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2012年3月 8日 (木)

神奈川フィルハーモニー定期演奏会 CDコンサート③  アバド指揮

Iseyama1

「梅にうぐいす」

絵になる1枚は、実は先週土曜の横浜の伊勢山皇大神宮にて遭遇したものです。

毎度劣悪なるバカチョンデジカメでの撮影ですから、解像度イマイチ。

Iseyama2

2羽おりまして、それぞれめまぐるしく動き回るものだから撮影はなかなかたいへん。

3分咲きの梅との相性は抜群です。

暖かいここ数日。ようやく梅の香りも嬉しく思えるようになりました。

今週土曜日の神奈川フィルの定期演奏会の練習中。

ベートーヴェン 「コリオラン」序曲

            交響曲第8番

            交響曲第5番

    金 聖響 指揮  神奈川フィルハーモニー管弦楽団

        2012年3月10日 14:00 @みなとみらいホール


Abbado_beetohoven_overture

クラウディオ・アバドの1回目のベートーヴェン全集の余勢をかって録音された序曲全集。

こちらも交響曲と同じく、クリムトのベートーヴェン・フリーズをあしらった素晴らしいジャケット。
当然に、交響曲と同じ延長線上にある演奏で、ウィーンフィルに従来からあるベートーヴェン演奏を踏襲しつつ、アバドならではの流麗さを強く押し出した序曲集。

Abbado_beetohoven78 Abbado_beetohoven25

交響曲第8番は、この全集の一環とは別に、60年代末にデッカへの録音もあるが、そちらよりも、オーケストラをしっかり掌握した分、アバドらしいロッシーニ的な軽さと歌いまくりは後退している。
弾みの即興性という意味では、こちらの盤の方が無理がなく安定感があるとともに、ウィーンとの蜜月を築いた自信もうかがわれる。
終楽章の疾走感はオペラティックですらあり、快感を覚える。

交響曲第5番
もっともアバドらしからぬ曲ではあるけれど、朋友クライバーの切実さは、同じウィーンのおーケストラながら、ここでは薄目で、おおらかな第5。
1楽章の終結に少しばかりデミネンドをかけるところが、いまの耳には珍しく感じちゃう。
しかし2楽章の流れるような抒情派的演奏は、アバド&ウィーンの第5の白眉。
ほかの番号の緩徐楽章は、アバドは偶数番号の作品と並んで、ワルターと並ぶ素晴らしさに思います。
3楽章から4楽章への、ティンパニの序奏も緊張感よりは、美しさを感じ、終楽章の晴れやかなホルンに、運命の解放感を感じ、ウィーンはドイツより南にあること、そしてイタリアの隣国であることを強く思うアバドの第5でした。
春の始まりに相応しい清々しさ。

Abbado_beetohoven_bpo1

ベルリンフィルの指揮者として、ベートーヴェンを手掛けるにあたり、アバドが選んだのは、ベーレンライター版。
スラーが減り、レガートが禁じられた分、音は少し乾き、ゴツゴツ感が増した版。
しかし100%そうした訳ではなく、アバド自身が探求したヶ所もあるというがそこがどこかは不明です。
 こんな風に演奏の解釈は一様でないからややこしいのですが、大事なのは、そこに音楽があるかどうか。
本CDの解説にある、アバドの話で、「そこに音楽があること」が語られてます。

1999年と2000年にかけての演奏だが、ベルリンフィル就任からしばらくは、アバドも従来のウィーン時代と同じくするブライトコプフによる通常版を演奏してきた。
その頃の放送録音をいくつも持ってますので、ベルリンフィルによるその聴き比べも実に面白いものなのです。

こちらで明白に感じるのは、テンポで、ウィーンに比べともかく早い。
この全集が出たとき、そして一足早いザルツブルクライブの第9よりも、さらに疾走感が増して、天下のベルリンフィルで、こんなことやっちゃって大丈夫かしら?
と思うくらいに、過激に感じたのです。

しかし、いま聴けば、全然普通で、なんのことなく受け止めることができるから、いかにわれわれの耳も、ここ10年で変化しているか・・・・なのです。
むしろ徹底不足に感じてしまうから不思議なもの。

後述するが、病に冒されていたアバドの術前の演奏だけに、この周辺のものは、少し気の抜けたところも出てしまうものがあったりした。
でもこのベートーヴェンにかける意気込みは大きく、全曲を一気呵成の勢いのようなものが覆っていて、それがベーレンライター版の特徴と相まっているばかりか、随所に爆発するアバドを感じるのだ。

8番の終楽章などはまさにそうで、手に汗握る大迫力。
1~3楽章は、少しおとなしい。

5番は、ウィーンに比べるとエッジのキレ抜群で、音の伸ばしも短く楽想が次々に飛び込んでくる。
精度は高いが、演奏の熱さは、次年度のライブにはるかに敵わない。
しかしこの曲のスタンダートとなりえるフィルハーモニーでのスタジオ録音は細部までよく仕上がってます。
そしてベルリンフィルの圧倒的な能力を堪能できます。


Abbado_beetohoven_bpo2

2001年には、映像によるベートーヴェン全集が収録された。
ローマでの演奏会で、その映像を音源化したのが、こちらの全集。

映像で観るオーケストラの全霊を込めた様子と、痩せ細ってしまったアバドの渾身を込めた指揮が、鬼気迫るベートヴェンを作り上げているのが手に取るようにわかる。
2000年春から夏に、胃癌の手術を行い、すべての予定をキャンセルして治療に専念。
秋には、痛々しいくらいの姿で、日本にやってきて、ベートーヴェンと、生涯忘れられない「トリスタン」を指揮してくれたアバド。
その翌年の、ローマでのベートーヴェン・チクルス。

8番では、刈り込んだ編成にもかかわらず、ベルリンフィルの威力は相変わらずだが、旧盤にも増して、キレのいい軽やかさが浮き立つ。
よりスタッカート的なリズムが強調され、楽器も1本1本が明確になったように聴こえる。
明晰さとハギレよさを好むアバドと、克明なオーケストラが、新しい版で際立った感じ。

5番の方は、8番より変化が大きい。
1年前に少し残っていたロマンティックな解釈は皆無で、辛口に変貌。
決然と伸ばす運命動機はこちらもないが、キレの良さのみが耳に飛び込んでくる。
実は、第5はもうこんな解釈が普通になっちゃったので、わたしはこんな潔い冒頭が好きになってしまった。オーボエのソロのあっけなさも、そういうものだろう。

もちろん、古色ネオ第5も、実は聴けば聴いたで、「やっぱりイイ」ということになるのは目に見えてますがね・・・・。
 淡々とした2楽章も流麗さよりは、ごつごつ感を感じるものの、音そのもののピュアな美しさには抗しがたい魅力を感じる。
さすがにベルリンフィルであり、歌のアバドであります。
そして最後の爆発力は、整然としながらもオケの風圧を感じます。
DVD映像で確認しても、編成はさほど大きくはしていないのに、音の威力は熱く、金管やティンパニをそんなに強調はしていないのに、オーケストラの鳴り方、ブレンドの仕方はやはりベルリンフィル。
明るい解放を味わったウィーンとはまた異なり、求心力あふれる痛快さを味わい、オーケストラを聴く喜びも充分に満たされます。

 アバド第5 演奏タイム

 ウィーンフィル    7’59”  10’12” 5’24” 11’05”
 
 ベルリンフィル①  7’16”   9’10” 7’48” 10’50”

 ベルリンフィル②  7’25”   9’00” 8’00” 10’38”

ベートーヴェン全集を映像を合わせて4種類も持てる喜び。

こんなフレキシブルなアバドが、理想の指揮者として、フルトヴェングラーをあげるところが面白いところですね。


Iseyama3 

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コメント

梅がそろそろ満開なのに、お天気、悪いですね。

>「梅にうぐいす」
のつもりですよねぇ・・^^/

この間の土曜日、初鳴きするウグイスを目撃しました。一生懸命練習中というところでしょうか。写真、TBします。

投稿: edc | 2012年3月 9日 (金) 08時58分

euridiceさん、こんばんは。
春まだ来ない来ない梅にうぐいす??でした。
今日も寒いし明日は近県は雪も・・・・。

初鳴きウグイス練習中、いいですね。
写真も素敵です!
TBありがとうございます。

投稿: yokochan | 2012年3月 9日 (金) 21時56分

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