの早すぎる死は、ハウェルズの録音を体系的に残しつつあった途上だけに、痛恨でありました。
この音源が、youtubeにもUPされているのを発見しましたので、皆さま是非お聴きください。
第2曲は、5分30秒後あたりからです。
これは、フランスの若い方が作成したみたいで、コメントはまだ少ないですが、みなさん絶賛してます。
誰の心にも、優しく響く音楽です。
悪夢のような日々が続くわたくし、ハウェルズ、ディーリアス、フィンジ、バックス、RVW、エルガー、バントック・・・、素晴らしき英国作曲家たちの音楽が、日々慰めてくれます。
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コメント
泣ける。。泣けるねー。。。
こういう曲を聴くとオジサンのようなお年頃は泣いてしまうんです。特にこのごろ仕事でも家庭でも不遇な毎日を過ごしているので、弦楽器で優しく語りかけられるとヤラレテしまいます。今回のご紹介で初めて聴くことができました。ありがとうございます。しばし癒されました。
投稿: モナコ命 | 2012年2月 6日 (月) 21時16分
モナコ命さん、こんばんは。
聴いていただいてうれしいです。
心優しきハウェルズの音楽です。
われわれ、なにかと大変なオジサンの心を癒してくれますね。
寝る前によく聴きます。
投稿: yokochan | 2012年2月 6日 (月) 23時35分