ビゼー 「カルメン」 アバド指揮
またですが、みなとみらいの夜景。
かつて何もなかった臨港地区で、1989年に横浜博覧会を目標に再開発。
いまや日本有数のお洒落な観光スポットに。
新婚時代、博覧会は、何度かふたりできました。
いまや、みなとみらいホールの神奈川フィルハーモニーにひとり通う自分であります。
ビゼー 「カルメン」
もう何もいうこたぁ~ござんせん。
誰でも知ってるオペラの名曲として5指には入るであろう「カルメン」。
有名旋律満載で、ドラマの内容も有名。
編曲ものも多数。組曲版、シチェリドンのバレエ版、サラサーテの幻想曲、E・シュトラウスのカドリール等々。
でも、ついつい見過ごしがちになる、カルメンの女としての怖さ。
そう、カルメンも運命の女=「ファム・ファタール」のひとりなのでした。
「サロメ」「ルル」「ルー・サロメ」と連続して取りあげてきました「ファム・ファタール」シリーズのトリは、「カルメン」。
束縛を嫌い自由を謳歌するカルメンは、カッコいい女としての一面はあるものの、出会う男をみんな虜にして、引き入れてしまい、やがて飽きるとポイしちゃう奔放すぎる「おっかない女」なのだ。
男の同情や名誉欲を巧みにくすぐるカルメンは、ワタクシ会いたくない女の代表格です。
サロメも怖ぇ~し、ルルならプティボン以外はお断り。でもルー・サロメさまは、ちょっと興味ありですな。
一方、カルメンの翻弄されるドン・ホセであるが、こちらはオペラ史上有数のおバカな男でありましょう。
故郷の母を安心させようと軍人になったのに、可愛いミカエラちゃんがいるのに、カルメンに首ったけになり、脱奔し盗賊の仲間入り。そして強盗・殺人だ。
転落人生の極めつけ。
それだけカルメンがよかったのか。
ビゼー 歌劇「カルメン」
カルメン:テレサ・ベルガンサ
ドン・ホセ:プラシド・ドミンゴ
ミカエラ:イレアナ・コトルバス
エスカミーリョ:シェリル・ミルンズ
フラスキータ:イヴォンヌ・ケニー
メルセデス:アリシア・ナフェ
スニガ:ロバート・ロイド
モラレス:ステュワート・ハーリング
ダンカイロ:ゴルドン・サンディソン
レメンダード:ゲオフリー・ポジソン
ほか
クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団
アンブロジアン・シンガーズ
(ジョン・マッカーシー)
ジョージ・ワトソンズ・カレッジ少年合唱団
(1977.8・9@エディンバラ、ロンドン)
そんなカルメン&ドン・ホセを歴代の歌手たちはいろんな切り口で歌い演じてます。
カラス、シミオナート、レズニック、プライス、バンブリー、モッフォ、オヴラスツォワ、ホーン、トロヤノス、ベルガンサ、ヴァルツァ、オッター、ガランチャ・・・・。
思いおこすだけでもたくさん聴けます。
そんな中でも、一番好きなのがベルガンサのカルメン。
ロッシーニ・モーツァルト歌いから転身、カルメンを歌うことでびっくりしたものだ。
クーベリックとのハバネラをレコードで聴き、全曲盤を待ち受けたが、ショルティ&パリ管で録音するとのニュースにがっかり。
でも蓋を開けたら、アバドとの共演となった。
ロッシーニで長く共演してきたベルガンサとアバドは朋友で、そのカルメン観も共通の認識のもとにあって出来あがったエディンバラでの上演とこの録音。
カルメンの既成概念からの解放。
先にわたしが書き連ねた運命の女カルメンは、ベルガンサが歌うと、もっと女性的で明るくハツラツと息づくひとりの女。
そして、宿命の死へと淡々と運ばれてゆく女。
アバドの指揮も、力こぶがひとつもなく、流麗で軽快。スマートでかつ生き生きとした自発的なオーケストラサウンドを楽しめる。
「花の歌」「ミカエラのアリア」におけるオーケストラの美しさは数あるカルメンの中でも特筆もの。
きれいにそして、じっくりと延ばされた最後の幕切れの和音にアバドがこのドラマに見出した迫真部分を聴く思いがします。
当然に、ドミンゴのそんなにおバカじゃないドン・ホセ。
ベルガンサとともに、知的なスペイン歌手の姿です。
そんな中で、従来のマッチョなエスカミーリョがミルンズ。
わたしは、こんなミルンズが大好きなんです。
理想の闘牛士。
それと、フレーニと並ぶ理想のミカエラが、コトルバス。
わたしの「カルメン」一番押しのアバド盤でした。
「カルメン過去記事」
「デ・ブルゴス&パリ・オペラ座 バンブリー」
「アバド&ベルリン・フィル オッター @ジルベスター」
「新国立劇場 2009」
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コメント
えらい!ここまで聴き込んでアバド盤を押すとは。最終的にスタンダードが一番ですね。
コトルバスのミカエラ!大好きです。というより、コトルバスの歌は全部好きです。ドミンゴやベルガンサが大卒のホセとカルメンを演じていても、ミルンズのエスカミーリョ!好きです。やっぱりこういう人物がいないといけません。
さまよえる様は自己主張の強い女性を好きなんですね。哲学者です。サロメは好きですがルルはモダンすぎて楽しめません。。すみません。
カルメンで私が好きな盤はなんといってもモナコ盤。それもモナコ将軍が1959年、モスクワで公演した時の録音です。オケも相手歌手も全員ロシア人、しかもロシア語^^モナコ将軍だけがイタリア語!で歌っています。すごいでしょ。。。ホセとカルメンがモメるのも当然。
注目は当時のモスクワの観衆の熱さとイタリア歌劇団を迎えていた日本人の熱さがそっくりなところ。録音の音質は最悪です。
投稿: モナコ命 | 2012年2月28日 (火) 17時29分
モナコ命さん、こんばんは。
「カルメン」ファーストチョイスは、アバド好き、そして、あのアバドがカルメンを録音してくれたということにつきます。
なんだかんだで、怖い女好きかもです(笑)。
でも嫌だなぁ、怖いの。。。。
そしてさすがは、モナコ命さまですね。
ご案内のカルメンの存在は知ってましたが、まだ聴いたことがありまえん。
パリアッチにも同様のロシア語&モナコ閣下イタリー語のライブがありますね。
両方とも、むちゃくちゃ興味あります。
むにゃむにゃ語のロシアは、なにを歌っても異質に聴こえますが、モナコ閣下との取り合わせがやたらと想像できます(笑)
やはり、イタリアから遠い国々同士、本場ものへの熱い眼差しが強いんですね!
投稿: yokochan | 2012年2月29日 (水) 00時58分