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2012年4月19日 (木)

マーラー 第10アダージョと大地の歌 アバド指揮

Zojyoji1

お清めの手水舎(てみずや)に反映する桜と東京タワーです。

その東京タワーの先っぽ工事は、先日レポートしたばかり。

その先っぽの撤去にあたり、吊りの不具合で、本日事故が起きたみたいです。

安全第一、気をつけましょう。

Sakurazaka3

満開の桜を振り返って懐かしむとしましょう。

何があっても、必ず四季の訪れとともにやってくる自然の循環。

悲しくても、苦しくても、桜は必ずやってきます。

わたしたち、うつろい去る人間の生は有限なれど、自然は悠久。

自然が自然を変えることはあっても、人間が自然を変えてしまうことは、時に許されざることなのかもしれない。

わたしの住む場所の桜の季節に一気に聴いたマーラーの交響曲。

その最後のピークを、神奈川フィルハーモニーの定期演奏会にもっていってます。

その前夜、敬愛するアバドの指揮で、コンサートプログラムを再現してみます。

Mahler_sym9_abbado_vpo

  マーラー 交響曲第10番~アダージョ

         交響曲「大地の歌」

   クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

                   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

          T:ヨナス・カウフマン
      
         Ms:アンネ・ゾフィー・オッター

            (1985.6 @ウィーン、2011.5 @ベルリン)


このふたつの晩年交響曲の組み合わせは、最近トレンドなのでしょうか。

演奏するオーケストラは大変でしょうが、聴く側にとっては最強のプログラムです。

スカラ座で、ミトロプーロスの指揮するマーラーの3番に接した少年アバドは、その時の新鮮な驚きと感動を、いまにいたるまで60年以上ずっと持ち続けているように思える。
多感な少年時代の思い出を語った指揮者伝を読んだことがあります。
厳粛な音楽家だった父、優しいピアニストだった母、哲学や文学、そして自由な考えを教えてくれた伯父。
アバド一家はサラブレット家計なれど、純なる人々ばかりなので、これからもまた有力芸術家を輩出するのかもしれません。

ウィーン時代に手がけた10番アダージョは、ウィーンのオケの甘さに裏打ちされた微笑み感じる演奏であるとともに、音が鋭くかつ少し濃いめ。
アバドとともに、オーケストラの訛りを感じる共同作業で、とてもよい。

Abbado


そして、26年を経たベルリンでのマーラー特別演奏会。

昨年すぐさまNHK放送され、その折りに感銘を受け記事にしました。

その時の記事はこちら→アバド・ベルリン

いま再度、その演奏を確認しました。

アバドの行きついたマーラー演奏の極みを。

なさざる「無」、いや、せざる「無」。

マーラーの楽譜が鳴っているだけ。

それ以上のことはなく、それが最大限の音楽への素直な奉仕。

なにもしていないところの凄さなのです。

アバドのいまある境地はこんなところにあります。

そして、その音色は明るく、どこまでも光が当たっている。

初聴き時は、不感症みたいに思ったオッターの歌が、今回、スリムで繊細、そして心の襞を埋めてくれるような透明な歌声に感じられるようになった。
「告別」では、アバドとベルリンの孤高の境地を反映して夕映えのような素敵な歌唱を披歴しておりました。

対するカウフマン。放射能にビビって来日してくれない、いけずなカウフマンだが、この歌声を聴いちゃうと、直に聴きたくなること必須。
太めのヘルデンでありつつ、軽さも持ち合わせていて、ヒロイックさと軽妙さを歌い分けることができる。
最高の「大地の歌」テナーであります。

ラトルがベルリン定期で、オッターを起用して今年「大地の歌」を演奏していて、そちらが音源化されると、アバドのこちらはまたお蔵入りかもしれない。
ルツェルンで再度やって欲しい。

それにしても、聴くわたしの心を照らし出してしまうような「告別」の素晴らしさたるやいかにばかりせん。

いまこの時点で、私が死んだらこれを流し続けて欲しいと思う。

Ewig・・・ewig・・・・・・永遠に。



神奈川フィルハーモニー 定期演奏会

 
  マーラー 交響曲第10番~アダージョ

        交響曲「大地の歌」

  T:佐野成宏   Ms:竹本節子

   金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

2012年4月20日(金) 19:00 みなとみらいホール

明日です、どうぞ、お聴きのがしありませんように

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コメント

間違えて消してしまったんだなぁ、これが・・・。

まあ、映像には収録されているのだから、いつかはパッケージ商品として発売されるのでしょうが。
今年8番をルツェルンでやるのだから、来年は「大地の歌」?

ともかく、アバドが辿り着いた「大地の歌」、まさに“明鏡止水”ですね。

投稿: IANIS | 2012年4月20日 (金) 20時05分

IANISさん、まいどこんにちは。

いつかは出るでありましょうアバドの大地の歌。
ラトルはなにも、同じ歌手を使うことはないでしょうに・・。
それにしても、アバドの到達点は、静かな世界でありました。
そう来年はそうかもですね。
そして今年無事に千人をやって欲しいものです。
消してしまったとはまた。。
今度用意しておきますね。

投稿: yokochan | 2012年4月21日 (土) 14時15分

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