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2012年4月21日 (土)

神奈川フィルハーモニー 第280回定期演奏会 金聖響指揮

Minatomirai3

いつもこの画像になってしまいます、神奈川フィルのみなとみらいでの演奏会。

余裕をもって赴き、もっとほかのスポットを探さなくてはなりませんねぇ。

でも、常に変幻しているこの大観覧車の色合い。

この日の神奈川フィルのマーラーに似合っているカラーは、こちらのクールなブルーかも。

ずっと聴いて、まさに喜びも悲しみも共にしてきた感のある「聖響&神奈フィルのマーラー」。
一人の指揮者が、同じオーケストラで短期間にマーラーをこれだけ集中して演奏するということは、都響の例をおいて他にはないのではないでしょうか。
CD化が予定されていクック版10番をシーズン後半に控え、きっといつかはやってくれる8番で、交響曲は完全制覇。

終演後の乾杯式で楽団理事がおっしゃっていましたが、マーラーを通じて、指揮者もオケも、そして聴衆も成長をしている、と。
まさにそうです。
おかげさまで、かつて聴き過ぎて、ある意味遠ざかっていたマーラーが、またわたしの近くにやってきました。
ありがとう神奈フィルnote

Kanaphill20120420

   マーラー 交響曲第10番~アダージョ

        交響曲「大地の歌」

     Ms:竹本節子    T:佐野成宏   

   金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

        (2012.4.20 @みなとみらいホール)


パンフレット・ソノリテも新しくなり、新シーズンの幕開けは、ヴィオラの精妙かつ虚しさ募る序奏で始まった。
前シーズンの最後のマーラーは、第9。
そしてその最後も、ヴィオラの絶えるような音色だった。
同じ席、同じメンバーで聴くまるでデジャブ。
マーラーの凄さが冒頭から実感でき、そのうえ、ヴィオラパートの美しいこと。
ここから、この美しく繊細なアダージョの演奏は決まったと思った。

わりと快速で、思い入れ少なめに淡々と進行するこの演奏。
でも出てくる音色のひとつひとつが洗練されていて、音ひとつひとつ、パートひとつひとつが、まるで室内楽のように浮き出て聴こえる。
変転を繰り返し、やがて達するカタストロフ的な叫喚にあっても、神奈フィルは美しい。
一筋残る、トランペットも見事にホールを貫きました。
最後のとびきりキレイな結び。
ヴァイオリンがどこまでもどこまでも高音に上げてゆき、実際目で奏者の皆さんたちが指板の一番上まで、指を伸ばしてゆく姿を見ながら聴いていると、感銘もひとしおでございました。

聖響さん、指揮ぶりがどこか変わったように感じられる。
これまで何度も書いてきたクネクネが姿を消し、流麗な動きになりつつあるように思ったけれどどうでしょうか。
実は、この曲の中間部で、音が一瞬分解しそうなところがあってヒヤリと思いました。
わたしの聴き過ごしかと思っていたら、乾杯式で某首席の方が、そのようなことをおっしゃっていたので、あらやっぱり、と自分の耳に感心したりしたものです。
すぐさま修正してしまうプロの力にも感心です。
聴いてると美しいモザイクのようなこの曲。とても難しい曲なのでありますな。

充実の一夜、後半はいよいよ「大地の歌」。

休憩中、ワインなんぞを流しこんで、ほろ酔いで聴く「大地の歌」。

この曲は、「告別」に焦点を絞って聴いてしまうのだが、やはりその「告別」が素晴らしかった。
重く重なるハープを含めた低弦、その上に虚無がごとく鳴るオーボエ。
この開始部からして、この音楽の持つただならない雰囲気に息をのまれ、そしてわたしの涙線は早くも緩んでしまった。
チェロが静かに一音引っ張る上に、今度はフルートが舞うなか、竹本さんの深い声による歌がそこに始まる。
この長い楽章のなか、これと同じ場面が3つあって、今回ライブで初めて気がついたこと。
最初はチェロ、次はコントラバス、最後はチェロとコントラバス。
静かで絶え入らんばかりのその絶妙な音色は、これもまた神奈川フィルならでは。

以降、時おり涙も滲ませながら、まったく神妙に聴きとおした「告別」。
中間部、マンドリンも加わって、オーケストラが絶美のパレットを築くなか、「おお友よ・・・・」歌い出すとき、ついにわたしの涙は決壊。
身悶えするほどに素晴らしい瞬間。
ほかの楽章にも増して、ソロ楽器に素晴らしいシーンの続出するが、山本さんのチェロはともかく絶品。
神奈フィルの誇る主席の皆さん、そしてこの素晴らしい音楽に完全に入り込んで全霊で演奏するオーケストラの皆さん、いつもこうして親しく拝見・拝聴していて、いまほど嬉しく、感動的なことってありませんでしたよ。
それもまた、人の心を揺さぶってやまないマーラーの音楽の素晴らしさゆえなのですから。

長いオーケストラの葬送のような深刻なる部分をしっかり受け止め、やがて別れの盃を交わす神妙かつ澄み切った最終場面に。
竹本さんのアルトは、輝きと深さを保ちながらこの無情なる世界を歌いつくしてまして、最後の最後、「永遠に・・・」を何度も繰り返すときには、もうわたしの視界もぼやけてしまった。
繰り返しますが、この最終局面でもオーケストラの華奢でクリアーで透明感ある響きは絶美の極みで、みなとみらいホールのアコーステックと完全一体化。
無調の扉を開きつつあった不安感と安堵、そして彼岸の音色を築きあげてしまったマーラーの素晴らしさを最後の音が消え入るまで、そしてその後の長い静寂も含めて、堪能しつくしたワタクシにございます。

ほかの楽章も、聖響指揮するオーケストラは目を見張るほどの充実ぶりでした。
あんまり気持ちよく鳴らしてしまうので、威勢のいいところでは、声が完全埋没。
このあたりは課題でございましょう。
初マーラーにチャレンジした佐野さん。
本来は、イタリアンのリリカルな声ゆえ、正直無理もあったかもしれない。
3楽章と5楽章はまだしも、オーケストラと拮抗しなくてはならない1楽章では威勢がまったく揚がらない。
「生は暗く、死もまた暗い」のこの楽章のキモともいうべき決めゼリフがまったく届かなかったのが残念。
「大地の歌」のテノールの難しさは、ここにあって、3つの楽章ともに全部性格が異なるものだから声質の違うテノールが3人必要なくらい。

ワーグナーの舞台で、何度も接してる竹本さんは、その点独語の発声といい響きの豊かさといい万全でした。
それでも、馬が弾ける4楽章のオーケストラの大爆発には敵いませんでしたが・・・・。

暗い死の陰と厭世感が覆う「大地の歌」の最後には、希望の光が宿っております。

 愛する大地にふたたび春がくれなば、

 いたるところ花は咲き、緑はふたたび栄えるであろう。


 いたるところ永遠に、遠きはてまで輝くであろう、永遠に・・・・・・


素晴らしいマーラーをありがとう、「聖響&神奈川フィルsign03

Kanaphill201204_aKanaphill201204_b


新シーズン開始の恒例の乾杯式。

山本&石田のお二人によるソロをまじかに聴くことができました。

山本さんは、バッハ無伴奏1番のサラバンド、石田さんは、「ロンドン・デリーの歌」反回転ジャンプ付き!(わかりますよね)
素晴らしいマーラーのあと、心に滲みるソロ、ありがたいことでした。

Motsunabe

式がはねたあとは、いつものメンバーに新しい方もお迎えして、居酒屋へ急行beer

すごい勢いで、飲んで、食べて、いまのコンサートの話をして、日付が変わって、すごい勢いで終電に乗って、酔っ払い電車で帰宅しました。

皆さま、お世話になりました。

さぁ、次は現田さんの指揮で、「リング」だぁsign01


 
次回神奈川フィルハーモニー定期演奏会

  リスト 交響詩「レ・プレリュード」

       ピアノ協奏曲第1番

        Pf:後藤 正孝(2011 リスト・コンクール1位)

  ワーグナー 「ニーベルンクの指環」抜粋

        指揮:現田 茂夫

  2012年5月25日(金) 19:00 みなとみらいホール

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コメント

どうもコメント遅れて申し訳ありません。
神奈川フィルの美しく透明な自慢の弦が素晴らしかったですね。あわせて菅と弦の絶妙なブレンドのトーンクラスターは胸をかきむしられるような心臓に釘を打ち抜かれながらの微笑みの恐ろしさを感じました。
大地の歌でも歌手とのバランスは確かに難はありましたが、その強奏でもオケの響きは絶品だったように感じました。
この個性的なマーラーは本当におっしゃる通り神奈川フィルの神奈川フィルだけのものと感じました。
佐野さんも気の毒でしたがいい声でした。歌の中にヒロイックな悲しさを感じました。竹本さんはさすがの貫禄の叙情派。なんとも素敵な晩でした。
そしてちょっと長すぎたご挨拶は置いておいて、オマケというにはあまりに素晴らしい山本さんと石田氏による演奏。
こんなひとときをご一緒できて分かち合い語り合える事に本当に感謝をしております。
どうもありがとうございます。
次回はいよいよ現田さん登場、リストとワーグナー。楽しみです。
次回もよろしくお願い致します。
それから、Facebookの応援ページに勝手にリンクを張らせて戴きました。
すいません。
こちらも煮るなり焼くなりよろしくお願い致します。

投稿: yurikamome122 | 2012年4月23日 (月) 12時43分

yurikamomeさん、こんばんは。
先般はどうもお世話になりました。
あの10番のクラスターは禁断ともよべる美しさがありました。
背筋が伸びました。
それと大地の歌、あんまり歌手のことを言っちゃ酷でした。
佐野さんのリリカルな美声は確認できましたし、竹本さんの丁寧な歌唱も同じく考えぬかれたものでしたね。
神奈川初のユニークなマーラーを今後とも宣伝していきたいです。
それとあのお二人の素晴らしさも!
Facebookの件、了解いたしました。
まったくこなせておりません。
習うより慣れよ的に取り組んでみます。
変なことしでかしたらご指摘くださいませ。

投稿: yokochan | 2012年4月23日 (月) 23時12分

「よろしきければ、貴ブログのご案内と、新聞記事を弊ブログにてご紹介したいと存じますがよろしいでしょうか。」
とのお問い合わせですが、
「TB」しているくらいですから、もちろん結構ですよ。
よろしく御紹介お願い致します。

投稿: 観劇レビュー&旅行記(JUNSKY) | 2012年4月26日 (木) 12時26分

JUNSKYさま、こんばんは。
さっそく記事をしたためました。
このたびはどうもありがとうございました。

投稿: yokochan | 2012年4月26日 (木) 22時56分

仕事が忙しくなり遅いコメントになります。
ちゃんと聴きに行けました。
10番も大地の歌も、CDで何回か聴いたのですが、どうもピンと来ずもやもや感があったので、今回の公演はちょっと心配でした。
まったく杞憂でした。最初から美しい響きで聴き入りました。トランペットの長い一音、こんなにすばらしいのかと感動していました。
アルコールが入ると細かい音が聞こえなくなるので、休憩でいつもは飲まないのですが、ワインを注文していました。飲んでも大丈夫だと確信?したからです。
テノールとアルトが交互に3回歌って6楽章だと知り、構成を理解すると長く感じませんでした。
マンドリンの寂しい音に、なぜか衝撃を感じました。
最近は、通勤時に10番や大地ばかり聴いています。これらの曲がこんなに気に入るとは思っていませんでした。神奈川フィルや聖響さんに感謝です。

投稿: hamu | 2012年5月 1日 (火) 18時55分

hamuさん、こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。
素晴らしい演奏会を楽しみ、こうしてご意見の交換ができることは喜びであります。
神奈川フィルの素晴らしさは、ライブで聴いてみないとわかりませんね。
ことに、今回の10番・大地は、彼らのマーラーのピークを記録する演奏ではなかったでしょうか。
わたしも、あのマンドリンには泣けました。
同じく、休憩時にワインを流し込みましたが、そのホロ酔いもすぐに醒めてしまいましたが、もし飲みながらこの演奏を聴いたら、泣き上戸のようになってしまったかもしれません。
わたしも、hamuさんと同じく、この2曲をあれ以来何度も聴き、頭のなかでもいつも鳴っております。
また神奈川フィルのご感想がお聞きできますこと、お待ち申し上げております。

投稿: yokochan | 2012年5月 2日 (水) 13時20分

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