« バッハ 「わが罪を拭い去りたまえ、いと高き神よ」 リリング指揮 | トップページ | 公園のにゃんにゃん »

2012年3月15日 (木)

お手軽サンプラーCD

Shiba_tosyoguu_1

ようやく満開に近くなった梅の花。

それでも寒くて、日差しは温もりありますが、風が冷たいですな。

今週は、卒業式が各校で行われてまして、別れと巣立ちの季節を迎えてます。

卒業で一番心に残っているのって、皆さんいつですか?

私は、そうだな? 中学でしょうか。

高校・大学は、育った場所以外だったからかも。

その中学時代に聴いた音源が、実は今も新鮮に心に残っていたりするんです。

Philips

中学生時代は、レコード全盛期で、CDやデジタルなんて、これっぽっちもない世の中。

アーティストはレーベルごとに契約で明確に区切られていて、当時現役指揮者でいうと、DGにはカラヤン、ベーム、アバド。
EMIは、カラヤン、クレンペラー、プレヴィン、小澤。
ロンドンは、ショルティ、メータ、マゼール、マリナー。
CBSは、バーンスタイン、ブーレーズ、セル。
RCAは、オーマンディ。ソ連専門の新世界レーベルもありました。

何度も書きますが、1000円の廉価盤の登場は革命的でした。
そして、曲のさわりだけを、集めたサンプラー・レコードも、音楽に飢えていた中学生のワタクシには、その渇きを癒し、それ以上に、その先を求めたくなる願望・欲望を植えつけるイケナイ危険なレコードだったのです。

多分、わたしのような世代だったらきっとお持ちだった、CBSソニーのベストクラシックスのシリーズで、50枚のレコードの聴きどころを、A面25曲・B面25曲に収めたもの。
それが時期を置いて2枚出て、100枚のLPを2枚のレコードではしょって聴くというスグレモノ。
1曲60秒ぐらいだったかしら?

ナンバーワン・・・というアナウンスのあとの一発目は、バーンスタインの指揮する「運命」。
マーラーやブルックナーの作品も、実は、このレコードのちょい聴きが初聴き。
バーンスタインのマーラー第9に巨人、ワルターの復活にロマンティックにブル9。
それと、このサワリで、曲を覚え、次々に開拓してゆく指票にもなった。
故荻昌弘さんだったか、ここに収められたセルのエロイカの冒頭に震えたとの紹介文を書かれていたと思う。
万博の年に来日したセル&クリーヴランドのエロイカを思っての名言でした。

500円で手に入れられた、当時の夢でございます。

CD時代にも、同様の企画があって、ショップでそこそこCDを買うとくれたりしたものもありまして、わたしも数枚持ってますが、その出自は不明。

フィリップスのグロリアシリーズは、レコード時代もお世話になったもの。
CDでは、アナログ最後の頃までの音源を包括していて、120枚分、各曲70秒を収録してます。
ともかくいずれも録音が素晴らしい。
そして、もっともっと聴きたい気持ちになる。
けれども、曲は無情にも、人をその気にさせといて、次々に入れ替わり立ち替わり人を魅惑する。
ずるいよ。
ハイティンクとロンドンフィルのベートーヴェン、モーツァルト。ブレンデルのシューベルト、ブラームス。
シュタルケルのバッハ、デイヴィスのベートーヴェンにベルリオーズ、アメリンクのシューベルト、マリナーのハイドンなどなど、1分に燃えます。

London

こちらはロンドンのサンプラーCD。

忙しかったフィリップス盤と比べ、30CDのダイジェスト。

アンセルメ、モントゥー、マルティノン、ケルテス、マゼール、メータ・・・・

往時のデッカ=ロンドンのアーティストたちが満載で、こちらも懐かしの桃源郷にしばし浸ることができます。

忙しいときに、お手軽だなんて、こうしたサンプル盤を聴くと、後引くこと間違いなく、欲求不満に陥りモヤモヤ状態になることうけあい。

レコ芸の付録も近時はあるけれど、レーベルまるごと楽しめちゃう古めのサンプル盤の魅力は捨てがたいのでした。
ほな、さいなら~。


|

« バッハ 「わが罪を拭い去りたまえ、いと高き神よ」 リリング指揮 | トップページ | 公園のにゃんにゃん »

コメント

私も中高時代はサンプラーLPにはお世話になりました。CBSソニーのベストクラシックスでの"私は1分23秒のセルの「英雄」に泣いた"という荻昌弘さんの言葉は覚えています。
今では例えば「英雄」なら50種以上のCDを保有していますが、あの頃は金銭的事情から最高の演奏を1曲1種買いたいとういのがあって、サンプラーを含めいろいろ吟味したなあと思います。

投稿: faurebrahms | 2012年3月16日 (金) 22時17分

faurebrahmsさん、こんばんは。
やはり、ご同胞でらっしゃいましたか。
荻さんの、あのお言葉、覚えてられる方がいて、むちゃくちゃ嬉しいです。

あのようにして、寸暇をいとおしむようにして聴いた音楽の数々。
金銭的にも自由に、そして廉価になった音源たち。Z

ゆえにこそ、昔のことそ想い、大事に聴きたいものですね!
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2012年3月17日 (土) 01時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: お手軽サンプラーCD:

« バッハ 「わが罪を拭い去りたまえ、いと高き神よ」 リリング指揮 | トップページ | 公園のにゃんにゃん »