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2012年3月 6日 (火)

神奈川フィルハーモニー定期演奏会 CDコンサート① クライバー指揮

Iseyama5

横浜の伊勢山皇大神宮。

関東のお伊勢様とも称される由緒正しい神宮に、先の神奈川フィルのモーツァルトを聴く前に訪問。
都会の真ん中にあります。

お日柄もよかったのでしょうか、ちょうど神前結婚式が終わったばかりの清々しい境内にございました。

Iseyama4

参道にあった青竹。

まだ冬の気温だけど、スクっと伸びて、真っすぐの緑が目にも鮮やかで、まぶしく気持ちよかったですよ。

誰しも、こんな青竹のような時期があるんです。

と、希望の消えかかった中高年的な発言をしてしまう、さまよえるクラヲタ人でした。

3月10日の土曜日は、神奈川フィルハーモニーの定期演奏会。

1年前の定期は、きっとまた書くでありましょう、3月12日のマーラーの6番。

あの運命的な演奏会からもう1年がめぐってきまして、その演目も、まさに「運命」。

  ベートーヴェン 「コリオラン」序曲

            交響曲第8番

            交響曲第5番

    金 聖響 指揮  神奈川フィルハーモニー管弦楽団

        2012年3月10日 14:00 @みなとみらいホール


その事前ヴァーチャルCD聴きを行います。

まずは、泣く子も黙るカルロス・クライバー

しかし、カルロスには、8番はないのであしからず。

Kleiber_bpo

「コリオラン」序曲は、よほどお得意とみえて、数々の音源がありますし、その演奏記録も多数あります。

第5の延長上にあるようなハ短調のこの序曲を、クライバーはものスゴイ集中力と流れるような力感でもって、ぐいっと一発聴かせちゃう。
ベルリンフィルも必死こいて食らいついてる。
1曲目から、もうどうにでもしやがれ的な切迫感があって、慣らし運転的な緩さはこれっぽっちもない。
オケも聴衆も大変なのだ。
カルロスに冒頭から一発かまされちまう。

バイエルンシュターツオーオーパーとの映像はこちら。
渾身のひと振りがスゴイです。

拝借映像です。

やっぱりすんごいですよ、カルロスさまは。

Kleiber_beethoven_2

カルロス・クライバーの交響曲作品デビュー盤。

録音は、「魔弾の射手」の方が早かった。

レコード1枚に第5のみ一曲。

信じがたいような贅沢な1枚。

切羽つまった迫真の第5。

74年の録音で、当然にベーレンライターなんていう版の概念もなく、従来のブライトコプフ版によるものだけれど、そんなことはお構いなし。関係ない。
版のことで、あーだ、こーだ考えなくてはならない、いまの私たち聴き手ががんじがらめで可哀そうになってしまう。
この決然としたベートーヴェンに、一人の指揮者が出来る究極のオンリーワン的な演奏を感じる。
真似のできない個性、「ザ・クライバー」のベートーヴェン。

フレキシブルな朋友アバドは、ベーレンライターで大胆にもべルリンフィルに変革をもたらしたけれど、その風潮はいまやあたりまえ。
カルロス・クライバーは、見向きもしなかったし、もう少し活躍しても、きっとそうではなかったろう。

NHKで何度も放送され、お馴染みのあの執念深いくらいの執拗なリハーサルを経て築きあげられたパーフェクトな仕上がり。
でも、本番では別なクライバーが爆発する。

シカゴとの海賊盤ライブは、未聴だが、このウィーン盤とさぞや異なっていることだろう。
「トリスタン」もDGスタジオ録音は、それはそれは素晴らしいが、バイロイトやスカラ座のライブの方にまた別物の感動を覚える。

何が言いたいかわからなくなってきたけれど、ライブのカルロスのスゴサは、このウィーンフィル盤にはないけれど、はちきれんばかりの意欲が漲ったカルロスの真髄がここに聴かれるのは事実で、フレッシュで若々しい青竹そのものを感じます。
残してくれてよかった、カルロスの第5です。

聴いてて涙目になってしまったのは、今日激しく飛んだと思われる花粉のせいばかりじゃありません。
昔はよかったなぁ~、という遠く目線のせいかもです。

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コメント

クライバーの五番を聴いた時のショックはいまだ鮮明です。オーバーに言えば別の曲にきこえた。
その後、そんな気持ちにさせたのはジュリーニの同曲。
いずれも「おれならこうやる」風の個性の強い演奏。
こういう人と実際に付き合うのは大変だろうなと思うけど演奏は素敵。私はこちらのクライバーの演奏が好きです。当時クライバーが何歳の時の録音かは不勉強で知らないけど、大学出たての颯爽とした、恐い物知らずの若者が演奏したらこうなる的な演奏です。こういう人、いなくなりました。くり返し聴くといろいろあるけど、とにかく「おれが一番エライんだ」という演奏、なくなりました。
クライバーは7番も未完成もブラームスもよいけど、5番も忘れられない。さまよえる様にいわれて久しぶりにLPレコードを掃除して聴きました。
初めてこのクライバーの演奏を聴いたときの自分を思い出しながら、長い年月を思いました。不覚にも涙が出ました^^

投稿: モナコ命 | 2012年3月 7日 (水) 23時03分

モナコ命さん、こんばんは。
クライバーの第5は、カルロス44歳の録音です。
もっと若く感じますね。
凡人たるわれわれは、そのくらいの歳だともっと常識の範疇に座しておりますが、カルロスはやんちゃです。
驚きの44歳。
いませんね、こんな指揮者。
わたしも、7番や未完成より、こちらに思い入れ多いです。
そして、トリスタン・トラヴィアータ・魔弾の射手・こうもりは宝物であります。
いつでも泣けます!

投稿: yokochan | 2012年3月 8日 (木) 21時02分

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